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  財団法人東京ゲーテ記念館
  〒114 東京都北区西ケ原2丁目30番1号
       電話 03(3918)0828
       FAX03(3576)0045

 ゲーテの嫌いなところをまず考えてみます。

  1.「色彩論」
  2.ヘーゲルに会ったときの姿勢

 まず1は、なぜこの偉大な人が、あんなつまらないことを執拗に書いたのかと思います。いったい何がいいたいのでしょうか。考えられることは、ニュートンにも負けない科学者であるということを示したかったのかなとも思います。しかし、このゲーテ記念館にきて驚きました。ゲーテの色彩に関する見解が近年再評価されているといいます。まったくなんでそんな嘘をつくのでしょうか。駄目なものは駄目といったって、ゲーテの価値は少しも損なわないのです。
 2は、あれほどのゲーテがヘーゲルの人気に対しては嫉妬していたのかなとも思えるのです。ナポレオンに対してなら、あれほど評価してつき合えるのに、ヘーゲルだと、自分の何か到達できない思想の種類を感じたのでしょうか。しかし、またこのこともこのゲーテ記念館ではまともに書いていません。

 私は以上の2点以外はゲーテの全てが好きなのです。
 このゲーテ記念館が渋谷にあったころから、なんども訪れたいと思っていました。本場ドイツにもない資料も集めているといいます。やっと北区の西ケ原へいけたのは昨年のことです。地下鉄南北線の西ケ原からこの館までの道は「ゲーテの道」と名づけられています。
 私がゲーテ自身のことでなく、ゲーテ記念館のことだけでいうと、館長が嫌いでした。粉川哲夫。なんでこんな奴が館長なんだろうと思っていました。あちこちに書く文、その内容、みんな嫌いです。しかし、理由が分かりました。このゲーテ記念館を作った方(たった今はこの人の名前を思い出せません)の息子なのですね。「まあ、仕方ねえな」
 でも私はもともとここらへんを歩くのが好きでしたから、ちょっと散歩のついでによるところとしてはいいですね。ほかにも寄るところがいくらでもあります。
 館の中に入って詳細に見てみました。ゲーテに興味のない人は行ってもつまらないでしょうね。しかし、先に書いた1、2のこと以外にもいい加減なことが書いてありました。
 私はゲーテの数々の恋人たちの中で、一番好きになるのがフリーデリケ・ブリオンです。多分ゲーテも「詩と真実」の中で、そのように書いていたように思います。いやこれは私の想いだけかもしれません。そして私が次に好きになれる女性が、リリー・シェーネマンです。「首にかけていたハート形の金のメダルに」という詩をよく思い出します。ゲーテがリリーから去っていく時の詩です。
 ところがこの記念館では、このリリーの解説に、

 後年、トーマス・マンは、この二人の再会を題材にして小説「ワイマルのロッテ」を書いた。

などとありました。「ワイマルのロッテ」は「若きウェルテルの悩み」のロッテ、つまり、現実の世界ではシャルロッテ・ブフのことではないか。いったいこのゲーテ記念館って、どういう校閲をしているのでしょうか。
 実は私は、ゲーテの恋人をひとりひとり、肖像画まで見て覚えているためにうるさいのです。こんど備忘録として、ひとりひとりのことこのネットで記録しておこうかな。

 ただ私はこのゲーテ記念館へ来て、まったく誤解していたことを初めて知りました。これは良かった。中学2年のころから間違って思い込んでいたわけです。
 ゲーテの「ファウスト」において、第1部で出てくるファウストの恋人はグレートヒェンです。彼女は第2部の最後に神との約束に勝ったとするメフィストフェレスと悪魔たちに薔薇の花を投げて、ファウストを天上に連れていきます。私はこの女性が何故グレートヒェンなのかが不思議でした。グレートヒェンという女性はゲーテ14歳のときの初恋の女性です。ゲーテより2歳年上でした。私がどうにも好きになれない嫌な女です。なんで、こんな嫌な女が「ファウスト」の最後に出て来てファウストを救うのだろうと思っていたのです。しかし、ゲーテ記念館の解説読んで分かりました。あの「ファウスト」のグレートヒェンとは、実際のゲーテ初恋のグレートヒェンではなく、私が一番好きなフリーデリケだったのです。ゲーテはやはりこの少女が一番好きだったし、贖罪の意識ももっていたのでしょうか。ただ作中の名前だけをグレートヒェンにしただけなのです。これで、第1部での彼女の叫びなどが、分かりました。あれはフリーデリケの叫びなのですね。

 私はこのことだけを知っただけで、なんだかとても嬉しくなり安心しました。いままでなんだか悲しい顔したフリーデリケだけだったのが、なんだかこれで救われた気がします。フリーデリケの頬が少し薔薇色になった思いがしました。
 またいつか訪れたいと思います。(1993.04.14)

 写真は18日の王子の玄関で撮りました。この人たちが一列に並んでいます。でもときどき一人くらいが横向いたりします。