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 この短編集を読んで、一つひとつの作品に私は大変に魅せられました。以下その私の思いを書いてみます。

ジョゼと虎と魚たち

 ジョゼは、子どものときから「脳性麻痺」ということになっています。最初に「もう二十五歳になる」とあります。
 でも恒夫という夫ができます。でも藉も入れてないし、恒夫の親には何も知らせていません。それでも二人は素敵な夫婦です(だと私は思います)。外出の際はジョゼはいつも車椅子です(部屋の中でもそういうことが多いのかもしれないが)。私もある時期、いつも車椅子を押していたことがありました。決して、こうした障害のある方が気持にゆとりがある方とは思えません。今の私のようにいつもイライラしていることが多いのです。
 でも、この恒夫はいいです。ジョゼとよく口喧嘩しています。それを読む、私も少し心配で少し安心しています。
 ジョゼは、動物園に行って、虎を見ます。彼女は虎が失神するほど怖いのです。でも、彼女の言う言葉で私は涙でいっぱいになります。

「夢に見そうに怖い………」
「そんなに怖いのやったら、何で見たいねん」
「一ばん怖いものを見たかったんや。好きな男の人が出来たときに。怖うてもすがれるから。………そんな人が出来たら虎見たい、と思てた。もし出来(でけ)えんかったら一生、ほんものの虎見られへん、それでもしょうない、思うてたんや」


雪のめぐりあい

 これも哀しい話です。こんな恋はしてはいけないわけだけど、こんなことは幾らでもあることのように思います。

 それにしても、「いつかまた」という言葉ほど、人生で惨酷な言葉はないと思う。人はその言葉にだまされ、はかない思いをかけて、その人生を終わるのだ。

 私もいつも「いつかまた」という思いを、いくつものことに思いめぐらせています。


おそすぎますか?

 夫婦って大変だよなあ、と思います。この小説を読んでもそう思います。離かれてしまう夫婦と、何故か続いている夫婦の差って、一体何なのでしょうか。
 でも夫婦って、とっても難しい大変なことを日々貫徹しているんだよなあ、なんて思いました。

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 この写真も10月29日午後の蛎殻町で見た隅田川です。