e6359237.jpg

 きのう帰りの地下鉄で読んで、上野から千駄木「浅野」まで行く、台東区めぐりんバスの中で最後の池内紀さんの「解説」を読み終わりました。

書 名 田辺聖子珠玉短編集4
著 者 田辺聖子
発行所 角川書店
定 価 1,600円
発行日 1993年6月30日初版発行
読了日 2007年11月20日

 載っている作品の一つ一つへの思いを書いてみます。

夢とぼとぼ

 妻のマスミが大阪の家から、東京へ単身赴任している。夫の大沢は大変に不満なことばかりである。でもそのマスミは東京へ行って、ますます元気にやっているようである。そしてマスみは自分の本を出版している。その本の題名が「夫のわすれかた」。
 でもでも、最後大沢は、マスミとは別れたくない自分を見つめてしまう。
 だから、大沢はマスミを追って東京へ行くかもしれない。


もう長うない

 この「もう長うない」は夫の口グセである。結婚した当初からいい続けているのだ。そんなことを言われた妻は、それこそ大変である。……でも大変なのは結婚した当初の頃だ。そのままもう何年も過ぎてしまったのだ。そして妻が急に病気になる。彼女のほうがいう。「あたしはもう長くないわ」。もう夫のほうが大変になってしまうのだ。そしてそういう妻のほうが、初めて夫の今まで言うセリフの真実が判った(ようである)。


犬女房

 梶本はもう46歳である。妻も娘ももう相手にしてくれない。そのときに、梶本はもともと自分が子どものときから犬好きだったことを思い出す。でも家族は犬を飼うことは許してくれない。
 それで近所の犬と親しくなり、やがて実際にある犬の散歩を引き受ける。でも実にいい生活になったのだが、その犬も持ち主が引越、犬自体は保健所に持って行ったようですある。
 最後梶本は、ヌイグルミの犬を抱いて眠る。
 もうこれは実に哀しいです。

 周の雑読備忘録「『田辺聖子珠玉短編集4』」の3 へ

 写真は11月20日、台東区役所の前の綺麗な花です。