大学生 (チェーホフ・コレクション)

書 名 大学生
著 者 アントン・チェーホフ
訳 者 児島宏子                                                           絵   イリーナ・ザトゥロフスカヤ
発行所 未知谷
定 価 2,000円+税
発行日 2005年11月10日初版発行
読了日 2008年1月16日

 これは以下でも読んでいました。

   http://shomon.livedoor.biz/archives/51250486.html 周の雑読備忘録「チェーホフ『たわむれ』」

 でもまたこれで読んでみて、またチェーホフを思いました。なんていうすごい作家なのでしょうか。

 ワシリーサが涕泣し、その娘が戸惑いを感じたのであれば、今しがた彼が語った1900年以前の出来事が、この瞬間あの二人の女たちに、荒野にやっと息づくこの村に、彼自身に、全ての人々に、不可避の現象として正に在るのではないだろうか。
 老女があのように泣いたのは、彼が人の心を動かす話術を駆使した結果ではない。
 彼女にはペテロが身近な存在で、ペテロの心中に去来したことどもに、心身とも深く衝たれたからであろう。

d6f37a39.jpg たしかに聖書マタイ伝のあのシーンはいつも胸を打ちます。でもおそらくチェーホフもまたサハリン島を訪れたときに、マタイ伝のあのキリストの声が甦えったのだろうと私には思えます。
 この22歳の大学生は、チェーホフその人の姿でもあると私には思えます。