教室の悪魔 見えない「いじめ」を解決するために
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 SHIROのポメラ日記(6)ネットいじめは携帯が原因ではない の記事で、この本を読んでみました。

書 名 教室の悪魔
    見えない「いじめ」を解決するために
著 者 山脇由貴子
発 行 ポプラ社
定 価 880円+税
発行日 2006年12月20日第1刷発行
読了日 2009年2月1日

 読み出す前には、私には「中身が辛くて読み通せないかな?」なんて思いもありましたが、すぐにすべてを読み終わることができました。
09020105 ただ、今の子どもたちを思いだし、私の孫のことも心配になってきて、涙を浮かべていたページもいくつもありました。
 この本を読んでいる途中と、読み終わってから、近所のスーパーマーケットに買物に行ったのですが、そこで出会った小学校3年生くらいの男の子(この子は自分の自転車のことで、私に救いを求めてきた)と、お母さんと手をつないで泣いていた3歳くらいの男の子で、またこの本の内容を思い出していました。

 扉にあった文章が以下です。そのあと著者略歴と目次を提示します。目次はこうして書いておけば、また何かのときに、この本の内容を思い出すことができるだろうと考えました。だから、この本の最初の目次よりも、私の以下のほうが詳しく書いております。

「Iの母親は主婦売春しています」と画像つきでばらまかれる嘘メール「汚い」と言われ続けて毎日必死に身体を洗う子どもの自己臭恐怖「退屈だから」といじめをエスカレートさせていく集団ヒステリー…子どもの世界で、いったい何が起こっているのか?地獄の心理ゲームと化した「いじめ」の正体を示しいま、大人がなすべきことを具体的に、ズバリ提示する。

著者略歴
山脇由貴子
1969年東京生まれ。横浜市立大学心理学専攻卒。現在、東京都児童相談センター・心理司。年間100家族以上の相談や治療を受け持つ。ストリートチルドレンの急増するベトナム政府から依頼を受け、児童相談所のスタッフ養成のための講演を行うなど、国内外を問わず幅広く活躍。また、新聞や雑誌への寄稿を通し、臨床現場の生の声を発信し続ける、いまもっとも注目される若手臨床家。著書に『あの子が部屋から出てこないのはどうしてだろう?』『子育てをしない男には女のスゴサがわからない』(ともにポプラ社)、『出会いを求める少女たち』(信山社)、共著に『児童虐待と現代の家族』(信山社)がある。

目次
はじめに
 いま、大人は何をすべきなのか?
第1章「いじめ」は解決できる
   雄二君(仮名)の相談事例から
 1 病院から児童相談所へ
  それでも学校へ行く少年
  原因は何か? 虐待、それとも……
  誰にも、絶対に言えないこと
  せいいっぱいの無言
  なぜ学校を休めなかったのか?
  子どもの気持
 2 両親との面談
  約束の中で
  両親に「いじめ」を伝える
  知らないことにしてください
  学校にいつ、何を伝えるのか
  親が我が子と向きあう時
 3 告白された「いじめ」の実態
  いじめはこうして始まった
  「死ね」「うざい」「消えろ」
  嘘がバレる不安
  「おしっこ」と呼ばれた理由
  重い身体を引きずって
 4 学校に「いじめ」を伝える
  親子の絆
  学校との話しあい
  心のケア
  お父さんが学校で言い切ったこと
  学校へもどる日
  いじめが終わり、そして
第2章大人に見えない残酷な「いじめ」
 1 メールで噂話をばらまく
   「エンコーしてる」と噂を流されたSちゃん
  解説 加害者が特定できない嘘の恐怖
 2 本人ではなく、家族を中傷する
   家族の偽写真をメールで流されたIちゃん
  解説 いじめの因果関係は逆転している
 3 いじめの「ON」と「OFF」を使いわける
   「今日は、例のあの日」を繰り返されたK君
  解説 ダメージを知りぬいた心理的追い込み
 4 共犯関係を演出し金銭要求する
   「一緒に遊ぶ金だろ?」とお金を要求され続けたT君
  解説 倒錯した心理で正常な判断ができない
 5 女の子同士で徹底して恥をかかせる
   下着を貼り出されたYちゃん
  解説 発覚を防ぐ「義務」を、被害者に負わせる
 6 「汚い」「醜い」というイメージを植えつける
   毎日給食を食べられなかったR君
  解説 追い込まれた被害者は、自己臭恐怖症や醜形恐怖症に
 7 発覚しない小さな暴力を繰り返す
   コンパスで背中を刺され続けたO君
  解説 暴力を手加減され、「ありがとう」と言ってしまう被害者心理
 8 完全否定の「なんで?」を繰り返す
   「なんで生きてるの?」と言い続けられたTちゃん
  解説 家でもいじめをひた隠し、被害者は完全なる孤独に
 9 奴隷にしてしまう
   万引きから援助交際まで、命令され続けたIちゃん
  解説 いじめへの恐怖心が犯罪行為へのハードルを下げてしまう
第3章なぜクラス全員が加害者になるのか?
  <いじめる側>から<いじめられる側>へ
  全員参加のいじめで、悪を正義に変えてしまう
  裏切り者を許さない「踏み絵」
  感覚を鈍磨させ、惨酷になるという「適応」
  いじめという「疫病」
第4章「いじめ」を解決するための実践ルール
   親にできること、すべきこと、絶対してはならないこと
  1 被害者を守る
  (1)学校を休ませる
  (2)親としてのメッセージを伝える
  (3)子どもをひとりで外出させない
  (4)いじめに関して、無理に聞き出さない
  (5)家の中では、明るく、楽しく、子どもと過ごせる時間をたくさん持つ
  (6)子どもの話を、まるごと真実として扱う
  (7)いじめられる側にも原因がある、とは絶対に考えない
  (8)いじめに、立ち向かわせない。耐えさせない
  (9)子どもの許可なく、学校に相談に行かない
  2 いじめをなくす
  (1)学校との話しあいは、校長、副校長に同席してもらう
  (2)話しあいは、「相談」ではなく、真実を伝える場
  (3)いじめの解決と責任追及は別々に行う
  (4)解決を学校に委ねない
  (5)加害者に伝える
  (6)クラス全体への周知
  (7)学校全体への周知
  (8)いじめ再発防止への取り組み
  (9)転校という手段
第5章「いじめ」に気づくチェックリスト
  最近、よくものをなくすようになった。
  学校のノートや教科書を見せたがらない。
  親の前で宿題をやろうとしない。
  お金の要求が増えた。あるいは親の財布からお金を持ち出す。
  学校行事にこないで欲しいと言う。
  すぐに自分の非を認め、謝るようになった。
  学校のプリント、連絡帳などを出さなくなった。
  ぼーっとしていることが増えた。何もしていない時間が多い。
  無理に明るく振る舞っているように見える。
  学校のことを尋ねると、「別に」「普通」など、具体的に答えない。
  学校のことを詳しく聞こうとすると、怒る。
  話題に友達の名前が出てこない。
  学校に関する愚痴や不満を言わない。
  保護者会、個人面談で何を話したかを過剰に気にする。
  寝つきが悪い。悪夢を見ているようで夜中に起きる。
  倦怠感、疲労、意欲の低下。
  原因不明の頭痛、腹痛、吐き気、食欲低下、痩せ、などの身体症状。
  何に対しても投げやり。
  以前は夢中で楽しんでいたゲームなどをあまりやらなくなった。
  理由のないイライラ。
  ちょっとした音に敏感になった。
  身体を見せたがらない。一緒に入浴したがらない。
  衣服、制服、靴などを、親の知らないところで自分で洗う。
  友人からの電話に「どきっ」とした様子を見せる。
  急に今までと違う子とつきあうようになった。(不自然な友人関係)
  以前では考えられないような非行行動の出現。
  外に出たがらない。外に出た時に周囲を気にしている。
  金遣いが荒くなった。
  成績の低下。
  もの忘れがひどくなった。
  自傷行為。(リストカットなど)
  「死」をものまかすようなメモ、日記。

 この本を読みながら、私は数々の「いじめ」に関することを思い出していました。
 私が約7年間関わりました松戸自主夜間中学は、最初は中国残留孤児の方がた等がいたものでしたが、すぐにこの学校の「いじめ」で、中学高校を不登校になってしまった生徒が多くなりました。さらには、小学生の不登校児も加わってきたものでした。
 たくさんのことを思い出します。たくさんの生徒たちを思い出します。誰もが、学校に行きたいのに、いじめのために、不登校になります。ある子は転校したりします。そしてでも多くは、小学生としたら、「中学へ入れば、いじめはない学校だろう」、「あの高校に入れば、いじめはなくなるだろう」、「大学こそ、いじめのない、いいところだろう」という思いで、自主夜間中学へ来ていました。でもその状態のまま、30歳を過ぎてしまうかたも何人もいたものでした。

09020102 私は転校ばかりしていました。小学校が5つです。でも中学は一つでしたから幸せだったのかなあ?(私の兄は中学は、秋田、札幌、名古屋と3校でした。弟は鹿児島と横浜の2校です)でも、私は高校は2校でした(鹿児島と横浜)。でもいじめに遭ったという思いはありません。

 でも、私は自分の孫を考え、最初は「私のポコ汰をいじめたら、俺がそんな奴、ただじゃおかないぞ!」という思いでしたが、この本を読んでみて、私のような思いでは、この事態に対処できないのだとということを充分に判った思いがしました。そんな私の思いでは、今の事態には、どうしようもないのですね。

 だからこそ、私たちも懸命に考えて、対処していかないとなりません。そのことを随分考えました。たくさんの子どもたちのことを考えました。
 そして簡単に「携帯電話禁止!」などと言ってしまう大人たちの存在を思いました。そんなことで、解決するわけがないのです。

 ぜひ多くの方が、この本を読まれることを希望します。