901983a1.jpg

 フーコーという人には、ヨーロッパにおける思想的事情が多く被さっていたと僕は思います。彼は、大抵のことはマルクス主義なしにも自分の考えだけでいけるよ、と言い切っているところが多いのですね。『言葉と物』でも、──これは西欧の古典近代の時期を対象としていますが──マルクスを一九世紀の一般的な民衆の中に埋めてしまっもいいのだという考え方をしているように思えますし、そういうことを言い切っている。西欧の古典近代期を主題にして、『言葉と物』はマルクス主義とほとんど独立した考え方だと言っていいほど、自己主張を完璧にしている。政治経済のあらゆることがらについて、ほとんどマルクスとは別な言い方をしていることが、『言葉と物』の圧倒的にいいところです。(『貧困と思想』「肯定と疎外」)

 フーコーという人は私にはさっぱり判らないことばかり言っている人だとしか思えていませんでした。今羞をかいてしまった思いで、ちゃんと読んでみます。若いときは、全然判っていなかったことを、今になって嫌というほど感じています。