2017010904

 私は夏目漱石の漢詩を読んでいくうちに、漱石の好きだった絶海中津の詩を知り、それをいくつか読んでいます。でもでも、私には到底律詩は無理です。どうやら七言絶句から読んでいるところです。
 最初に目に止まりましたのがこの詩でした。

   寒江獨酌圖   絶海中津(ぜっかいちゅうしん)
  獨釣寒江何處翁 独り寒江に釣るは 何処(いずこ)の翁ぞ、
  莎衣堪雪又堪風 莎衣(註1)雪に堪え、又風に堪える。
  得魚只換漁村酒 魚を得て 只だ漁村の酒に換うるのみ、
  未必客星驚漢宮 未だ必ずしも客星は 漢宮を驚かさず。

b2cadab4.jpg  (註1)莎衣(さい) はますげで編んだみの。
  (註2)客星(かくせい) 惑星

独りで寒江で釣りをしているのは、どちらの翁だろうか、
みので雪を防ぎ、また風を防いでいる。
あれは魚を取って、酒に換えるだけなのだろう、
あの魚翁は必ずしもあの巌光のような人物ではないだろう。

 巌光とは、後漢の隠者であるいが、光武帝の若いときの親友だった。帝が即位すると、姓名を変えて世を逃れたが帝に探し出され都に招かれた。歓待されたあと、寝床を共にしてやがて帝の腹の上に足を乗せたまま寝入った。翌朝部下が、昨夜は客星が御座を犯して大変でしたと報告すると、帝は笑って、旧友が一緒に寝たのだよと答えたという。
 この起句では、独り寒江で釣りをしている翁は、すぐに私は柳宗元の詩を思い浮かべました。

   http://shomon.livedoor.biz/archives/51416631.html
                     周の漢詩入門「柳宗元『江雪』」
   http://shomon.livedoor.biz/archives/51336676.html
                     周の漢詩入門「柳宗元『漁翁』」

 実はこの絶海中津の詩を初めて読んだときに、この柳宗元の詩を思い浮かべました。いや詩句を思い出したのではなく、この寒い河の中で釣りをする翁の絵(実際のその絵を見ているわけではありません)が私には思い浮かんだものなのです。
 それは私は以下の絵本の絵を頭に浮かべていたのですね。

   http://shomon.livedoor.biz/archives/51338186.html
           周の雑読備忘録「ユリー・シュルヴィッツ『よあけ』」

 私はこの絶海中津の詩を読みながら、はるかに漱石の詩をまた思い浮かべています。

 2枚目の写真は10月20日の午後1時36分。サミットストアから帰る路です。