2016121912

10102614  前回にて

      一  住所不定
      二  罪証隠滅のおそれ
      三  逃亡のおそれ

の三つがある場合、人は勾留されます。この三つとも考えられない場合は、起訴…

と述べましたように、起訴されても上の3つがない限り、人は勾留されないはずです。そして第2の「罪証隠滅のおそれ」があるとしても、公判が何回か進むうちに隠滅すべき罪証(証拠)が無くなっていきます。そうするともはや勾留する理由がなくなるために、勾留を取り消すことになります。

  第八十七条 勾留の理由又は勾留の必要がなくなつたときは、裁判所は、検察官、勾留されている被告人若しくはその弁護人、法定代理人、保佐人、配偶者、直系の親族若しくは兄弟姉妹の請求により、又は職権で、決定を以て勾留を取り消さなければならない。

  しかし、実際に職権で勾留が取り消されることはまずありません。ほとんど保釈により、勾留が解かれます。

  第九十一条 勾留による拘禁が不当に長くなつたときは、裁判所は、第八十八条に規定する者の請求により、又は職権で、決定を以て勾留を取り消し、又は保釈を許さなければならない。

  この保釈は以下のものが請求します。

  第八十八条 勾留されている被告人又はその弁護人、法定代理人、保佐人、配偶者、直系の親族若しくは兄弟姉妹は、保釈の請求をすることができる。

そして以下でその請求が認められます。

  第八十九条 保釈の請求があつたときは、左の場合を除いては、これを許さなければならない。
    一 被告人が死刑又は無期若しくは短期一年以上の懲役若しくは禁錮に当たる罪を犯したものであるとき。
    二 被告人が前に死刑又は無期若しくは長期十年を超える懲役若しくは禁錮にあたる罪につき有罪の宣告を受けたことがあるとき。
    三 被告人が常習として長期三年以上の懲役又は禁錮にあたる罪を犯したものであるとき。
   四 被告人が罪証を隠滅すると疑うに足りる相当な理由があるとき。
   五 被告人が、被害者その他事件の審判に必要な知識を有すると認められる者若しくはその親族の身体若しくは財産に害を加え又はこれらの者を畏怖させる行為をすると疑うに足りる相当な理由があるとき。
   六 被告人の氏名又は住居が判らないとき。
  第九十条 裁判所は、適当と認めるときは、職権で保釈を許すことができる。

  ただし、この保釈に対しても検察官の意見が問題になります。

  第九十二条 裁判所は、保釈を許す決定又は保釈の請求を却下する決定をするには、検察官の意見を聴かなければならない。
    2 検察官の請求による場合を除いて、勾留を取り消す決定をするときも、前項と同様である。但し、急速を要する場合は、この限りでない。

  だから、保釈の請求が1回で簡単に認められるわけではありません。検察官の異見により、却下になり、また請求しなおさなければならなくなり場合があります。
  さて、保釈が認められる場合には、保釈金を裁判所に納めなければなりません。また保釈中は住居の制限等々の条件が付きます。

  第九十三条 保釈を許す場合には、保証金額を定めなければならない。
    2 保証金額は、犯罪の性質及び情状、証拠の証明力並びに被告人の性格及び資産を考慮して、被告人の出頭を保証するに足りる相当な金額でなければならない。
    3 保釈を許す場合には、被告人の住居を制限しその他適当と認める条件を附することができる。
  第九十四条 保釈を許す決定は、保証金の納付があつた後でなければ、これを執行することができない。
    2 裁判所は、保釈請求者でない者に保証金を納めることを許すことができる。
    3 裁判所は、有価証券又は裁判所の適当と認める被告人以外の者の差し出した保証書を以て保証金に代えることを許すことができる。
  第九十五条 裁判所は、適当と認めるときは、決定で、勾留されている被告人を親族、保護団体その他の者に委託し、又は被告人の住居を制限して、勾留の執行を停止することができる。

  保釈金はいわば裁判所に預けているだけですから、裁判が終了した段階で、出した当人にそのまま戻されます。ただし当然、何年かかっても利息はつきません。
  また住居制限以外の条件というと、2泊以上外泊するときとか旅行をすると  きには裁判所に届けることというような条件(過去私が受けた条件です)になります。
  この保釈についてはさらに以下の条項があります。

  第九十六条 裁判所は、左の各号の一にあたる場合には、検察官の請求により、又は職権で、決定を以て保釈又は勾留の執行停止を取り消すことができる。
    一 被告人が、召喚を受け正当な理由がなく出頭しないとき。
    二 被告人が逃亡し又は逃亡すると疑うに足りる相当な理由があるとき。
    三 被告人が罪証を隠滅し又は罪証を隠滅すると疑うに足りる相当な理由があるとき。
    四 被告人が、被害者その他事件の審判に必要な知識を有すると認められる者若しくはその親族の身体若しくは財産に害を加え若しくは加えようとし、又はこれらの者を畏怖させる行為をしたとき。
    五 被告人が住居の制限その他裁判所の定めた条件に違反したとき。
      2 保釈を取り消す場合には、裁判所は、決定で保証金の全部又は一部を没取することができる。
      3 保釈された者が、刑の言渡を受けその判決が確定した後、執行のため呼出を受け正当な理由がなく出頭しないとき、又は逃亡したときは、検察官の請求により、決定で保証金の全部又は一部を没取しなければならない。
 第九十七条 上訴の提起期間内の事件でまだ上訴の提起がないものについて、勾留の期間を更新し、勾留を取り消し、又は保釈若しくは、勾留の執行停止をし、若しくはこれを取り消すべき場合には、原裁判所が、その決定をしなければならない。
    2 上訴中の事件で訴訟記録が上訴裁判所に到達していないものについて前項の決定をすべき裁判所は、裁判所の規則の定めるところによる。
    3 前二項の規定は、勾留の理由の開示をすべき場合にこれを準用する。
  第九十八条 保釈若しくは勾留の執行停止を取り消す決定があつたとき、又は勾留の執行停止の期間が満了したときは、検察事務官、司法警察職員又は監獄官吏は、検察官の指揮により、勾留状の謄本及び保釈若しくは勾留の執行停止を取り消す決定の謄本又は期間を指定した勾留の執行停止の決定の謄本を被告人に示してこれを収監しなければならない。
    2 前項の書面を所持しないためこれを示すことができない場合において、急速を要するときは、同項の規定にかかわらず、検察官の指揮により、被告人に対し保釈若しくは勾留の執行停止が取り消された旨又は勾留の執行停止の期間が満了した旨を告げて、これを収監することができる。但し、その書面は、できる限り速やかにこれを示さなければならない。

  保釈中というのは、被告人であることに変わりはないのですから、慎重にしていないと保釈を取り消される怖れがあります。そしてこの保釈中というのは裁判が続くかぎり、それこそ続くわけです。もっとも、私個人としてはそれほど「慎重に」していなくても構わないような気になっています。考え方として、裁判が終るまでは刑の執行があるわけではないわけで(もっともやったとされる犯罪により違うわけですが)、勾留され続けることのほうが、いわば刑の先取りであり、不当だと考えますから、保釈というのはいわば当り前であり、さまざま制限が付けられることのほうがおかしいと考えるからです。

  まずはこれで、私たちが突如なんらかのことで逮捕され、さまざまな経過をたどって、起訴されて拘置所に収監されたとしても、こうして保釈までこぎつけて、拘置所から出たという段階まで、こうして述べてきたわけです。普通なら、このあと裁判を続けて、その結果により有罪無罪が決定され、そして有罪のときに、実刑として収監されるのか(また控訴できるわけだが)、執行猶予が付くのかという流れになっていくわけです。