20170625232017062522 いつも誰かとの送別のときに詠ってくれと言われる詩があります。あまりに有名な詩ですから、少々羞しい気もするのですが、何度も吟ってきました。

送元二使安西(註1) 王 維
渭城朝雨邑輕塵 渭城(註2)の朝雨軽塵を邑(註3)す
客舎青青柳色新 客舎青青柳色新たなり
勸君更盡一杯酒 君に勧む更に尽くせよ一杯の酒
西出陽關無故人 西のかた陽関(註4)を出れば故人(註5)なからん

(註1)安西 西域に通じる要地。
(註2)渭城(いじょう) 咸陽。長安の西北にある町。西へ旅する人をここまで見送り、駅舎で一夜の別宴を張る。その翌朝の風景がこの詩である。
(註3)邑 この字は本当はさんずいがついている。
(註4)陽關 西域に行くのに通過する関所。玉門関の南にあたるので陽関という。
(註5)故人  古いなじみの友人。

一夜明けた渭城の朝、降った雨が塵をぬらしている。
旅館の庭の柳も青々と生気をとりもどしている。
さあもう一杯飲み乾したまえ。
西のかた陽関を越してしまえば、もう友人もいないのですから。

10111004 これは送別の詩としては一番知られているかと思います。中国でも日本でも古来から別れの時に詠われていたようです。
ふつう吟うときには、最後を3度繰返して詠うので、「陽関三畳の詩」ともいわれています。その吟い方は以下のようです。

渭城の朝雨軽塵を邑す
客舎青青柳色新たなり
君に勧む更に尽くせよ一杯の酒
西陽関を出れば故人なからん
なからんなからん故人なからん
西のかた陽関を出れば故人なからん

そして吟じ方も少し工夫がいります。
思えば、私もさまざまな送別の時にこの詩を詠ってきました。中国のある女性の送別の時にも吟ったことがあります。中国とは詩の吟じ方がかなり違いますから、音だけではすぐに何の詩か理解できないでしょうが、やがて王維のこの詩と判ってくれたようです。
しかし、たとえ別れるときにしろ、酒と詩があればそれはいいものですね。そしてまたその友が帰ってきてくれたときの酒と詩もいいものでしょう。(1995年11月)

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