10111207 どうしてなのだろうか。私は南米のどこかの山岳にいるようである。乾いた土地であり、動物はリャマがたくさんいる。
 私は二人の若者に使われている。兄が25歳くらいで、弟は19歳くらいだろうか。私は30歳くらいのようだ。
 少し太った実直そうな、神父が馬をひきながらやってくる。彼のあとには、女たちがちょうど10人ついてきている。人妻もいるようだ。みなメソチゾの女らしい。だから今思い出しても、どうみても南米なのだ。女たちは疲れたように、そこらへん座っている、みな何も喋らない。
 兄のほうが、神父と挨拶して、私のところへやってくる。「おい、お前がきょうは交渉しな!
 金の交渉は、兄がいつも仕切っているのだが、きょうは私にやれという。私は神父のそばに寄る。少し頭のはげ上がった50代くらいの真面目そうな男だ。彼は黒いゆるやかな服を着ている。今思えば、あれは僧服なのかな。いわば袈裟だから、黒だったのか。
 私はあんまり自信がないのだが、思いきって神父に言う。

 一人10で、全部で100だ! (ええと実はこのときの金の単位が思い出せないのだ)

 神父は、すぐに怒った顔になる。

 駄目だ! どれだけ遠いところから来たと思うんだ。そんなんじゃ村へは帰れない。

 そして私に小声で言う。

 おい、それに俺の取りぶんはどうなるんだ。あいつに話してくれ。こんなんじゃ、俺は帰るぞ!

 私は、「この金額でビタ一文変わらないよ」といいながら、心の中では、少し可哀想になっている。まわりで、座っている女たちも、聞かないふりをして、実は我々二人の交渉を心配しているのだ。
 私は兄のところへ行く。「神父が一人10じゃ駄目だと言っている。それと奴の取りぶんは一人10%でいいのか? でもこれも不満そうだけど
 兄は、怒り出す。

 馬鹿いうな、それ以上出せるか。それで通せ。

 そのあと、私と彼で少し言い合いになる。私はあの疲れた10人の女たちが可哀想なのだ。本当なら、彼女たちの村へ直接金を届けられたら彼女たちはどんなに嬉しがるだろうか。だが、兄が怒りだす。私を殴ろうとする。私は私よりも年下だが、ここではリーダーである彼の制裁をそのまま受けようとする。歯を食いしばって彼を睨む。殴られるときには歯をくいしばったほうが、当然痛いのだ。
 弟が兄に何かをささやく。兄は、殴る手を降ろして言う。

 そうだ、お前の歯は差し歯だったんだな。こんなところで歯を飛ばしたら、歯医者はねえぞ! またにしとこう。(実際に私は前歯は差し歯ですからすぐに飛びます)

と言って、白い歯を見せて笑う。
 私は神父のところへ歩いて行く。弟がついてきて、私に言う。

 お前、あの値段ならたいしたものだよ。それで神父には、10%にさらに5までならいいんじゃないかな。

 私は自分が思っていた通りのことを弟が言ったことに、少し自信がつく。私は神父に言う。

 一人10で全部で100だ。それでお前の取りぶんは10%の3.6だ。ただ、これでOKなら、お前には5やろう。どうだ!

 ここで、実直そうだった神父の顔に少し小狡い表情が出てくる。そうだ、こいつはまた村へ帰って、親や夫からもまたとるんだから。でもこいつも貧しい村には大切なことをしているんだろう。
 神父は馬をひきながら去っていく。女たちは、寂しそうにそれを見送っている。どうやら、俺もはじめてこうした交渉を委された。でもとうとう、俺はこれで女衒になってしまったんだな。これからどうなるんだろう。
 そんな思いの中でいるときに、ほんのさきほど(朝の6時少し前に)目が醒めました。
 なんで、こんな夢を見たのでしょうか。見当がつきません。ただ、前歯に関しては、二日前にあるところで打ち合せをしていたときに、そこにいたある人が、

 いや、前歯が折れちゃって。もともと差し歯だったから。

と言ったら、前にいた人(実は昔赤軍派)が、「私も前歯はみな差し歯で」と言い出しまして、私はさらに口には出しませんでしたが、心の中で「実は私も前歯は差し歯ですな」と言っていました。
 ただ、何で南米にいたのかは判りません。でも私の先祖の一人がいたのかもしれないなと今思いました。 (2000.01.14)