2017032625 何年か前に水戸の偕楽園に行きました。たいへんに綺麗な梅の花でした。偕楽園に限らず、弘道館の梅も有名です。
ところで水戸の梅とは幕末の水戸烈公斉昭が奨励して増えたものです。

平時は花を楽しみ、戦時は梅干を軍隊に供することを斉昭は目がけたものだが、花はたしかに幾代にもわたって万人の目を楽しませている。が、 梅干の方はというと、
「烈公さまは攘夷の戦争に役だてるおつもりでしたろうが、子年のおさわぎで、内輪同士の殺しあいの方に役に立ちました」
と故老は苦笑した。  (山川菊栄「覚書幕末の水戸藩」

(この山川菊栄の本は実にいいです。また「読書さとう」で紹介します。)10112305

弘道舘の梅を詠った斉昭の詩があります。

  賞弘道舘梅花 徳川景山(斉昭)
弘道舘中千樹梅  弘道館中千樹の梅
清香馥郁十分開 清香馥郁(ふくいく)として十分開く
好文豈是無威武 好文豈是威武無からん
雪裏占春天下魁 雪裏春を占む天下の魁

弘道舘の千株の梅
その梅が盛んに香を発して十分に開いている
梅は好文と異名されるけれども、文のみで威武のほうはないのだろうか
雪に負けず春を占め天下の魁となるのは威武に非ざれば能わずである(水戸はこの梅のように文武両道を兼ねているのだ)

水戸にはやはり梅がよく似合う。斉昭の詠うように雪の中にも咲く梅がよく似合うのでしょう。
私はこの詩だけで弘道舘の梅を想像してきていました。是非そのうち弘道館の梅を見に行きたいと思います。

また水戸というと斉昭の次の詩もいいですね。日本三景とか近江八景に負けない風景が水戸にはあるということなのでしょうね。

水戸八景 徳川景山
雪時嘗賞仙湖景 雪の時嘗って賞す仙湖の景
雨夜更遊青柳頭 雨の夜更に遊ぶ青柳の頭
山寺晩鐘響幽壑 山寺の晩鐘幽壑に響き
太田落雁渡芳洲 太田の落雁芳洲を渡る
花光爛漫岩船夕 花光爛漫たり岩船の夕
月色玲瓏廣浦秋 月色玲瓏たり広浦の秋
望遥村松青嵐後 望遥なり村松青嵐の後
水門歸帆映高樓 水門帰帆高楼に映ず

もう水戸にはこの詩に書いてある所は変わりすぎたとかききましたが、どうなのでしょうか。
千湖(千波湖)、青柳、山寺、太田、岩船、広浦、村松、水門、とこれらは水戸の景色の美しかったところなのでしょうけれど、現在の水戸ではどうなのでしょう。
さらに斉昭の有名な詩をもう一つ紹介します。

大楠公 徳川景山
豹死留皮豈偶然 豹は死して皮を留む豈偶然ならんや
湊川遺跡水連天 湊川の遺跡水天に連なる
人生有限名無盡 人生限り有り名は尽る無し
楠氏精忠萬古傳  楠氏の精忠万古に伝う

豹は死んで皮を留め、人は死んで名を残す、それは偶然ではない
湊川での大楠公楠正成の遺跡は水が天に連なるように永遠である
人生は限りがあるのだが名はいつまでも尽きることがない
その誠忠は万世に伝わり朽ちることはないだろう

水戸学には相応しい詩ですね。私のPHSの呼出音には、この詩を吟う荒國誠先生の吟が入っています。ときどき町中で、先生のこの吟がはじまります。私はその吟の出だしを聞くと、なぜか声を合わせて詠ってしまいます。(2005年に書いていた文です)

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