10112505 私の好きなヨーロッパの英雄にナポレオンがいます。このナポレオンのことを詩いました、七言絶句が徳富蘇峰にあります。これは明治29年蘇峰24歳の作です。

  奈翁(なおう) 徳富蘇峰
 歐南歐北拜旌旗 欧南欧北 旌旗を拝す
 孤島幽囚彼一時 孤島幽囚 彼も一時
 蓋棺百年無定論 棺を蓋(おう)て百年 定論無し
 亂山何處出奇兒 乱山何れの処にか 奇児を出だす

 全欧州に旗を翻したが
 孤島に幽囚のの身となったこともある
 死して百年たっても、今も彼ヘの論は定まっていない
 何れのところに こうした珍しい天才を出したのだろうか

 私は中学生のときから、蘇峰ではなく、徳富蘆花が好きでした。彼の小説をいくつも読みました。なかでも「思出の記」を一番愛読したものでした。私はこの小説を中学2年のときに、2度読み返したほどでした。
 この蘆花の、兄蘇峰への思いは実に複雑です。いや「複雑」というより、やはり蘆花は、兄蘇峰を嫌い抜いていたというところでしょう。その影響で、私も蘇峰が好きになれませんでした。
「自然と人生」の中の最初の小説「灰燼」の印象が強いのです。このことは以下に書いています。

  蘆花公園恒春園

 西南戦争で、西郷軍に参加する弟と、それを否定している兄という中で、私だって、もしその場にいたら、西郷軍にこそ結集して闘ったよと思っている私は、どうしても兄蘇峰のほうが嫌いでした。
 だがだが、やはりこれは蘆花の誤解です。兄蘇峰を誤解したままでした。そしてその蘆花の誤解は、亡くなっても、今も解けていないように思います。でもでも、それは蘆花の誤解であり、今は私は、蘇峰の偉大さに惹かれます。
 その蘇峰が、私の好きなナポレオンのことをこうして詩っています。おそらく、西南戦争での西郷南洲のことを、このナポレオンと比較したこともあるのだろうなと私は思っています。
 それにしても、ナポレオンを思う蘇峰の声をもっと知りたい気持がしています。 (2005.03.28)