11010512 私はいままで環境問題について、いろいろと述べてきたものです。そこでいつも問題になってきたのは、いわゆるエコロジスト環境保護主義者たちとの論争です。私はエコロジストを自称する人間が、平気で四輪駆動で河原の土手を駆けのぼったり、タバコの吸い殻をどこへでも平気で棄てる姿を見てきました。またドイツから帰ってきた人から、ドイツの環境保護主義者の集会が終わったときのたいへんな量のゴミが棄てられていたなどということを聞きました。
 そんな連中の言うこととは違った、まともな環境論を私は欲していました。そんな私に爽やかな気持を与えてくれたのが、次の著作です。

書  名 環境の限界は技術が超える
著  者 小野田猛史
発行所 東洋経済新報社
1990年6月28日発行

  著者があとがきで、

  技術の発展が環境破壊を生みだしている、という世界的に普遍して
  いる考え方がよい見本だが、いままで科学や技術にについて語られ、
  社会に受けいれられてきた科学や技術に対する断罪が、実ははなはだ
  しい誤解のうえに成立していることを不十分ながらも本書でいうこと
  ができたことに、喜びを感じている。環境破壊は、技術の発展が社会
  的、政治的な要因で抑圧されていることに起因している。

と述べているところにこの著書の目的があります。私もこの手の誤解とは、随分論争してきました。誤解というより、なにかひとつの傾向をもっているのですね。しかも自分たちの主張が絶対的な全人類、全地球の正義であるかのように思い込んでいるから、始末が悪い。そこまでいうなら、あなたは自分のタバコをやめなさいといいたいですね。ただし私はそれも言ったことないですよ。それは個人の自由勝手です。でも地球規模の破壊とやらと、狭い場所でのタバコとでは、その悪影響はタバコのほうが悪すぎますよ。

 「成長を求めれば環境が破壊され、環境の保全を追及すれば成長にブ
 レーキがかかる」とか、「公害は『資本の論理』が生んだものである」と、
  環境保全を求める人はだれもが信じてきた。しかし、皮肉なことに、
  いままでこのような考えと無縁な人々が、地球環境対策を世界で進め
  ている。振り返るならば、このような考えが強い支持を得てきたため
  に、その反面で、豊かな生活を送るためには環境が破壊されるのを甘
  受しなければならない、という誤った社会通念が確立されたといえる。
  エコロジストたちが、環境はとどまるところを知らず破壊されていく
  と感じ、自分たちを環境問題の殉教者であると考えたのも心情的には
  理解できる。しかも、このような殉教者意識が本人たちの考えに反し
  た社会通念をつきりだすという役割について、これまでの社会理論で
  は無視されてきた。こうしたことについて、率直に反省、再検討しな
  ければならない時期にきている。

 まったく思い当たります。チェルノブイリで事故があったとき、反原発の人たちは、これはいい材料ができたと喜んだのじゃないですか。いまでも、どこかで事故でもおきれば、この無知な大衆に警告を与えられると思っているのではないですか。

 環境を保全するほうが、環境を保全しないで放置したままの場合より
  も利益があること。技術は、そのような道に沿って発展できること。
  それというのも、環境保全確実にする唯一の方法は、保全したほうが
  利益があがるという状況をつくることにしかないからである。環境を
  破壊すると損をすることを知れば、だれも環境を破壊しなくなる。言
  い換えるならば、環境を保全するために道義心で人間の行動を縛るの
  には限界がある。
 (略)
 環境を破壊する原因となる汚染物質は、簡単にいえば、投入されたエ
  ネルギーなどの資源が有効に用いいられなかった結果として生じるの
  であり、エネルギーを効率よく利用できる技術が開発されれば、汚染
  物質は自然に減少するのである。しかも、この夢のような話は、今日
  の日本においてすでに実現しはじめている。

 私もこの「利益」「損」ということが、この環境問題を解く重要な鍵だと思います。また一番反発のあるところでもあるでしょう。だが、私はまさしくこの著者と同じことを思い、同じようなことを主張してきました。今後もまたいろいろなところで詳しく展開したいと思っています。
 この著書には、大気汚染、温室効果、酸性雨、農業汚染の問題等々が、旧ソ連、米国、開発途上国含めて詳しく述べられています。ソ連が、中国が何故一番の公害輸出国なのか、くわしくわかる気がします。
 最後に技術学の課題について述べていますが、現在さらにこの著者はその検討を深めていると確信します。またそれらの論をよんでいきたいと考えます。
 この本がもう随分前の出版であるにもかかわらず、環境問題の根源的問題とその究極的な解決方法を提示しているものと思います。

 実はこの著者とは、この本を読んだ何年後かにお会いする機会がありました。そのときに、いくつかの環境問題についての論文のコピーをいただきました。
 それらをまとめて本にすることがあるようですから、今その出版を待っているところです。(1998.11.01)