私のパソコンの周りにある文庫本を少し手にとりました。「あ、こんな本買っていたんだ」というところで、気がつきましたのが、
トーマス・マン「ワイマルのロッテ」望月市恵訳 岩波文庫
もちろん、どこの古書店で購入したかも思い出しました。思えば、この作品は中学生のときに読んではいなかったのですね。
このロッテとは、「ロッテチョコレート」のロッテです。ゲーテの「若きウェルテルの悩み」のウェルテルの恋したロッテです。あの悲恋のウェルテルの相手のロッテの４４年後の姿がこの小説です。
私は今でもいうのに少し躊躇してしまいますが、ゲーテが好きです。今でも大好きな作家詩人です。思えば、私は「ファウスト」を何度読んだことでしょうか。最初岩波文庫の相良守峯の訳で読みました。中２のとき２回読み、中３でまた読み返しました。
そのあと、筑摩書房の世界古典文学全集の大山定一訳で、高校２年の時読みました。そして今その本を手に撮りますと、本の函に、大きく「５００４萩原周二」と鉛筆書きしてあります。そして本を開きますと、
下附 私本閲読許可証
工場舎房 第ド工場３舎下房
呼称番号 第５００４番
氏名 萩原周二
閲読許可 ４４年４月２６日
という紙が貼ってあります。私が１９６９年１月１９日に東大闘争の安田講堂で逮捕され起訴されて、府中刑務所に収監される中で、この本を差し入れてもらった用紙です。
その後も、この「ファウスト」は何度も読み返しました。私がゲーテの中で一番好きな作品です。そして一番何度も読み返してきた作品です。
また、私が好きなゲーテの作品は、「ウィルヘルム・マイステル」です。この作品の「修業時代」も「遍歴時代」も中学生のときに大好きな作品でした。
ただ、ゲーテのことを話す相手というのは、私にはただの一人もいませんでした。高校では、横浜の高校に転校してきてからは、そういうことを話す相手は誰もいませんでした。大学へ入りましたら、もうそれは学生運動ばかりで、ゲーテの話なんかする相手はいませんでした。いないどころか、ゲーテのことを、単なる反動の相手とくらいしか思わない人ばかりで、がっかりしたものでした。
そしてまた、この府中刑務所に入って、この「ファウスト」を読み返して、これまた落ち着いた気持になれたものでした。
ただ、その後はゲーテに関して詳しく触れる機会というのはありませんでした。わずか以下に書いているくらいなものです。
ゲーテについてのある推理（またＵＰします）
メフィストフェレスとファウスト（またＵＰします）
今また、「ワイマルのロッテ」を読んで、あの当時の情熱を呼び返そうかな、なんて少し思っているところです。（2005.04.25）
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