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11020808 私は島尾敏雄の著作はすべて読みました。読んだつもりです。
「島尾敏雄作品集全5巻」(晶文社)、「島尾敏雄非小説集成全6巻」(冬樹社)をすべて読んあと、その中の『病妻記』といわれる一群の作品(『病妻記』から何篇か除いている)が『死の棘』という作品になっていったものでした。
 その島尾敏雄の作品では、この『贋学生』も私の好きな小説です。木乃伊之吉という人物が主人公(たぶん著者がモデルなのでしょう)に対して、何を意図しているのかどうしても想像がつきません。実は最後の最後に、この人物が主人公と同じ大学には正式に在学はしていないことが判るのです。
 いや、私には、この人物の考えていることだけでなく、顔つきも想像もできないのです。ただただ、不可思儀だけの人物です。
 その島尾敏雄さんが亡くなられ、その奥様も亡くなられて、そして娘のマヤさんも亡くなられて、なんだか私には島尾敏雄が遠くに行ってしまったような気持ばかりになります。
 島尾敏雄のただただ不思儀な作品です。この贋学生は私が今何かを言ったとしても、ただニヤリと笑うだけなのだろうな。いや少し違う顔をしてくれるかなあ。(2011.02.09)