11020512 私はこれを中学2年のときに徳間書店の本で読みました。「地の巻」「水の巻」「火の巻」「風の巻」「空の巻」になっていまして、ものすごく短い内容です。
 そしてこれを武蔵は、剣術上達の書物ではなく、兵法(へいほう、あるいはひょうほう)の本だと言いたいようです。そして一人の人間が十人の人間を倒せたら、一万人の軍勢で十万人の敵軍を破ることができると言っています。
 私はもうそのときに、「これは馬鹿じゃなかろうか」と思ったものです。それなら、世の中に兵法家も軍事の専門家もいません。
 だから結局は、江戸時代の最初に武蔵は幕府の指南役にもなれません。きっとなれるだろうと思いこんでいた熊本の細川藩でも雇ってはくれません。
 仕方がないのです。もう戦国の時代は島原の乱で終了したのです。それには武蔵も息子の伊織(実は養子ですが)とともに参加して働いたのです。でもそうした苦労を時代は報いてくれませんでした。
 だから彼は熊本市郊外のある洞穴でこれを書くのです。だが、誰が読んでも「これじゃ雇えないよ」としか思わなかったものでしょう。当たり前のことです。
 たぶん、「これだけの俺をどうしてどこも雇わないのだ」とばかり思っていたことでしょう。
 そして洞穴で寝起きしている武蔵を細川藩は実にうっとおしく感じていたはずです。
 今でも岩波文庫で☆一つで手に入る本です。(2011.02.09)