11022507 私はいつも司馬遼太郎の話となると、ほぼ誰もが実に肯定的に話すことに対して、「それも小説だよ。歴史の事実とは違う」と話したものでした。だから、司馬遼太郎に関しては、私は好きではないのだろうと思われがちでしたが、けっしてそんなことはありません。ただ彼の作品に溺れるような思いは一度もありませんでした。
 彼は、1923年(大正12年)8月7日〜1996年(平成8年)2月12日)の生涯でした。私は彼の作品はほぼみなと言えるくらい読んできましたが、『街道をゆく』はすべてを読んではいません。
 そしてその中でも、この『峠』という作品が好きです。いや、この作品で描かれている河井継之助という人物が好きになったのです。私には数多い司馬遼太郎の作品の中では、これが一番好きなのです。
 司馬遼太郎は、『史記』を描いた「司馬遷に遼に及ばず」ということで、ペンネームにしたようです。高校1年のときに『史記』を読んで、司馬遷のファンになっていた私には、そのあと大学生後半になってから読み始めた作家でした。
 ただ私には、この『峠』はそれほどの長編には思えていない作品です。私にはアッという間に読んでしまった思いです。
 ただし、この河井継之助という人物への思いは、私にも簡単にはすみません。薩長がいけないのだと思えば、いいわけなのかもしれませんが、そうも行きません。明治の始めの会津城攻城戦には、弁当を持って見学に来ていた庶民がいたといいます。そんな多くの民衆から見れば、この人物のやったことは何だったのでしょうか。単に西欧の新規の銃を駆使して多くの人を死なせてしまったことしか思いません。ただ、そうは思いますが、どうしても好意を持ってしまう人物です。(2010.03.07)