11031002 さいきん必要あって荻生徂徠の『国学弁』と『国学弁翼』とをよんだ。表紙の話で恐縮だが、この二冊を当世流に上・下巻などとせずに乾、坤としてあったのが気にいったので表題に借用することにした。かれら江戸期の思想家たちは、あるいはこういう小冊子でも天地を包括する思想のつもりだったのかもしれない。わたしの時評の題名は星めぐり季節はうつったが一年の文芸も詩的な乾坤のなかにあるといったつもりである。
「詩的乾坤」1962.12「文芸」に掲載 「模写と鏡」1964.12春秋社に収録された

 ちょうど吉本さんは「言語にとって美とは何か」を書いているころである。かなりな吉本さんの息吹が伝わってくる。「勝利だよ!勝利だよ!」と叫んでいたころなのだろうか。そして私にとっては、現在の文芸の詩的乾坤とはどう考えられるのだろうか。