このごろ、私の娘たちと同じくらいの子どもさんたちの就職のことでお話する機会がたくさんあります。私の娘たちのような教員になろうという子どもの親は、「たとえ今年教員試験に受からなくても、臨時採用でもいいから、それを続けて、また来年正式に受かってほしい」という気持ですが、一般の企業に入りたいという子どもさんの親は、「とにかくプータローにだけはなっては駄目」という方が多いようです。
私はこの親の気持は大事だと思います。それで子どもを励ますのはいいことなのです。でも「もうどこでもいいから、とにかく会社に入ってほしい」とばかりいうのは、私はちょっと問題だなと思ってしまいます。これは各大学の就職担当の方にも感じることです。 私のクライアントは、みな中小企業ですから、新卒の方が就職することはまずありません。ただ、その年の５月・６月や９月くらいになって再就職で来る方はけっこうおいでになります。そうした方に聞きますと、大学の推薦で入った会社でも、ひどい会社があることが分かるのです。また親は「とにかくどこでもいいから就職して！」ということで、決めちゃったのだが、入ってみるとどうしようもないひどい会社だったということを聞きます。いやはや、たくさんありますよ。もうたくさんの例を私は話すことができます。
親が、「頑張って、必ず就職して」と励ますことはいいのですが、「どこでもいいから、とにかく就職して」とばかりいうのは、私は「よくないなあ」と思っています。子どもよりも、少しは社会のことを知っているのが親であるわけです。その会社の内容は、少しは判るはずなんです。調べられるはずなんです。
そうですね、一昨年私がある親にアドバイスしたことを少し話します。
子どもさんが、ぜひ、広告の制作をやりたいと考えていました。それで広告代理店を目指しました。私はその親に、「大学卒というのは、広告の制作ではなく、毎日背広着て、営業するだけだよ」といいました。そして、その子ども自身が、就職したいという会社（ええとけっこう中堅の広告会社です）についていいました。
けっこう大きい会社だけれど、就職したら、土日も祝日も出勤
だよ。だって、そこのクライアントは○○の業界だよ。真面目に
働けば、ただ身体を壊しちゃうだけになると思うな。彼が普通の
感性だったら、５月に辞めるよ。
私は「広告の制作をやりたいなら、こうするべきだよ」とさらにいいました。もう遅かったので、彼は別な業界の会社に入りましたが。
もう成人した大人なんですが、人生の先輩である親は、少しは教えてあげるべきだと私は思っております。自分で知らない業界でも、たくさんの友人がいるはずじゃないですか。少しは親がおせっかいをすべきなんです。
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