2011年06月12日

今井澄『全共闘からの反論』

2016112116

 佐々淳行「東大落城」で国家権力機動隊の側からの東大安田講堂を中心とする闘争を描いたものを見てみましたが、私たちの全共闘側からの反論も見てみたいと思います。

題 名 東大安田講堂防衛隊長が二四年目に明かす「全共闘私記(上)」われらが運動に終焉なし
著 者 社会党参議院議員今井澄
掲載誌 月刊「Asahi」1993.5.1号

11060908 佐々淳行の「東大落城」がベストセラーであるそうで、それにたいして、闘争当日の安田講堂防衛隊長の全闘連の今井澄が反論しているものです。しかし、私は当日闘った全共闘のひとりとしていいたいのです。この今井のは「東大落城」よりまったく嫌な文章である。

  佐々氏は「挫折した東大全共闘は安田講堂事件の総括をきちん
 としていない」とし、「二十三年の歳月」「歴史の空白」と言い、
 自らを「警備側の『語り部』」と称している。
  しかし、残念なことに、そしてまた当然ともいえるが、氏の語
 りは、まさに氏自身が「ドンパチ野郎」と自称するように、安田
 講堂闘争を単なるミニ戦争的事件としてとらえ、「戦いに酔い、
 戦術にかたより」(佐々氏)、全共闘運動そのものの意味をまっ
 たく見ていない。その証拠に、助手共闘を医学部の組織と思い違
 いし、リーダーの最首悟氏を医学部助手と誤記するような、重大
 な誤りをおかしている。全学連運動と全共闘運動の違いを、まっ
 たくわかっていない。

 いったい今井は何を言っているのか。最首が何だろうが、私だって知りはしない。だいたいに、今井の属していた全闘連というのが何の省略なのかも分からない。私が覚えているのは、今井がML派(毛沢東かぶれの党派)と同じヘルメットをかぶって演説していたことくらいだ。私が「東大落城」で不満なのは、あまりに「ドンパチ」が少ないからだ。なんだか佐々はやはり東大闘争とやらに過大な評価を持っているように思える。私はもっと「戦いに酔い、戦術にかたよ」った内容を期待していたのだ。全学連と全共闘の違いなんか、別に分かってくれなくていいんだよ。
 細かく佐々の文のあやまりを指摘したいのなら、もっと細かくやってくれ。佐々がどうでもいいあやまりをやるのなら、あなたの明確なる誤記はどうするのだ。

  とくに、ある特定の党派のヘルメットをかぶった学生は、「三
 里塚のかたきだ」といわれて激しく殴られた。三里塚闘争で機動
 隊員が死亡したことの恨みをはらそうとしたのだろう。

 私たちが逮捕されるときに、激しく機動隊からのリンチは受けた。だけどこの内容は事実ではない。あの東大闘争の前に、いつ三里塚で機動隊員が死亡などしているのだ。今井自身は嘘をつくような人ではないとは思うから、よっぽどボケてしまったのか。私は逮捕される寸前は今井のすぐそばにいたのだが、こんな事実はみていない。今井はその後(保釈後)闘争の現場に出たことはないと思われるのに、なんでこんな誤解をしてしまうのだろうか。まあボケたんでしょうね。選挙に出たころ、推薦していた加藤一郎(当時の東大学長代行)や秦野章(当時の警視総監)より、老けて見えたからね。
 私は事実で彼を責める気はあんまりないのだが、佐々に対して事実云々をいうのを見ると情けなくなるのだ。
 しかし私が一番異和を感じるのは次のようなことだ。

  全共闘世代は、日本のあちこちで、それなりの地歩をきずき、
 着実に世の中を変えようとコツコツがんばっており、いま、ゆる
 やかなネットワークを形成しつつある

 これはそうだと思うのだが、

  全共闘運動のなかから、既成左翼の理論からは生まれてこなかっ
 た地域医療活動、環境保護や反原発、女性解放などのさまざまな
 運動が形成されてきており、それが全共闘運動の特筆すべき性格
 であると思う。

なんて言われるのは、まったく冗談ではない。私たちの全共闘運動はそんな運動へのめり込んでいくような質のものではなかったはずだ。そんな運動は、結局「既成左翼」とやらと手をつないでやっているだけではないか。だいたい今井の肩書の「社会党参議院議員」というのはいったい何なのだ。これは既成左翼ではないのか。
 私はこの文に全共闘で一緒に闘った、かっての同志の無残なほどの退廃を感じてしまいます。もうこうした人たちとはもう2度とスクラムを組むことはないでしょう。(1993.04.09)



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1. 112■ 今井澄  [ 医学生史 〜戦後医学生運動史〜 ]   2014年10月23日 14:42
1969年1月安田講堂防衛隊長だった今井 澄氏(1939年11月17日 〜2002年9月1日)は2000年に民主党代議士となって、全断連福岡大会にアルコール議員連盟事務局長の肩書きで来賓挨拶をしたことがあることは「24■ アルコール依存」の項で触れた。 著書

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