本日2011年8月5日の朝刊の最終面(40ページ文化面)に、吉本(吉本隆明)さんへの取材記事がありました。

(8・15からの眼差し 震災5カ月)(3)科学に後戻りはない 吉本隆明氏 原発 完璧な安全装置を

11080501 詩人で批評家の吉本隆明氏(86)は戦時中、軍国主義少年だった。その体験を自らに問い、戦後、独自の思想体系を築いた。戦後思想の巨人に、今回の震災体験を聞いた。

 ――3月11日は、どうしていたか。
 「自宅のこの部屋で書き物をしていたと思う。足腰が不自由で、自宅周辺のことしか分からないが、地震の後は、不気味なほど、静かだった
 ――戦中と比べると。
 「あのころの東京は、人々も町中の印象も、どこか明るくて単純だった。戦争で気分が高揚していたせいもあったろうが、空襲で町がやられた後でも、皆が慌ただしく動き回っていた。
 今度の震災の後は、何か暗くて、このまま沈没して無くなってしまうんではないか、という気がした。元気もないし、もう、やりようがないよ、という人が黙々と歩いている感じです。東北の沿岸の被害や原子力発電所の事故の影響も合わせれば、打撃から回復するのは、容易ではない

 ――復興への道は。
 「労働力、技術力をうまく組織化することが鍵を握る。規模の拡大だけを追求せず、小さな形で緻密に組織化された産業の復興をめざすべきだ。疲れずに能率よく働くシステムをどうつくっていくか、が問われるだろう。
 それには、技術力のある中小企業を大企業がしっかり取り込む必要がある。外注して使い捨てるのではなく、組織内で生かす知恵が問われている。この震災を、発想転換のまたとない機会ととらえれば、希望はある

 ――事故によって原発廃絶論がでているが。
 「原発をやめる、という選択は考えられない。原子力の問題は、原理的には人間の皮膚や硬い物質を透過する放射線を産業利用するまでに科学が発達を遂げてしまった、という点にある。燃料としては桁違いにコストが安いが、そのかわり、使い方を間違えると大変な危険を伴う。しかし、発達してしまった科学を、後戻りさせるという選択はあり得ない。それは、人類をやめろ、というのと同じです。
 だから危険な場所まで科学を発達させたことを人類の知恵が生み出した原罪と考えて、科学者と現場スタッフの知恵を集め、お金をかけて完璧な防御装置をつくる以外に方法はない。今回のように危険性を知らせない、とか安全面で不注意があるというのは論外です

 ――明るさは戻るか。
 「全体状況が暗くても、それと自分を分けて考えることも必要だ。僕も自分なりに満足できるものを書くとか、飼い猫に好かれるといった小さな満足感で、押し寄せる絶望感をやり過ごしている。公の問題に押しつぶされず、それぞれが関わる身近なものを、一番大切に生きることだろう

よしもと・たかあき 1924年東京生まれ。東京工大電気化学科卒。著書に「言語にとって美とはなにか」「共同幻想論」「最後の親鸞」「家族のゆくえ」、詩集「転位のための十篇」など。

 こんなに新聞を丸写しすると、怒られるかなあ。でも私にはもう、これは全部を写したかったのです。できたら、これでみんなが日経の電子版を読んでくれればいいなあ。
 私は今年3月11日の地震で、その後何か自分の思いを適確に言ってくれるはずの言葉をまっていました。長谷川慶太郎さんは、原発を東京電力のやり方を明確に批判しながら、でも「原発を止めろ!」ということは少しも言われていませんでした。だが私は不安でした。慶太郎さんよりも、どうしても尊敬崇拝してしまう吉本(吉本隆明)さんの言われることが知りたかったのです。それがこうして今知ることができました。
 やっぱり私の吉本(吉本隆明)さんです。

今度の震災の後は、何か暗くて、このまま沈没して無くなってしまうんではないか、という気がした

労働力、技術力をうまく組織化することが鍵を握る。規模の拡大だけを追求せず、小さな形で緻密に組織化された産業の復興をめざすべきだ。疲れずに能率よく働くシステムをどうつくっていくか、が問われるだろう

技術力のある中小企業を大企業がしっかり取り込む必要がある。外注して使い捨てるのではなく、組織内で生かす知恵が問われている。この震災を、発想転換のまたとない機会ととらえれば、希望はある

原発をやめる、という選択は考えられない。原子力の問題は、原理的には人間の皮膚や硬い物質を透過する放射線を産業利用するまでに科学が発達を遂げてしまった、という点にある。

発達してしまった科学を、後戻りさせるという選択はあり得ない。それは、人類をやめろ、というのと同じです。

危険な場所まで科学を発達させたことを人類の知恵が生み出した原罪と考えて、科学者と現場スタッフの知恵を集め、お金をかけて完璧な防御装置をつくる以外に方法はない。

公の問題に押しつぶされず、それぞれが関わる身近なものを、一番大切に生きることだろう

 朝に大急ぎで、これを抜き出しました。もう私は吉本(吉本隆明)さんの声が聞こえてものすごく嬉しいです。
 そして今日、私もしっかり生きていこうという確信が持てました。