2011年11月14日

吉本隆明鈔集278「金丸信にたいしてよりも」

11111225 わたしは金丸信にたいしてよりも、新聞やテレビの経営者や、雇われ記者や、キャスターのほうにたくさんの批判を感じた。現在の世界の資本主義や社会主義の体制で、清潔で金のかからない政治をできるとかんがえたり、実現している者がいると考えたりするのは、まったくの勘ちがいなのだ。人を支配できることに喜びを感じたり、お金は活動していればひとりでに、ふところに入ってくるものだとかんがえたり、そういう願望が人一倍つよい人間が政治家になっているにきまっている。自分のことは勘定にいれず、清貧の思想をまもり、四六時ちゅう民衆のために献身している政治家などは、資本主義国にも社会主義国にもひとりもいるはずがない。またそんな政治家が、現在の段階でいたら、かえってうす気味わるいとおもう。
 金丸信が嘘つきなら、新聞やテレビの経営者や、雇われてたてまえだけの発言をしている記者やキャスターのインテリたちも嘘つきだとおもう。個人の所得や財産にまで介入するような報道をやるのなら、自分たちも死ぬ気までとはいわないが、傷つくことは覚悟のうえでやるべきではないのか。そうでなければ社会はいつまでもたてまえだけの情報がマスとなって流通し、民衆は永久に虚像の情報で無知のまま引きまわされることになる。
「社会風景論−金丸信保釈の日」93.4.3「産経新聞」に掲載  「情況へ」1994.11.10宝島社に収録された

 金丸にしても私たちにしても、脱税は違法なことだ。だが個人の所得や財産の内容はあくまで誰も介入されるべきものではないのは自明のことだ。それをさも正義の味方のようなに振舞ったのが、各マスコミの論調である。そしてそれはまた現在の政治に対する全くの勘ちがいでしかないのだ。



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この記事へのコメント

1. Posted by noga   2011年11月14日 09:13
英米人の脳裏には、現実の世界があると同時に、非現実の世界観 (world view) がある。

現実の世界を現在時制の内容で表現すると、非現実の世界は未来時制の内容として表現できる。
現実の世界と非現実の世界は、英語では一対一の対応がある。
そして、現在時制の内容に対応した未来時制の内容が過不足なく考えられる。

真実は現実の中にある。が、真理は考え (非現実) の中にある。
現実は真実である。現実の内容として述べられる非現実は嘘である。
時制がなく、現実と非現実の区別がつかなければ、本人は嘘ついてるという自覚はない。
話の内容が現実離れしていることに違和感がない。



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