12010609 青島幸男は都知事に就任してすぐに、知事選のときじぶんが公約に掲げた「世界都市博覧会の中止」と、都議会がすでに決定していた都市博の開催についての準備工事の進行のあいだの矛盾に当面した。軽味の芸を本領とする青島幸男でも、都市博中止という公約など、どうせ知事に当選するはずがないから冗談半分に掲げてみただけだというように茶化すだけの器量はなく、「悩みに悩み、熟慮に熟慮を重ね」たと声明文の中でのべている。わたしはほかのことは青島都知事を選んだ都市大衆の叡知に舌を巻くほど感服したが、この公約はつまらない独りよがりだけで、都市大衆の利害をまったく勘定に入れずに、じぶんの理念を大衆のためにつくすものだと主観的に思い込んでいるだけの旧来の進歩派(スターリン・ソフト)を一歩も出ようともしないし、破ろうともしない態度におもえて仕方なかった。
「情況との対話第29回−都市博中止は是か非か」徳間書店「サンサーラ」1995年8月号に掲載

 青島の都知事当選そのものは、現在の政治情況へのある不満を露呈したものだと思う。この都民の選択判断そのものは充分考えるべきものをもっていると思われる。青島の選択を「衆愚政治」の現れのように言う傾向があるが、それこそ都民の叡知が判っていないだけなのだ。だが、そのこととは別に青島の世界都市博中止の公約とその公約実施ほど、逆にこの都民大衆のことをまったく思慮にいれていない政策ではないのかといわざるをえない。