2012年04月25日

周の歌集(周の「革命の歌」)「青年日本の歌」

歌名   青年日本の歌(昭和維新の歌)
作詞作曲 三上 卓

一 汨羅の淵に波騒ぎ
  巫山の雲は乱れとぶ
  混濁の世に我立てば
  義憤に燃えて血潮沸く
二 権門上に傲れども
  国を憂うる誠なし
  財閥富を誇れども
  社稷を思う心なし
三 ああ人栄え国亡ぶ
  盲たる民世に踊る
  治乱興亡夢に似て
  世は一局の碁(ご)なりけり
四 昭和維新の春の空
  正義に結ぶ丈夫(ますらお)が
  胸裡百万兵足りて
  散るや万朶の桜花
五 古びし死骸(むくろ)乗り越えて
  雲漂揺の身は一つ
  国を憂いて立つ時に
  丈夫の歌なからめや
六 天の怒りか地の声か
  そもただならぬ響きあり
  民永劫の眠りより
  醒めよ日本の朝ぼらけ
七 見よ九天の雲は垂れ
  四海の水は雄叫びて
  革新の機(とき)到りぬと
  吹くや日本の夕嵐
八 ああうらぶれし天地(あめつち)の
  迷いの道を人はゆく
  栄華を誇る塵の世に
  誰が高楼の眺めぞや
九 功名何か夢の跡
  消えざるものはただ誠
  人生意気に感じては
  成否を誰かあげつらう
十 やめよ離騒の一悲曲
  悲歌慷慨の日は去りぬ
  われらが剣(つるぎ)今こそは
  廓清の血に躍るかな

12042404 この歌を「革命の歌」に入れてしまうのには、異議があるかもしれません。だが私にとってはこの歌もまたこの日本を何とか変えようとした若者たちの革命の歌だと思っているのです。
「汨羅」とは楚の屈原が身を投げたところです。その日が5月5日で、端午の節句の日になっています。屈原のために河に投げ入れる竹の簡がやがて粽(ちまき)になりました。私は甘いものは好きではないので、食べることはありませんが、粽をみるといつも屈原の気持を思い浮かべます。この屈原の魂を慰めるために、沖縄のハーリー祭りとか長崎のペーロン競争とかいうボート漕ぎ競争が始まったといわれています。屈原の存在した南中国の流れがこの日本にも強く結びついているのだなと思います。
 その屈原の編纂した詩集「楚辞」はたいへんに北の「詩経」とは異なっています。たくさんの詩の章があり、それぞれ印象深く読んでいけるのですが、とくに「離騒」という章は憂国の詩です。楚はついに屈原のいうことをきくことなく、やがては秦に滅ぼされてしまいます。戦前の多くの若者たちも、「やめよ離騒の一悲曲」という詩句にふるいたったことでしょう。東北の農村は疲弊し、財閥も政党も己のことしか考えていない。いまこそ屈原のように詩を作り、身を投げるのではなく、「剣」と「銃」をもって立ち上がるのだというのでしょう。
 だが私は最後の「廓清の血」というところは「革命」であってほしかったと思います。二・二六の磯辺浅一ならためらわず「革命」というように思うのですが。
 またこの歌詞を読んでいますと、土井晩翠「星落秋風五丈原」の詩を思い出します。いくつも同じ語句が使われています。三上さんは土井晩翠の「天地有情」を愛読していたのだろうなと思います。私も「星落秋風五丈原」は一時は全文暗誦できるほど好きな詩です(あまりに長大な詩なもので、今は全文暗誦はできません)。私は諸葛亮孔明という人は、「三国志」の世界(「演義三国志」や吉川英治「三国志」)では、さほど好きになれないのですが、この土井晩翠の詩の世界では、どうしても涙を流してしまうほど、その気持に惹かれてしまいます。天は孔明に勝利をもたらすわけではありません。黙って見ているだけなのです。だが孔明が亡くなったときに、天は星を流すのです。これが天地有情なのですね。だが三上さんにとっては、天はどうしてくれたのでしょうか。
 数年前に亡くなりました私の友人であった彦由常宏さんと舞踏家の麿赤児さん(麿さんも実に私の親しい大好な友人です)が、この三上さん宅に会いに行ったことがあったそうです。三上さんは、快く会見してくれたそうです。私もぜひ同行したかったものだと悔やまれます。
 私は昔労働組合を作ったときに、みんなで唄う労働歌に、「インターナショナル」と「ワルシャワ労働歌」とこの歌(あともうひとつ「唐獅子牡丹」も)を印刷してみんなに渡しました。現実に皆で唱うことはありませんでしたが、組合結成の最初のころのある旅館でやったあつまり(なんと社員パートのほとんど全七〇名くらいが集まった、私はそのとき司会議長をやりました)で、最初に私一人でこの歌を一〇番まで唄いました。あるパートの若い女の子がこの歌も「ワルシャワ労働歌」と同じくらいいい歌だと感激してくれたものです。
 また私たちの埼大の関係で集まるときには、「ワルシャワ労働歌」も唱いますが、必ずこの歌も唱ってきたかと思います。(1998.12.01)



shomon at 04:17│Comments(0)TrackBack(0)clip!周の歌の話 

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