12042604 それにしても折口信夫という国文学者はたいへんな人だと改めておもう。歌人の岡野冬彦は柳田国男と折口信夫を弥次喜多道中のように描いた末、柳田国男が修理中の天皇陵にずかずか入って、とがめる門衛にお説教をし、折口信夫が代わりに謝罪してすました挿話を書いていてわたしは興味深く読んだ。
 しかし、岡野冬彦がその本のなかで折口信夫の同性愛やナショナリストぶりを見つけているのはつまらないことだ。こういう固定観念から解放されて、お前みたいな門衛など以前は要らなかった。天皇陵など自由に出入るできるんだと説教する柳田国男と代わりに謝っているお供の折口信夫の愉しい光景を岡野冬彦の本から受け取れるだけでいいのだ。
 つくづく思想を右と左に分けてすましている人士と、それを思想理念、理想として世界を色分けしたヨシフ・スターリンの一国社会主義理論の虚偽を払拭してくれたらと思う。
「中学生のための社会科」2005.3.1 市井文学

 何度読んでもこのとろこは面白いのです。ああ、柳田さんてそういう人だったんだろうな。折口信夫さんもこういう人だったんだろうなと、実に頷いてしまうのです。