2012年05月15日

吉本隆明鈔集461「神話の英雄も流浪する」

12051418 本居宣長は、神話は神話としてそのまま受け止めるべきだと、『古事記伝』のなかで述べている。折口信夫は神話について宣長とまったくちがった考え方をとっている。神話は諸国を流離する自分たちの境遇に似せてつくったものだと類推して創造したと見做している。神話の英雄も流浪するのだと、ひとつのクッションをおいた解釈をとっているとおもえる。景行の次子の倭建命も流浪する。神話の初代天皇とされる神武天皇も九州の高千穂地方から大和地方までの遠征の旅を、途中で滞在しながら、長い年月をかけて歩いてきたことになっている。これは諸国の民謡を唐突に「撃ちてしやまん」と結びつけていることからも推測できると、わたしは考えている。
 そういうところの勘は鋭い人だった。
「家族のゆくえ」2006.3.1光文社『第三章 性の情操が入ってくる───【前思春期・思春期】

 この吉本さんの言葉で、また「あそうなんだ」と折口信夫さんに関して判った気持になってくる。そして、こうしたところが、折口さんがまた戦後批判されてしまったところでもあるのだろう。でも、これはやはり折口さんの鋭く優れたところだなと私は深くうなずいています。



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