12051803  やくざ映画といえば、なんといっても高倉健でしょう。そしてその高倉健が主演した「昭和残侠伝」シリーズで、最後の殴り込みのシーンで必ず流れるのがこの歌でした。

曲名    唐獅子牡丹
作詞    水城一狼
        矢野  亮
作曲    水城一狼
編曲    白石十四男
 唄     高倉  健

一  義理と人情を  秤にかけりゃ
    義理が重たい  男の世界
    幼なじみの  観音様にゃ
    俺の心は  お見通し
    背中で吠えてる  唐獅子牡丹
二  親の意見を  承知ですねて
    曲がりくねった  六区の風を
    つもり重ねた  不孝のかずを
    なんと詫びよか  おふくろに
    背中で泣いてる  唐獅子牡丹
三  おぼろ月でも  隅田の水に
    昔ながらの  濁らぬ光
    やがて夜明けの  来るそれまでは
    意地でささえる  夢ひとつ
    背中で呼んでる  唐獅子牡丹
四  白を黒だと 言わせることも
    しょせん畳じゃ 死ねないことも
    百も承知の  やくざな稼業
    なんで今さら  悔いはない
    ろくでなしよと  夜風が笑う
五  親にもらった  大事な肌を
    すみで汚して  白刃の下で
    つもり重ねた  不幸のかずを
    なんと詫びよか  おふくろに
    背中で泣いてる  唐獅子牡丹

  映画の最後に健さんの花田秀次郎が一人殴りこみに行こうと夜道を歩いていくと、街角で池部良の風間重吉が「ご同行ねがいます」といってとなりに並んで歩きます。健さんは目で挨拶するだけです。私たちは池袋の文芸座で一緒に声を出して歌い出していたものです。
  この歌が一番仁侠の歌としては歌われることが多いのではないでしょうか。私は四番の歌詞を歌う高倉健の声が一番思い出されます。また三番の

    やがて夜明けの  来るそれまでは
    意地でささえる  夢ひとつ
    背中で呼んでる  唐獅子牡丹

は何かのときにいつも心に浮んできました。昔こんなことを書いたことがあります。

    たとえ「あしたのジョー」が「乾物屋のジョー」になったとし
  ても、背中の唐獅子には嘘をつけないから、夢ひとつ意地でささ
  えるのだ。

 ちなみにこれは、漫画の中であしたのジョーは白石葉子に惚れているのだが、現実の世界では紀子(彼女の実家は乾物屋)と一緒になったほうが幸せだろう、だがそうはいかないのだ、ということにあります(漫画では、紀子はマンモス西と一緒になり、ジョーはリングで燃え尽きてしまいます)。
  背中の唐獅子と、夢がいつもいつも問題なのです。(1998.11.01)