1210180112101802 この伊左衛門は的矢の家をよく知っているのです。今の新的矢六兵衛ではなく、その親の隠居を語ります。

 わしのよく知る御隠居などは、現役の当座いくらかの酒が入ると、大阪の陣におけるご先祖様の働きぶりを、わが槍のごとくに語ったものであった。
 気がかりはその御隠居であったな。

 この隠居ではなく、そもそもの的矢六兵衛が代わってしまったのです。

 ・・・。・・・、なにしろ、年が明けたらふいに配下のひとりが面相を変えていたのだ。交代したのではない。首がすげ代わった。
12101613 折しも稲荷町の大縄地にしんしんと雪の降り積む、暗鬱な晩であったよ。

 この日がここの挿絵に見事に描いてあります。絵を見ているだけで寒くなってきます。いやこれは実にすごい見事な小説ですね。