12112312  私は映画を見るときは、いつもプログラムも手に入れるようにしています。これは45歳くらいの時からです。そしてそのプログラムを読みながら、この「周の映画演劇館」に私の見た感想を書くようにしています。
 私はこれを書き終わったときに、始めてその映画を見たと言えると思っています。これは本を読んだときに私は「雑読」と称して、もう随分多く書いているのですが、それよりもこの映画のほうが多く感じるものです。
 ただこの映画は、王子シネマで、このプログラムを求めたときに、「もうすべて売れきれました」と言われてものすごく落ち込んだものでした。
 だから、これは、私がインターネットの情報を見て私の記憶を思い出しながら書いたものなのです。

12112311題名  あなたへ
封切 2012年10月5日
監督 降旗康男
配給会社 東宝
上映時間 111分
キャスト
 倉島英二  高倉 健
 倉島洋子  田中裕子
 南原慎一  佐藤浩市
 田宮裕司  草  剛
 濱崎多恵子 余貴美子
 濱崎奈緒子 綾瀬はるか
 大浦卓也  三浦貴大
 大浦吾郎  大滝秀治
 塚本和夫  長塚京三
 塚本久美子 原田美枝子
 杉野輝夫  ビートたけし
       浅野忠信
       岡村隆史

 私はなんと言いましても、高倉健さんの映画はたくさん見てきました。健さんが、佐々木小次郎をやった「内田吐夢『宮本武蔵巌流島の決斗』」を見たのが最初で、そののちいくつの映画も見てきました。ついこのごろでは、「降旗康男『鉄道員(ぽっぽや)』」を見て、私はこの原作の「浅田次郎『鉄道員(ぽっぽや)』」もいいのですが、その原作にはない「故江利チエミ『テネシーワルツ』」の音楽が流れるところなんか、原作の浅田次郎さんも感激したのではと思いました。映画って、もっと総合芸術といってもいいようなものなのです。
12112308 その『鉄道員(ぽっぽや)』の時と同じ降旗康男が監督したのがこの作品なのです。

 この作品で出演する草剛、いいですね。彼が「演じられたのは健さんのおかげ」と感謝したのですが、それがよく分かります。この草剛が演ずる田宮裕司と一緒に車で旅をしている南原慎一ですが、これまた良かったです。彼の秘密は田宮裕司には分かっていないですが、倉島英二にはしっかり分かっていて、それを父親の大浦吾郎には言葉ではなく伝えるのです。
 その大浦吾郎の息子大浦卓也はもうすぐ濱崎奈緒子と結婚するのです。その奈緒子の母親が濱崎多恵子なのですが、その夫はもう海で漁のうちに亡くなったといわれ、もう多恵子も娘も娘のその通り思っているのですが、なにしろ遺体があがらないわけで、多恵子はまだ「ひょっとしたら」という思いもあります。
 倉島英二は富山刑務所の刑務官でした。そこで刑務所に慰問に訪れ歌を唄う洋子と知り合い結婚するのです。でも洋子は、そもそも慰問に訪れているのでなく、その刑務所にいる自分の恋人に会いに来ていたのです。
12112307 その恋人が亡くなって、そののち倉島英二は洋子と結婚します。そのあとこの二人が飲み屋で会話しているところなど、ただ私は見ていて嬉しかったものです。
 その洋子が亡くなったときに、遺言で英二は聞くのです。遺言信託というサービスからで、自分の遺骨を「故郷の海に散骨してください」ということとあともう一通は洋子の生まれ故郷の長崎県平戸市の郵便局にあと10日以内留め置きになっていというのです。
 それで、英二は、本当なら洋子と一緒に乗るはずだったダイニング付きワゴン車で長崎まで移動するのです。その移動の途中で杉野輝夫という元国語教師にも会います。彼は俳人種田山頭火が好きなのですが、どうしてか警察に捕まってしまうような詐欺師なのです。
 でも私は今でも、この杉野輝夫が悪いことをしようとしていたなんて少しも信じられないのです。

 やがて洋子の指定した故郷の平戸の海に着きます。だが最初は海が荒れています。漁師の大浦吾郎もいい顔をしません。南原慎一が薦めてくれたのです。
 でもやがて英二は分かるのです。この大浦吾郎の娘濱崎多恵子は、南原慎一の元の妻なのです。南原慎一の死を信じたくない多恵子は届けを出していないのです。
12112305 平戸で古い閉じた写真館に飾られた洋子の古い写真です。若いときの写真を見つめる英二に私はまた涙していました。英二は妻の散骨を済ませ、富山に戻ろうとします。
 でももう一度、英二は平12112306戸へ戻ろうとします。結婚するだろう濱崎奈緒子に父親南原慎一からの写真を届けるのです。

 なおこの映画作品を最後として、大滝秀治さんは亡くなられました。私の好きな俳優さんでした。合掌します。