これもまた第50回で狩野善行が電話で純に言う言葉なのですが、私にはいつも杜牧の『烏江廟』が思い出されます。「捲土重来」（けんどちょうらい）
「捲」は「巻」に同じ。「巻土重来」とも書く。土けむりを巻き上げて重ねて来る意。
（『岩波 四字熟語辞典』）
私はこの「杜牧『烏江廟』」を何度詠ったことでしょうか。以下この詩をあげておきます。
烏江廟 杜牧
勝敗兵家不可期 勝敗は兵家も期す可からず
包羞忍恥是男兒 羞を包み恥を忍ぶは是れ男兒
江東子弟多豪俊 江東の子弟豪俊多し
捲土重來未可知 捲土重来未だ知る可からず
いい詩です。いつもこの烏江で、どうして渡し守が用意してくれた舟に乗らなかったのだと私は思ってばかりです。
それと「司馬遼太郎『項羽と劉邦』」では、最後が「司馬遷『史記』」とは違っています。おそらく歴史では、「司馬遼太郎『項羽と劉邦』」が真実でしょう。でも私はその真実を知りながらも、あのような結末にした司馬遷を思うのです。そしていつも杜牧の気持も思うものです。
そうですね、私はいつも虞美人のことを歌った項羽の詩も好きです（作者は司馬遷なのでしょうが）。虞美人の詩も好きですよ。
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