1302200113022002  ひさしぶりに福地源一郎が登場します。彼は伝馬町にパクられていたということです。この挿絵が源一郎なのです。

 羽織袴は汚れくたびれ、月代は浪人のごとく伸び、すっかり面窶れしているのですぐに誰とはわからぬが、よくよく見れば紛うことなき福地源一郎である。

 この源一郎がえらく怒っているのです。田島小源太がなんなく「源一郎の腰から造作もなく脇差を抜き取った」という。源一郎は刀なんか(ここでは脇差ですが)使えないのですよ。

「このなりを見たまえ。僕はその伝馬町の牢獄に、かれこれ一月近くも放りこまれていたのだ」

 そうなんだ。これから福地源一郎は新聞も大いに出していきますが私が浅田次郎「黒書院の六兵衛」(264)で書きましたように、

「そんなことだから、あとでパクられちゃうんだよな」と私は言います。いや逮捕されても、そのあとが問題です。今も、朝日、読売はありますが、福地の新聞はないではないですか。

と思うのです。
13021909 さて、この源一郎が前回浅田次郎「黒書院の六兵衛」(274)で勝安房が言ったことで、「天朝様がご勅遣の物見役」ということになっているのです。
 これであっさり源一郎がそれを簡単に覆してくれるかなあと期待します。