1303060113030602  今日は大村益次郎が言います。だがそれに加倉井隼人が言うことが実にいいです。

「加倉井さん。これは残酷な話です」
 しばらく六兵衛の表情を見つめたあと、大村益次郎は箸を置いてしみじみ呟いた。

 それに対して、隼人が言います。

 隼人は分も弁えず声をあらげた。
「残酷だの人情だのと、どの口がもうされるか」

 私もそう思います。あの彰義隊への力攻めは残酷でした。でも仕方なかったといえるのかなあ。それを指揮していた益次郎と、それを命じた西郷を思います。

 大廊下から「やめよ」と声がかかった。振り返れば溜間の敷居ぎわに内藤越前守が佇んでいた。

 こうして止めるのも当然です。隼人は幕臣ではなく、官軍の将校なのです。だがさらにいうのです。

 隼人の抗弁はやまなかった。ここ半年の間、腹のそこに滾っていた怒りが次々と声になった。

13030404 もう私には隼人の気持もよく分かります。でも「やめよ」という内藤越前守の気持にもおおいに同感してしまいます。
 あの時期はこうした大変な時代だったのですね。それをこうして私たちは新聞小説で読むだけなのです。