1307200113072002  この事態で(本当はけんも読者もその事態がちゃんとつかめていない)、けんはいわば植木の医院へ駆け込むのです。

 入口に鍵をかける家はない。けんは戸を開けて中へ入る。
 先生が家にいるのはまちがいなかった、灯りだけでなく土間を見れば一目瞭然。見慣れた下駄と草履がならんでいる。

 けんは声を出します。驚く事態なのです。

「先生ッ。おねがいがあってまいりましたッ」
 けんは声をはりあげた。すると二階でガサゴソと音がした。

13071802 植木が居眠りをしてしまっていたのです。ただけんは、「なにがあった?」と問いかけてくる植木にちゃんと答えられません。それは初志郎のこんな突然の依頼に、その初志郎の言う通りにできるのかは無理なことだと読者も私も思います。

「先生に診てほしいって人が……」

 やっぱりわけを話さないとならないでしょう。でもそうしたら、もう植木も初志郎にやることに巻き込んでしまうのです。

 ………まあ、仕方ないのかなあ。