16042405
 私はこの辺の字で思い出しました。
 ある会社の役員変更(か本店移転だったか)で、そこの取締役の個人の印鑑証明を用意してもらったことがあります。それが渡辺さんで、その辺の字がここで私が大修館書店の「漢語林」のページをあげました。
 するとその彼はたちあがり、私は少し乱暴にも思える人だったので、「そんなことはおかしいのだ」と怒りだすのかと思いましたが、少し後ろに行き、携帯電話で、「おい、かかあ、うちの墓は漢字がまちごちょるぞ」といいました。彼の「渡辺」の「辺」は、「渡邊」ではなく「渡邉」だったのです。
 思い出せば、登記所の登記官も公証役場の公証人も実に細かく指定し、パソコンでない場合(印鑑証明どうりの字がプリンタで出せない)は、手で書いたものです。でももう随分前に、それがすっかり変わり、もうパソコンにないからと手で書いても(実は戦前でも、戦後のどさくさでも、いいかげんに作字されていたのです)、「もうこの字なのです。それでそちらの主張の字というで、それが裁判で勝つのなら、何百万かけても作字します」とまでいうのです。
 そんなことを思い出しました。

   邊→邉