201804020113041602  昨日13041601は休刊日で、この小説を読むことができませんでした。だから今日はとても嬉しかった思いです。だがそうした私の思いは、ただただ的矢六兵衛が江戸城を去るのだろうなとは予想できました。いやそれは誰もが同じでしょう。

「どこへ行くのだ、六兵衛」
繰り言ではなかった。ただただ別れ難いのだ。

もうこの加倉井隼人の気持が分かります。こう隼人は思うのです。

訓(おし)えられたことが多すぎる。そしてその訓えのくさぐさは、きっとこれからたどる人生の路傍にいっぱいの花を咲かせて、、おのれの苦を慰め、かつ正しき道標となるにちがいなかった。

そのあと隼人のいうことは実に分かります。

「のう、六兵衛。水臭いではないか。どうしてこのわしにすら口をきいてくれぬ。このまま黙して去るつもりか」
捨て子のようにべそをかきながら、隼人は息遣いの伝わるほど間近に寄ってようよう言うた。言いながら地団駄を踏んだ。

すると六兵衛は隼人を抱くのです。もう私はその二人の気持が分かり実に嬉しい気持です。そしてまた私は涙になるのです。

六兵衛は骨を軋ませて肯いた。
「物言えばきりがない。しからば、体に物を言わせるのみ」

嬉しいです。隼人の気持を思います。だが六兵衛がこれだけ喋ったのは初めてではないでしょうか。
隼人は、「これこそがみなの忘れていた武士道であった」と思います。私は武士なんて、心の13041409底から嫌いですが(大嫌いです)、この時だけは、この六兵衛と隼人の抱擁には嬉しくなります(この時代にこういう「抱擁」なんてあるのかなあ、とは思いますが)。
武士というものが、本当にいるのなら、武士道とかいうものがあるのなら、このときの抱擁の姿には、ただただ涙なのです。

続きを読む