日本は「環境力」で勝つ!
 この本は、7月8日に鎌倉へ行ったときに、鎌倉駅からの帰りに半分ほど読み、そのあとはパソコンの再起動のときのみで読み終わりました。

書 名 日本は「環境力」で勝つ
  〜 「省エネ」「低炭素化」技術が世界を救う 〜
著 者 長谷川慶太郎
発行所 東洋経済新報社
定 価 1,500円+税
発行日 2008年7月17日発行
読了日 2008年7月24日

 もういつもながら、慶太郎さんの書かれている内容に、どこでも「異議なし、その通りだ」と声をあげていたものでした。
 以下が目次のすべてです。そしてこの目次を抜き出しながら、こうして抜き出すことで、再度この本をすべて読み直していることを大きく感じていました。

目次
はしがき
第1章 「環境保全」へ大転換する世界
 1 「洞爺湖サミット」が地球環境サミットになった理由
  京都議定書ではまだ疑問が残った
  環境保全意識が本格化した
 2 中国、ロシアでも政権の姿勢が変化した
  共産党独裁体制下の汚染の惨状
  依然として環境問題が改善されない旧東側諸国
  中国で進行する救いようがない汚染
  極まりない国土の荒廃
  政治体制の変革なくして環境改善はありえない
  大規模製鉄所の建設も無政府状態
  民主主義の進展なくして環境保全は不可能
 3 BRICsも苦渋の決断
  環境保全の意識に濃淡がある
  ロシア原子力潜水艦に潜む危険
  日本近海に迫るロシアと北朝鮮の脅威
 4 最近の一次産品市況の変化と環境汚染
  原価価格は長らく極秘であった
  米国人は省エネに一変した
  シュワルツェネッガーの勇断
  米国の政治も環境保全へ反転した
  どの大統領候補も「環境保全」が公約
第2章 「環境保全」が国際政治の最大課題
 1 前世紀の経験
  三度の国家総力戦
  「地球環境の破壊」を垂れ流し
 2 産業革命と人類
  平均寿命の延長
  「寿命」は戦争が縮め平和が延ばす
  豊かさと自由を得る条件とは
 3 敗戦が革命を生む
  世界市場が成立した
  世界恐慌とデフレの到来
  国家総力戦であった南北戦争
 4 体制の差
  「国家総力戦」に最も適した共産党一党独裁体制
  「冷戦」での情報判断の誤り
  環境破壊と平均寿命の格差
第3章 「低炭素社会」実現への日本の努力
 1 「環境保全」の決め手
  「銑鋼一貫製鉄所」を保有することの意味
  韓国の浦項製鉄所への執念
  技術向上が環境汚染を減少させる
  可能になったコスト大削減
  新方式を取り入れようとしなかったソ連
 2 省エネの意義
  技術水準の低さが環境破壊を生む
  日本鉄鋼業の技術の極み
  世界一の技術力
  世界は日本の鉄鋼業の現場を見よ
  日本の自動車の高品質を支える日本の鋼材
 3 「低炭素社会」の実現までの障害
  炭酸ガスは処理の難しい物質である
  二酸化炭素の地中埋蔵は可能か
  低炭素化技術は幾通りもある
 4 時代の変化
  徹底した技術の向上を
  原油値上がりから代替えエネルギーへ
  原子力発電へ回帰する世界
第4章 石油ショックに打ち勝った日本的経営
 1 量的な拡大から質の向上へ
  高度成長のピークを極める
  石油ショックに打ち勝つ力が日本にはあった
 2 日本的経営方式のメリット
  廃墟の中で創意工夫を凝らした
  重い負担に経営者は耐えた
  日韓の経済力の差はなぜ生まれるのか
  ロボットの導入への拒否反応はない
 3 技術の進歩と環境保全
  「公害対策」への格段の進歩があった
  「煙突から出る七色の煙がなくなった
 4 周辺住民と全国民の強い支持
  大都市に清流が戻ってきた
  技術の向上は全企業も環境保全ももたらす
第5章 環境保全社会は日本の技術力なくして実現しない
 1 鉄鋼業の成功
  世界一の技術水準を達成
  日本の鉄鋼業が日本車の躍進を支える
  ハイブリット車がなぜ米国では実用化できないのか
  「ハイブリット車」を阻む米国の生産現場
 2 日本車が売れる理由
  日本車は中古市場でも値があまり下がらない
  車の品質の高さを決定づけるロボットの導入
 3 電力業の「格差」
  世界一の高品質の電力を供給
  配電・送電への設備投資が熱効率を高める
  世界で最も電力業の効率の悪い北朝鮮
  電力・ガスの使い放しが許される社会
  世界一「熱効率」が高い日本の電力業
 4 河川の清浄化と水の再生
  再生水の利用
  鉄くずの再利用でかなりの鉄鋼をまかなえる
  高品質の「再生てつくず」へのニーズ
  生活排水も再利用
 5 環境保全への貢献
  「日本的経営方式」へのメリットはいまだ生きている
  強制的に配置された機会や技術は定着しない
  技術も機械も人の使い方しだい
第6章 環境力が「豊かさ」を決める
 1 日本への期待
  大型建機は日本製品しか使えない
  日本製の中古は新車より高いこともある
  世界の急速な建設需要に対応する
  パイプラインも大型原発も日本に期待
 2 省エネの実現が「豊かさ」を生む
  ミタルはなぜ日本の製鉄会社を狙うのか
  先進国で減少し途上国で激増する消費電力
  デフレ経済だからこそ実現した省エネ
  デフレ下で達成された自由で豊かな生活
  デフレ下であるから可能な「環境保全」
 3 人口減少と環境保全の意味
  少数高齢化は日本だけではない
  激しさを増す人口移動
  社会主義下では競争を認識できない
  「環境保全」は人類生存の大前提
  世界一のゴミ処理工場
  日本の長寿化は環境保全・生活保全の賜物である

 私はどこでも、実に頷いて読んでいたわけですが、なかでも次のことに私はおおいに驚きかつ唸ったものでした。

 意外なことかもしれないが、「国家総力戦」が最初に最も原初的な形で展開されたのは、一八六一年に始まった米国の「南北戦争」である。
 この「南北戦争」を文学の面で最も正確かつ詳細に、同時に芸術的に表現したのが、有名なマーガレット・ミッチェル著『風と共に去りぬ』である。昭和一四年に最初に紹介された『風と共に去りぬ』を著者は読んで、きわめて強い印象を受けた。文字どおり「国家総力戦」によって「南部連合」は北部の「米国連合」に圧倒され、その国力の差が戦争の帰趨を決定したという事実が、きわめて明快にかつ詳細に、同時に芸術的に描かれていたからである。
 ミッチェル女史は、この「南北戦争」を記述するのに、その中心的都市であったジョージア州の州都アトランタを舞台として、そこで生活している南部連合の国民が、どのような経緯で戦争の被害をこうむっていったのかをきわめて丹念に、同時にまた詳細に、さらにまた芸術的に表現したのである。

 こうしたことを指摘できた人は慶太郎さんが初めてです。もう私は実に驚きかつでも充分に納得しました。

 もう私はただただ、こうして慶太郎さんをこの日本が持っていることにものすごく感謝するばかりです。私にはやはり、「長谷川慶太郎は、もうひとりの吉本隆明である」という思いがするばかりです。