10110916 私はどうしてか、大学にて勉強をしている。季節は冬のようだ。私はなんだか、どうしても一人の年取った大学教授と気が合わなくて苦労している。もう授業の中で徹底してやり込めてやろうかとまで思っている。だけど、そうすると単位を取るのは絶望的かななんて思ってもいる。でも、自分の性格だと、最後までやり合わないと終らないだろうななんて思い、なんだか面倒な気もしている。友人たちも、なんとか妥協しちゃいなよと勧めてくれる。
 でも私はなんだかどうして、またこうして大学みたいなところで学んでいるのだろうと不思儀な気持になる。一体何で今ここで何の為に学んでいるんだろうか。
 やがて、どうやら単位を取って、卒業らしい。気むずかしい教授も、どうやら私に単位をくれた。しかも、なんだか手渡しでくれたのだ。単位って、それこそ1円玉みたいな白い丸いものなのだ。それを私だけでなく、誰もいくつともいくつも袋にいれてもっている。
 卒業した私たちの同級生が、ある方向に向って歩いている。なんだかものすごい数の卒業生だ。やがて、その生徒の列は二列にならされる。なんだか判らないが、私もそのまま並んで歩いて行く。右の列に並んでいた私は、やがて右の道みたいなものに入ってまた左に向い狭い通路に入っていく。
 あるところから、たくさんの仏像のように並んで座っている夜叉のような顔した人たちの前を通らなければならない。彼等はまったくグレー1色の顔身体をしていて、絶えずぶつぶついいながら、両手を前に出して、私たちの身体を捕まえる。私は気味が悪くてしかたない。ふるえてしまうほど、怖いのだ。私の前にいる生徒が、この者たちの手に、さっき卒業のときに貰った1円玉みたいなものをつかませればいいことを教えてくれる。だから、この単位がたくさんないと、ここを通り抜けできないのだ。それにもう何百人という、夜叉たち(のような人)の数だ、全員にあげていたら、到底たりない。だから、ある人の手は払ったり、ごまかしたりして進まなければならない。私は誰にはあげて、誰の手は振り払っていいか判らないから、前の生徒の彼と同じようにやり抜いていく。
 やがて、やっとこのさわがしいモノクロの世界が終った。今度は大きな新幹線の中のような通路だ。外の世界が硝子の窓から見えている。だんだん、綺麗な世界になっていく。私たちは、そこを歩きながら、そこにいる人たちが出してくれる紙みたいなものを口に入れていく。赤や緑や青の原色の小さな紙に何かが書いてあるようだ。「これは何の薬、これは何」と渡すときに教えてくれているようだ。だが私には、さっぱり判らない。だが、また私の前にいる生徒が教えてくれる。これはこれから私たちの身体の為になるいろいろのいわば薬で、今すぐ口に含んでしまいなさいと。
 やがて、その薬の場が終ると、新幹線みたいな通路はますます外の世界が明るくなって鮮やかな綺麗な景色になってくる。私はこれから私たちがどこへいくのかさっぱり判らない。そのとき、私の後ろの生徒が初めて口をきいた。

 私たち、もうすぐ生まれるんですって

その声は、今の私の妻の声だった。
 そうだ、判った。私たちは、これからすぐ生まれるんだ。そして外へ出て、だんだんと過去の記憶を無くしていくころ、また新たに言葉を覚えて、また人間の世界を繰返すんだ。そうだ、前にも同じことやったじゃないか。 もう生まれるんだ。

 と、こんなところで、私の目が醒めました。なんでこんな夢を見たのか判りません。ただ、人間の赤ちゃんは、言語を覚えるあたりで、急速にそれまで持っていた記憶をなくしているようだという研究成果があるのだということを読んだことがあります。(1995.08.31)