10122504 桐島いつみの「まっかな人間像その13/ヒモ」が大変に面白いのです。さまざまなヒモの実態を描いているのですが、最高に傑作なのは、「好青年なヒモその2」です。
 そこの会話を以下に書き出してみましょう。

 ヒモ「別れたい?」
 その女「そう」
 ヒモ「…………そうだよね ………いつかはそう言われると思ってたよ」
 ヒモ「ヒモなんて……社会のダニみたいなもんだし」
 その女「ダニならいいのよ」
 ヒモ「え…」
 その女「私はね…同情されたいのよっ」
    「あんたっ そのお金だけはやめてっ うるせえっ バシーッ
    とかされて あんな男やめなさいよ 不幸になるだけだよとか
    言われても でもだめなの 愛しているのとか言って泣く そ
    んな生活にあこがれてたのよっ」
 ヒモ「………………………」
 その女「…………………それなのに」
 その女「あんたがヒモのくせに いい人だから 同情どころか うら
    やましがれてんのよ どうしてくれんのっ」
    「お金だって もっと豪勢に使えばいいのに 安売りのスーパー
    で買い物して 自炊して……」
  (背景に特売のチラシを見て「ムッ今日はタマゴが安いぞっ」とい
  うヒモの絵)
 ヒモ「だって 君の給料じゃ…」
 その女「女のサイフ心配するようなヒモはいないわよっ」
 その女「お願いだから もっとヒモらしくしてちょうだいっ 昼間の
    ボランティアとか 早朝ジョギング 公園のそうじもやめて」
    「自堕落な日々を送ってっ」
 ヒモ「自堕落な日々って…………」
 その女「最低 昼すぎに起きて……」
    「一日ファミコンしているとか パチンコとか 麻雀とか 
    競馬とか…」
    「桐島みたいな生活してりゃいいのよっ」
    (ちなみに桐島とは当然作者のこと)
 ヒモ「わかった……努力してみるよ」
 その女「お願いよっ」
 ヒモ「あ」(馬券をみているヒモの姿)
 ヒモ「こんなにもうかっちゃったよ  どうしょう~~~~~」
  (と札束の山を指さし青ざめているヒモ)
 その女「別れてちょうだい」(と泣いている女)

 実に笑ってしまいました。他のも大変に面白く笑えるのですが、今の中学生、高校生の女の子はこんなの読んで笑っているんですね。実に時代が変わってしまったなと思います。変わって、表現できて、それをみな読めるのです。
 この作者の桐島いつみという漫画家もかなり私たちの時代では考えられなかったような作家なように思います。吉本ばななとかさくらももこなんかと同じような資質を感じてしまいます。
 私のようなおじさんはただおどろくばかりです。とてもかなわないな、ついていけるかななんて思ってしまいます。
 もちろん大いに評価し、好きになっているのです。(1994.09.10)