11101901 世界でアル中が一番多いのはフランス人だといいます。なにしろ彼らは朝からワインを飲んでいますからね。
 そんなフランス人の酔いどれを何人か紹介していきましょう。まずはそのうちの一人。
 フランスルネッサンスを代表する一大巨篇にラブレーの「ガルガンチュワとパンタグリエル物語」があります。大変な巨人の親子のお話なのですが、パンタグリエルの父親であるガルガンチュワが誕生するときが凄まじいのです。 普通の赤ん坊はフランスでも「オギャーオギャー」と泣くものなのでしょうが、このガルガンチュワはなんと、生まれ出るなり、

  のみてぇー、のみてぇー

と叫んだのです。これには父親も母親も大変に気にいって、

  二人は、嬰児(あかご)をあやすために、ぐびりぐびりと葡萄
  酒を飲ませ………………。
(ラブレー第一之書「ガルガンチュワ物語」渡辺一夫訳  岩波文庫)

としたということです。誰もこれを信じないかもしれません。でもラブレーはこう言っています。

  諸君はきっと、このような奇怪な生れ方をほんとうにはなさる
  まいと思う。よしお信じ下さらなくとも、私は気にかけはいたさ
  ぬが、性善(さがらよ)き人、分別ある人ならば、他人の言った
  ことや書物で読んだことは、常にこれを信用するのが当り前であ
  る。(同上)

 さてさてこれからガルガンチュワは大変な成長を遂げ、大変な活躍をしていくことになります。いや実にフランスの酔っぱらいも面白いものですね。