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Tag:刑事訴訟法

10102622 刑事訴訟法のことをUPするのが、午前4時から6時代は非常に大変でした。

2010/10/29 07:52ずっとやっていた刑事訴訟法のことがけっこう時間がかかりました。どうしても午前4時から6時までが、実にブログをUPすることでもあらゆることがやりにくいのです。仕方ないですね。
2010/10/29 10:11やはりこうしてポメラで打っていくと、いつも何か考えてしまいます。
 きょうから義母が西が丘園にお泊まりになります。そのお迎え先から、今電話がありました。でも義母は大丈夫かなあ。何度声をかけても起きてこないのです。

 義母に声をかけて、私が手で起こしてあげました。

2016121912

10102614  前回にて

      一  住所不定
      二  罪証隠滅のおそれ
      三  逃亡のおそれ

の三つがある場合、人は勾留されます。この三つとも考えられない場合は、起訴…

と述べましたように、起訴されても上の3つがない限り、人は勾留されないはずです。そして第2の「罪証隠滅のおそれ」があるとしても、公判が何回か進むうちに隠滅すべき罪証(証拠)が無くなっていきます。そうするともはや勾留する理由がなくなるために、勾留を取り消すことになります。

  第八十七条 勾留の理由又は勾留の必要がなくなつたときは、裁判所は、検察官、勾留されている被告人若しくはその弁護人、法定代理人、保佐人、配偶者、直系の親族若しくは兄弟姉妹の請求により、又は職権で、決定を以て勾留を取り消さなければならない。

  しかし、実際に職権で勾留が取り消されることはまずありません。ほとんど保釈により、勾留が解かれます。

  第九十一条 勾留による拘禁が不当に長くなつたときは、裁判所は、第八十八条に規定する者の請求により、又は職権で、決定を以て勾留を取り消し、又は保釈を許さなければならない。

  この保釈は以下のものが請求します。

  第八十八条 勾留されている被告人又はその弁護人、法定代理人、保佐人、配偶者、直系の親族若しくは兄弟姉妹は、保釈の請求をすることができる。

そして以下でその請求が認められます。

  第八十九条 保釈の請求があつたときは、左の場合を除いては、これを許さなければならない。
    一 被告人が死刑又は無期若しくは短期一年以上の懲役若しくは禁錮に当たる罪を犯したものであるとき。
    二 被告人が前に死刑又は無期若しくは長期十年を超える懲役若しくは禁錮にあたる罪につき有罪の宣告を受けたことがあるとき。
    三 被告人が常習として長期三年以上の懲役又は禁錮にあたる罪を犯したものであるとき。
   四 被告人が罪証を隠滅すると疑うに足りる相当な理由があるとき。
   五 被告人が、被害者その他事件の審判に必要な知識を有すると認められる者若しくはその親族の身体若しくは財産に害を加え又はこれらの者を畏怖させる行為をすると疑うに足りる相当な理由があるとき。
   六 被告人の氏名又は住居が判らないとき。
  第九十条 裁判所は、適当と認めるときは、職権で保釈を許すことができる。

  ただし、この保釈に対しても検察官の意見が問題になります。

  第九十二条 裁判所は、保釈を許す決定又は保釈の請求を却下する決定をするには、検察官の意見を聴かなければならない。
    2 検察官の請求による場合を除いて、勾留を取り消す決定をするときも、前項と同様である。但し、急速を要する場合は、この限りでない。

  だから、保釈の請求が1回で簡単に認められるわけではありません。検察官の異見により、却下になり、また請求しなおさなければならなくなり場合があります。
  さて、保釈が認められる場合には、保釈金を裁判所に納めなければなりません。また保釈中は住居の制限等々の条件が付きます。

  第九十三条 保釈を許す場合には、保証金額を定めなければならない。
    2 保証金額は、犯罪の性質及び情状、証拠の証明力並びに被告人の性格及び資産を考慮して、被告人の出頭を保証するに足りる相当な金額でなければならない。
    3 保釈を許す場合には、被告人の住居を制限しその他適当と認める条件を附することができる。
  第九十四条 保釈を許す決定は、保証金の納付があつた後でなければ、これを執行することができない。
    2 裁判所は、保釈請求者でない者に保証金を納めることを許すことができる。
    3 裁判所は、有価証券又は裁判所の適当と認める被告人以外の者の差し出した保証書を以て保証金に代えることを許すことができる。
  第九十五条 裁判所は、適当と認めるときは、決定で、勾留されている被告人を親族、保護団体その他の者に委託し、又は被告人の住居を制限して、勾留の執行を停止することができる。

  保釈金はいわば裁判所に預けているだけですから、裁判が終了した段階で、出した当人にそのまま戻されます。ただし当然、何年かかっても利息はつきません。
  また住居制限以外の条件というと、2泊以上外泊するときとか旅行をすると  きには裁判所に届けることというような条件(過去私が受けた条件です)になります。
  この保釈についてはさらに以下の条項があります。

  第九十六条 裁判所は、左の各号の一にあたる場合には、検察官の請求により、又は職権で、決定を以て保釈又は勾留の執行停止を取り消すことができる。
    一 被告人が、召喚を受け正当な理由がなく出頭しないとき。
    二 被告人が逃亡し又は逃亡すると疑うに足りる相当な理由があるとき。
    三 被告人が罪証を隠滅し又は罪証を隠滅すると疑うに足りる相当な理由があるとき。
    四 被告人が、被害者その他事件の審判に必要な知識を有すると認められる者若しくはその親族の身体若しくは財産に害を加え若しくは加えようとし、又はこれらの者を畏怖させる行為をしたとき。
    五 被告人が住居の制限その他裁判所の定めた条件に違反したとき。
      2 保釈を取り消す場合には、裁判所は、決定で保証金の全部又は一部を没取することができる。
      3 保釈された者が、刑の言渡を受けその判決が確定した後、執行のため呼出を受け正当な理由がなく出頭しないとき、又は逃亡したときは、検察官の請求により、決定で保証金の全部又は一部を没取しなければならない。
 第九十七条 上訴の提起期間内の事件でまだ上訴の提起がないものについて、勾留の期間を更新し、勾留を取り消し、又は保釈若しくは、勾留の執行停止をし、若しくはこれを取り消すべき場合には、原裁判所が、その決定をしなければならない。
    2 上訴中の事件で訴訟記録が上訴裁判所に到達していないものについて前項の決定をすべき裁判所は、裁判所の規則の定めるところによる。
    3 前二項の規定は、勾留の理由の開示をすべき場合にこれを準用する。
  第九十八条 保釈若しくは勾留の執行停止を取り消す決定があつたとき、又は勾留の執行停止の期間が満了したときは、検察事務官、司法警察職員又は監獄官吏は、検察官の指揮により、勾留状の謄本及び保釈若しくは勾留の執行停止を取り消す決定の謄本又は期間を指定した勾留の執行停止の決定の謄本を被告人に示してこれを収監しなければならない。
    2 前項の書面を所持しないためこれを示すことができない場合において、急速を要するときは、同項の規定にかかわらず、検察官の指揮により、被告人に対し保釈若しくは勾留の執行停止が取り消された旨又は勾留の執行停止の期間が満了した旨を告げて、これを収監することができる。但し、その書面は、できる限り速やかにこれを示さなければならない。

  保釈中というのは、被告人であることに変わりはないのですから、慎重にしていないと保釈を取り消される怖れがあります。そしてこの保釈中というのは裁判が続くかぎり、それこそ続くわけです。もっとも、私個人としてはそれほど「慎重に」していなくても構わないような気になっています。考え方として、裁判が終るまでは刑の執行があるわけではないわけで(もっともやったとされる犯罪により違うわけですが)、勾留され続けることのほうが、いわば刑の先取りであり、不当だと考えますから、保釈というのはいわば当り前であり、さまざま制限が付けられることのほうがおかしいと考えるからです。

  まずはこれで、私たちが突如なんらかのことで逮捕され、さまざまな経過をたどって、起訴されて拘置所に収監されたとしても、こうして保釈までこぎつけて、拘置所から出たという段階まで、こうして述べてきたわけです。普通なら、このあと裁判を続けて、その結果により有罪無罪が決定され、そして有罪のときに、実刑として収監されるのか(また控訴できるわけだが)、執行猶予が付くのかという流れになっていくわけです。

10102613  さて起訴されて被告人となってのちも、拘留が続く場合(ほんど拘留が続く)に、被告人が自分がどうして拘留されているのかを裁判にて理由を聞くことのできる制度がこの「拘留理由開示裁判」です。憲法には次のように書かれているものです。

  第三十四条 何人も、理由を直ちに告げられ、且つ、直ちに弁護人に依頼する権利を与へられなければ、抑留又は拘禁されない。又、何人も、正当な理由がなければ拘禁されず、要求があれば、その理由は、直ちに本人及びその弁護人の出席する公開の法廷で示されなければならない。

  前にも述べましたように、人が勾留されるのは、刑事訴訟法の以下の三つの理由によります。

  第六十条 裁判所は、被告人が罪を犯したことを疑うに足りる相当な理由がある場合で、左の各号の一にあたるときは、これを勾留することができる。
     一 被告人が定まつた住居を有しないとき。
     二 被告人が罪証を隠滅すると疑うに足りる相当な理由があるとき。
     三 被告人が逃亡し又は逃亡すると疑うに足りる相当な理由があるとき。

これを簡単に覚えると、

      一  住所不定
      二  罪証隠滅のおそれ
      三  逃亡のおそれ

の三つがある場合、人は勾留されます。この三つとも考えられない場合は、起訴されても勾留が取り消されても当り前なのです。在宅起訴などといわれる場合は、もう勾留はされていないわけです。それと勾留しているのは警察や検察官ではなく、裁判所の決定ですから、裁判所がこの三つの理由を付けているわけです。だから、勾留されている被告人はいつでも、この理由を裁判にて、裁判官に聞くことができます。

  第八十二条 勾留されている被告人は、裁判所に勾留の理由の開示を請求することができる。
    2 勾留されている被告人の弁護人、法定代理人、保佐人、配偶者、直系の親族、兄弟姉妹その他利害関係人も、前項の請求をすることができる。
    3 前二項の請求は、保釈、勾留の執行停止若しくは勾留の取消があつたとき、又は勾留状の効力が消滅したときは、その効力を失う。

  つまりこの裁判を請求できるのは、被告人本人だけではありません。そしてこの裁判はなるべく早く請求すべきです。だからなるべく弁護士に頼むか、外にいる関係者がやってあげるべきでしょう。被告人本人はなにしろ勾留されているのですから、書類を書くにも大変なはずです。もちろん、本人も居る場所が留置場であれ、拘置所であれ、ペンと用紙を要求して自分でやることもできます。

  第八十三条 勾留の理由の開示は、公開の法廷でこれをしなければならない。
    2 法廷は、裁判官及び裁判所書記が列席してこれを開く。
    3 被告人及びその弁護人が出頭しないときは、開廷することはできない。但し、被告人の出頭については、被告人が病気その他やむを得ない事由によつて出頭することができず且つ被告人に異議がないとき、弁護人の出頭については、被告人に異議がないときは、この限りでない。
  第八十四条 法廷においては、裁判長は、勾留の理由を告げなければならない。
    2 検察官又は被告人及び弁護人並びにこれらの者以外の請求者は、意見を述べることができる。但し、裁判長は、相当と認めるときは、意見の陳述に代え意見を記載した書面を差し出すべきことを命ずることができる。
  第八十五条 勾留の理由の開示は、合議体の構成員にこれをさせることができる。
  第八十六条 同一の勾留について第八十二条の請求が二以上ある場合には、勾留の理由の開示は、最初の請求についてこれを行う。その他の請求は、勾留の理由の開示が終つた後、決定でこれを却下しなければならない。

  さてそれで実際の勾留理由開示裁判は、普通の裁判と同じですが、まず検察官が意見を述べることは考えられません。勾留しているのは裁判官ですから、裁判官と被告人及び弁護士との話になります。
  まずは、裁判官が勾留理由の三つのうち、一体何が理由かというのを述べます。まずは第一の「住所不定」というのは考えられませんから、第二、第三の「罪証隠滅のおそれ」及び「逃亡のおそれ」が理由として述べられるでしょう。だがさらに普通は家族がいて、住所がはっきりしていれば、第三の「逃亡のおそれ」というのは、裁判官の側の言い掛かりなようなものです(私はそう思います)。だから、これは裁判官が理由としてあげたら、「そんなわけはないじゃないか」と陳述して、裁判官の理由を質さなければなりません。
  それで、問題は第二の「罪証隠滅のおそれ」です。いったい、この隠してしまうような「罪証」とは何かということでしょう。すなわち、勾留が取り消されると、被告人自身が、こそこそとどこかへ言って、証拠品を隠してしまうのかということでしょう。とくに現行犯逮捕の場合などには、隠すべき証拠品も、もはや押えられているはずです。ただし、その証拠というのが、他の被告人や証人になるような人との「口裏合わせ」だというような言い方をされると、これはまた裁判官の方の言い分にも根拠があるような話になってきます。そして「隠滅すべき罪証とは何か?」と問うていっても、裁判官は、まだ公判が開かれてない以上、それは述べることができないという言い方になってきます。
  だから勾留されるわけなのだということなのですが、これをしっかり問いただしていくことは大事なことになってきます。つまり、公判が二回、三回と進んでいけば、その「隠滅するかもしれない証拠」は、もう隠滅することのできない、隠滅できない事態になっていくわけです。そうすると勾留の理由はなくなっていくわけです。

  第八十七条 勾留の理由又は勾留の必要がなくなつたときは、裁判所は、検察官、勾留されている被告人若しくはその弁護人、法定代理人、保佐人、配偶者、直系の親族若しくは兄弟姉妹の請求により、又は職権で、決定を以て勾留を取り消さなければならない。
  2 第八十二条第三項の規定は、前項の請求についてこれを準用する。

  被告人は無罪が前提です。拘置所での勾留はまだ刑の執行ではなく、あくまで上の三つの理由の何かがあって、裁判所が決定しているものです。だが実際には、この勾留そのものが、刑の執行の「前倒し」みたいなものになっている、なりがちですから、こうしてこの裁判をやることによって、裁判官にその理由を問い、その理由は成り立たないのではないかと言っていくことは大事なやりかたになってきます。
  私も今まで、二度この「勾留理由開示裁判」をやりました。一度目は、もう裁判官はただこちらの話を聞くだけで、こちらもただアジテーションをするだけでした。二度目のときは、かなりな注目されている事件であり、傍聴にはたくさんの友人が来ており、かつ検察官および警察官も注目であり、各社の新聞も大勢来ていましたので、かなりな見ものでした。私の勾留理由に裁判官は、第二と第三の理由が述べましたが、私はまず事件そのものへの私の考えを陳述し、そして勾留理由への反論を開始しました。
  まず第三の「逃亡のおそれ」はまったく予想もしなかったので、「なんというとんでもない言い掛かりだ」と述べ、問題の第二の「罪証隠滅のおそれ」に反駁していきました。「隠滅すべき罪証とは何か?」ということですね。しかし、これは予想のとおり、裁判官は今の段階ではいうことができないと斥けます。まあ、しばらくやりあって、それにてものわかれとなりました。
  でも私はかなり満足しました。陳述は左翼過激派としてのありあきたりの内容ではなかったので、新聞社等は意外で驚いたろうし、裁判官をある程度は追い詰められたのではと思ったからです。帰りの車の中で、私を担当している刑事が感心してくれました。刑事だって、懸命に法を勉強している人もいるんです。
  とにかく人が勾留されるのには、三つの理由しかないことを覚え、どうその理由が根拠ないことを述べていけるよう、この裁判の制度を積極的に活用するようにしていくべきだと思います。

10102612  今回は逮捕されてしまったときに、一番たよりになるはずの「弁護人」のことを見ていきましょう。
  日本国憲法に以下のようにあります。

  第三十四条 何人も、理由を直ちに告げられ、且つ、直ちに弁護人に依頼する権利を与へられなければ、抑留又は拘禁されない。又、何人も、正当な理由がなければ拘禁されず、要求があれば、その理由は、直ちに本人及びその弁護人の出席する公開の法廷で示されなければならない。

  誰も逮捕された場合は、かならず弁護人を選任する権利があります。したがって逮捕した側の警官はこのことを被疑者に告げなければなりません。だから、誰もできたら、どこか連絡できる弁護士を知っていることがいいのです。現在の私は、大口昭彦という弁護士さんにすべてをまかせますからいいのですが、現実にはそんな知合いの弁護士がいるという人は少ないかと思います。昔私たちが新左翼運動をやっていたころは、「救援センター」というところの電話を覚えていたものです。

    03−591−1301(これで、ゴクイリはイミオーイと読む、つまり「獄入りは意味多い」ということ。いまは03−3591−1301である)

ここの電話を言って、この「救援センター」の弁護士を依頼したものでした。そうすると、3日目には元気な弁護士さんが来てくれたものです。今もこの救援センターは健在ですから、覚えておいたほうがいいかもしれません。

  刑事訴訟法には以下のようにあります。

  第三十条 被告人又は被疑者は、何時でも弁護人を選任することができる。
    2 被告人又は被疑者の法定代理人、保佐人、配偶者、直系の親族及び兄弟姉妹は、独立して弁護人を選任することができる。

  この弁護人とは弁護士があたるわけですが、弁護士以外の者が弁護人になることもできます。

  第三十一条 弁護人は、弁護士の中からこれを選任しなければならない。
    2 簡易裁判所、家庭裁判所又は地方裁判所においては、裁判所の許可を得たときは、弁護士でない者を弁護人に選任することができる。但し、地方裁判所においては、他に弁護士の中から選任された弁護人がある場合に限る。

  私の身近な例(要するに私の埼玉大学の仲間の裁判になるわけだが)では、飯田橋事件(68年1月の佐世保エンタープライズ寄港阻止闘争に行こうとする学生を警視庁が事前検挙した)は、埼玉県知事になった畑和が主任弁護人になり、最高裁までいきました。また埼大6・12事件(1969.6.12に埼大での羽仁五郎講演会を妨害破壊しようとした日共民青との闘争、当然起訴裁判になったのは私たちの側だけ。それと私はこの事件のときには東大闘争で拘留されていたから、参加していない)では、埼大理工学部の物理学科岬教授が特別弁護人になりました。
  以上のように逮捕されたり起訴されたりした側が、この弁護人を選任するわけですが、それができない刑事被告人の場合には国選弁護人がついてくれます。

  第三十六条 被告人が貧困その他の事由により弁護人を選任することができないときは、裁判所は、その請求により、被告人のため弁護人を附しなければならない。但し、被告人以外の者が選任した弁護人がある場合は、この限りでない。
  第三十七条 左の場合に被告人に弁護人がないときは、裁判所は、職権で弁護人を附することができる。
    一 被告人が未成年者であるとき。
    二 被告人が年齢七十年以上の者であるとき。
    三 被告人が耳の聞えない者又は口のきけない者であるとき。
    四 被告人が心神喪失者又は心神耗弱者である疑があるとき。
    五 その他必要と認めるとき。
  第三十八条 この法律の規定に基いて裁判所又は裁判長が附すべき弁護人は、弁護士の中からこれを選任しなければならない。

  これは以下の憲法第三十七条第三項に対応しています。

  第三十七条  3 刑事被告人は、いかなる場合にも、資格を有する弁護人を依頼することができる。被告人が自らこれを依頼することができないときは、国でこれを附する。

  さてそれでこの弁護人は逮捕されてしまった私たちに何をしてくれるのでしょうか。

  第三十九条 身体の拘束を受けている被告人又は被疑者は、弁護人又は弁護人を選任することができる者の依頼により弁護人となろうとする者(弁護士でない者にあつては、第三十一条第二項の許可があつた後に限る。)と立会人なくして接見し、又は書類若しくは物の授受をすることができる。

  被疑者でも被告人でも友人等と接見できますが(註1)、その歳は必ず立会人(警察署なら警官)がつきます。ついてメモをとっています。だから自分の被疑事件の重要な話はできないわけですが、弁護人は立会人なしで接見できますから、事件のことを腹蔵なく話せるわけです。とくに身体が拘束されているわけですから、いわば自分の味方にすべて喋ることができるのは、この弁護人との接見のみになります。

  (註1)ただし、接見禁止といって、弁護人以外とは面会もできない、手紙のやりとり、本雑誌の差入も禁止という措置が取られることが多いのです。ただしこれも、裁判所から許可を取ればいいのですが、その許可を取る理由が難しいでしょう。私が面会を許可させたのでは、「被疑者は大学四年で、卒業試験の時期にあたっており、その履修情況を相談したい」(よくこんなしらじらしいこと言ったものだ)というようなことで、接見禁止の友人と面会しました。また、私たちが埼玉県警に逮捕されていたときには、接見禁止にも拘らず、彼女連がみんな裁判所の許可をとって、本を何冊も差し入れてくれたものです。

  このほか弁護人に関しての規定は刑事訴訟法にたくさん出てきますが、逮捕され被疑者になった段階においては以上のようなことでいいのではと思います。

10102615  今回は取り調べについて見ていきたいと思います。

  第百九十八条 検察官、検察事務官又は司法警察職員は、犯罪の捜査をするについて必要があるときは、被疑者の出頭を求め、これを取り調べることができる。但し、被疑者は、逮捕又は勾留されている場合を除いては、出頭を拒み、又は出頭後、何時でも退去することができる。
  2 前項の取調に際しては、被疑者に対し、あらかじめ、自己の意思に反して供述をする必要がない旨を告げなければならない。
  3 被疑者の供述は、これを調書に録取することができる。
  4 前項の調書は、これを被疑者に閲覧させ、又は読み聞かせて、誤がないかどうかを問い、被疑者が増減変更の申立をしたときは、その供述を調書に記載しなければならない。
  5 被疑者が、調書に誤のないことを申し立てたときは、これに署名押印することを求めることができる。但し、これを拒絶した場合は、この限りでない。

  まず、警察または検察官による取り調べは逮捕されなくても受けることがあります。だから取り調べの側に有利なように逮捕して留置勾留ということがあるのでしょう。この第百九十八条の各項はかなり大事なことを言っています。警察官や検察官はまず「自己の意思に反して供述する必要がない旨」を被疑者に告げなければならないのです。私たちが取り調べを受けていて、相手がこれをもし告げなかったら、その旨を強く要求しなければなりません。
  これは日本国憲法でも次のようにあります。

  第三十八条 何人も、自己に不利益な供述を強要されない。
  2 強制、拷問若しくは脅迫による自白又は不当に長く抑留若しくは拘禁された後の自白は、これを証拠とすることができない。
  3 何人も、自己に不利益な唯一の証拠が本人の自白である場合には、有罪とされ、又は刑罰を科せられない。

  自分に不利なことは一切喋らなくても、何か喋れば、その内容は調書に取られていきます。それが終ったときには、取り調べの側はそれを被疑者である私たちに閲覧させたり、読み聞かせたりしなければなりません。そして内容に誤りや異議があったら、それを訂正させなければなりません。また削除加筆させることも出てくるかもしれません。また供述するのではなく、自らが手で書いていってもかまわないわけです。逆にまったく黙秘していれば、調書は作りようがありません。自分に不利益な供述をする必要はないのですから、一切黙秘ということも当然の権利です。ただ、

  本官は次のように問うたところ、被疑者は黙して語らなかった

というような調書を取り調べの側が書いていくことはできます。
  最後に読み聞かせたり、閲覧させたりして、異議がなかったら、署名押印を求めてきます。ここで拒絶すれば、調書になりません。だから上のような黙秘の状態の調書を書かれたとしても、最後の署名押印を拒絶すれば、もはや調書はありえません。
  この調書は以下の条文のように証拠として採用されるものですから、供述して作成されている場合には私たちの側がかなり慎重に見ていかなければなりません。とくに勾留されているときは、どうしても私たちの側が身体的に不利な情況にありますから、取り調べの側に有利なように調書を取られ勝ちです。だからいっそ黙秘して、調書への署名押印は拒絶ということのほうが、私たちにはいい闘い方だと私は思うのです。

  第三百二十一条 被告人以外の者が作成した供述書又はその者の供述を録取した書面で供述者の署名若しくは押印のあるものは、左の場合に限り、これを証拠とすることができる。
   一 裁判官の面前における供述を録取した書面については、その供述者が死亡、精神若しくは身体の故障、所在不明若しくは国外にいるため公判準備若しくは公判期日において供述することができないとき、又は供述者が公判準備若しくは公判期日において前の供述と異つた供述をしたとき。
   二 検察官の面前における供述を録取した書面については、その供述者が死亡、精神若しくは身体の故障、所在不明若しくは国外にいるため公判準備若しくは公判期日において供述することができないとき、又は公判準備若しくは公判期日において前の供述と相反するか若しくは実質的に異つた供述をしたとき。但し、公判準備又は公判期日における供述よりも前の供述を信用すべき特別の情況の存するときに限る。
    三 前二号に掲げる書面以外の書面については、供述者が死亡、精神若しくは身体の故障、所在不明又は国外にいるため公判準備又は公判期日において供述することができず、且つ、その供述が犯罪事実の存否の証明に欠くことができないものであるとき。但し、その供述が特に信用すべき情況の下にされたものであるときに限る。
      2 被告人以外の者の公判準備若しくは公判期日における供述を録取した書面又は裁判所若しくは裁判官の検証の結果を記載した書面は、前項の規定にかかららず、これを証拠とすることができる。
      3 検察官、検察事務官又は司法警察職員の検証の結果を記載した書面は、その供述者が公判期日において証人として尋問を受け、その真正に作成されたものであることを供述したときは、第一項の規定にかかわらず、これを証拠とすることができる。
      4 鑑定の経過及び結果を記載した書面で鑑定人の作成したものについても、前項と同様である。
  第三百二十二条 被告人が作成した供述書又は被告人の供述を録取した書面で被告人の署名若しくは押印のあるものは、その供述が被告人に不利益な事実の承認を内容とするものであるとき、又は特に信用すべき情況の下にされたものであるときに限り、これを証拠とすることができる。但し、被告人に不利益な事実の承認を内容とする書面は、その承認が自白でない場合においても、第三百十九条の規定に準じ、任意にされたものでない疑があると認めるときは、これを証拠とすることができない。
    2 被告人の公判準備又は公判期日における供述を録取した書面は、その供述が任意にされたものであると認めるときに限り、これを証拠とすることができる。

  この第三百十九条は先にあげた憲法第三十八条の第2項と第3項と同様のことが述べられています。

  第三百十九条 強制、拷問又は脅迫による自白、不当に長く抑留又は拘禁された後の自白その他任意にされたものでない疑のある自白は、これを証拠とすることができない。
    2 被告人は、公判廷における自白であると否とを問わず、その自白が自己に不利益な唯一の証拠である場合には、有罪とされない。
    3 前二項の自白には、起訴された犯罪について有罪であることを自認する場合を含む。

  といっても、この自白してしまった内容をこれは「強制」や「拷問脅迫」によるとあとから証明するのは大変なことです。あくまでこうして法に規定してあっても、取り調べる側並びに裁く側が、こうした法を必ず遵守しているとは私は考えられません。だからこそ、私たちの側が黙秘並びに署名捺印拒否で闘うことが最前の方法だと私は思っております。

10102611  さてどうしてか逮捕されてしまったときのことを考えていきたいと思います。そしてそのまた今回は、いったい逮捕されたら、身柄をどのくらいの期間拘束されるのかということから見ていきたいと思います。つまり前回解説しましたように、現行犯か逮捕状によるのかどちらかで逮捕され、被疑者となった場合です。現行犯でも逮捕状によっても、逮捕されてからの扱いは同じです。

  第二百十六条 現行犯人が逮捕された場合には、第百九十九条の規定により被疑者が逮捕された場合に関する規定を準用する。

  前回でこの第百九十九条はあげてあります。逮捕状による逮捕の場合は間違いなく留置されます。現行犯の場合は犯罪の内容が軽微だった場合で、氏名住所がはっきりしている場合は釈放されることがありますが、とにかく留置されることを考えていきましょう。警察署にはどのくらい留置されるのでしょうか。この留置期間は取り調べを受けることになります。

  第二百三条 司法警察員は、逮捕状により被疑者を逮捕したとき、又は逮捕状により逮捕された被疑者を受け取つたときは、直ちに犯罪事実の要旨及び弁護人を選任することができる旨を告げた上、弁解の機会を与え、留置の必要がないと思料するときは直ちにこれを釈放し、留置の必要があると思料するときは被疑者が身体を拘束された時から四十八時間以内に書類及び証拠物とともにこれを検察官に送致する手続をしなければならない。
  2 前項の場合において、被疑者に弁護人の有無を尋ね、弁護人があるきは、弁護人を選任することができる旨は、これを告げることを要しない。
  3 第一項の時間の制限内に送致の手続をしないときは、直ちに被疑者を釈放しなければならない。
  第二百四条 検察官は、逮捕状により被疑者を逮捕したとき、又は逮捕状により逮捕された被疑者(前条の規定により送致された被疑者を除く。)を受け取つたときは、直ちに犯罪事実の要旨及び弁護人を選任することができる旨を告げた上、弁解の機会を与え、留置の必要がないと思料するときは直ちにこれを釈放し、留置の必要があると思料するときは被疑者が身体を拘束された時から四十八時間以内に裁判官に被疑者の勾留を請求しなければならない。但し、その時間の制限内に公訴を提起したときは、勾留の請求をすることを要しない。

  2 前項の時間の制限内に勾留の請求又は公訴の提起をしないときは、直ちに被疑者を釈放しなければならない。

  これではっきりしますが、警察は四十八時間被疑者を留置できます。そしてその間に検察官に送検しなければなりません。ほぼ逮捕されて次の日に被疑者は地検に送られます。ここで検察官の取り調べを受けます。具体的に言うと、東京の警視庁で逮捕された場合は、逮捕された次の日霞が関の東京地検に警察の青バスで送られ、そこで検事からの取り調べを受けます。

  第二百五条 検察官は、第二百三条の規定により送致された被疑者を受け取つたときは、弁解の機会を与え、留置の必要がないと思料するときは直ちにこれを釈放し、留置の必要があると思料するときは被疑者を受け取つた時から二十四時間以内に裁判官に被疑者の勾留を請求しなければならない。
  2 前項の時間の制限は、被疑者が身体を拘束された時から七十二時間を超えることができない。
  3 前二項の時間の制限内に公訴を提起したときは、勾留の請求をすることを要しない。
  4 第一項及び第二項の時間の制限内に勾留の請求又は公訴の提起をしないときは、直ちに被疑者を釈放しなければならない。

  これでさらに二十四時間の留置が続きます。足し算すると七十二時間、つまり三泊四日で釈放されるか、あるいは引続き勾留されるかが決まります。だからまずは最低三泊四日は確実に留置されるということです。さてこれでさらに検察官が勾留の必要があると判断したばあい、

  第二百六条 検察官又は司法警察員がやむを得ない事情によつて前三条の時間の制限に従うことができなかつたときは、検察官は、裁判官にその事由を疎明(註1)して、被疑者の勾留を請求することができる。
  2 前項の請求を受けた裁判官は、その遅延がやむを得ない事由に基く正当なものであると認める場合でなければ、勾留状を発することができない。
  第二百七条 前三条の規定による勾留の請求を受けた裁判官は、その処分に関し裁判所又は裁判長と同一の権限を有する。但し、保釈については、この限りでない。
  2 裁判官は、前項の勾留の請求を受けたときは、速やかに勾留状を発しなければならない。但し、勾留の理由がないと認めるとき、及び前条第二項の規定により勾留状を発することができないときは、勾留状を発しないで、直ちに被疑者の釈放を命じなければならない。
  第二百八条 前条の規定により被疑者を勾留した事件につき、勾留の請求をした日から十日以内に公訴を提起しないときは、検察官は、直ちに被疑者を釈放しなければならない。
  2 裁判官は、やむを得ない事由があると認めるときは、検察官の請求により、前項の期間を延長することができる。この期間の延長は、通じて十日を超えることができない。

 (註1)疎明(そめい)  大雑把な証明といったらいいでしょうか。裁判官が多分こうであろうと推測できる程度の証明。この被疑者は、多分この犯罪をやっているだろうと推測できるから、取り調べのため勾留の必要があると、検察官がのべるわけである。民事でも疎明資料を提出して、裁判所に仮差し押さえをしてもらうなどということがあります。

  これで最初の三泊四日に十日の勾留、さらに十日の勾留延長で合わせて二十三日は勾留される可能性があります。いやむしろもうこの二十三日は覚悟しておいたほうがいいくらいでしょう。この二十三日以内に起訴されるか、不起訴になるか、起訴猶予になるか決定されます。不起訴か起訴猶予なら、すぐ釈放されます。起訴されたら、被疑者ではなく、被告人になって、基本的には警察の留置場から拘置所に移管されます。ですからこうして二十三日以内で決ってしまいます。警察及び検察官はこの二十三日以内で取り調べをすべて終えなければなりません。ただし、例外があります。

  第二百八条の二 裁判官は、刑法第二編第二章乃至第四章又は第八章の罪にあたる事件については、検察官の請求により、前条第二項の規定により延長された期間を更に延長することができる。この期間の延長は、通じて五日を超えることができない。

これは内乱罪、騒擾罪の場合にあたります。

  さて二十三日以内(ほとんど二十三日目)で釈放されるか、そうでないと起訴されて、拘置所に送られるわけです。もちろんさらに拘置所で勾留が続くのにも、以下の理由が必要です。

  第六十条 裁判所は、被告人が罪を犯したことを疑うに足りる相当な理由がある場合で、左の各号の一にあたるときは、これを勾留することができる。
  一 被告人が定まつた住居を有しないとき。
  二 被告人が罪証を隠滅すると疑うに足りる相当な理由があるとき。
  三 被告人が逃亡し又は逃亡すると疑うに足りる相当な理由があるとき。
  2 勾留の期間は、公訴の提起があつた日から二箇月とする。特に継続の必要がある場合においては、具体的にその理由を附した決定で、一箇月ごとにこれを更新することができる。但し、第八十九条第一号、第三号、第四号又は第六号にあたる場合を除いては、更新は、一回に限るものとする。

  この第八十九条の各号は以下の通りです。

  第八十九条 保釈の請求があつたときは、左の場合を除いては、これを許ななければならない。
    一 被告人が死刑又は無期若しくは短期一年以上の懲役若しくは禁錮に当たる罪を犯したものであるとき。
    三 被告人が常習として長期三年以上の懲役又は禁錮にあたる罪を犯したものであるとき。
     四 被告人が罪証を隠滅すると疑うに足りる相当な理由があるとき。
     六 被告人の氏名又は住居が判らないとき。

  ですから起訴されても、勾留はなしで、いわば在宅起訴ということもあると思われますが、未成年とか病気であるとかいうときでないと、まず考えられません。上の条文を読むと、起訴されても身柄は釈放ということがあってもいいと思うのですが、「罪証を隠滅する」恐れなどということで、いくらでも内容をデッチあげて、長期に勾留を延長していけることとなっているのが現状です。そうした内容は取り調べのこととも絡んできますから、次回のべていきたく思います。
  それから、起訴されると基本的には警察の留置場から、拘置所へ移管されるのが原則ですが、現在は「代用監獄法」という明治時代の法によって、警察の留置場が、代用監獄、すなわち拘置所ともみなされるために、そのまま留置場に被告人をおいておくことができます。もう被告になった以上は取り調べに応じる義務はありませんから、早く留置場よりは快適な拘置所に移管されたほうがいいのですが、窃盗犯などでは、起訴されても、もう何日も留置場に勾留されていることがあります。ここでなら、警察はいくらでも取り調べる(拒否しようにも、タバコが吸えて、カツ丼を食える取り調べを期待してしまう被告人が多い)ことができるから、また別な件で起訴できるかもしれないのです。留置場というところは、けっして快適なところではありませんから、この「代用監獄法」を今もそのまま適用している司法権力はひどいなと思います。

10102610  私たちが警察官等によって逮捕されるときは、いかなることがあったときでしょうか。まずはそこのあたりから、この「周の刑事訴訟法」を開始したいと思います。
  日本国憲法に以下のようにあります。

  第三三条 何人も、現行犯として逮捕される場合を除いては、権限を有する司法官憲が発し、且つ理由となつてゐる犯罪を明示する令状によらなければ、逮捕されない。

  つまり人が逮捕されるには、1.現行犯  2.逮捕状による  以外はないのです。ではまず「現行犯」とは何でしょうか。刑事訴訟法では次のように言っています。

  第二百十二条 現に罪を行い、又は現に罪を行い終つた者を現行犯人とする。
    2 左の各号の一にあたる者が、罪を行い終つてから間がないと明らかに認められるときは、これを現行犯人とみなす。
     一 犯人として追呼されているとき。
     二 贓物又は明らかに犯罪の用に供したと思われる兇器その他の物を所持しているとき。
      三 身体又は被服に犯罪の顕著な証跡があるとき。
     四 誰何されて逃走しようとするとき。

これが「現行犯」です。
  この現行犯人に関しては

  第二百十三条 現行犯人は、何人でも、逮捕状なくしてこれを逮捕することができる。

ということです。つまり現行犯は警官でなくとも、私たちでも逮捕できます。ただし私たちの場合には、

  第二百十四条 検察官、検察事務官及び司法警察職員以外の者は、現行犯人を逮捕したときは、直ちにこれを地方検察庁若しくは区検察庁の検察官又は司法警察職員に引き渡さなければならない。

となります。
  次に逮捕状による逮捕についてです。

  第百九十九条 検察官、検察事務官又は司法警察職員は、被疑者が罪を犯したことを疑うに足りる相当な理由があるときは、裁判官のあらかじめ発する逮捕状により、これを逮捕することができる。ただし、三十万円(刑法、暴力行為等処罰に関する法律及び経済関係罰則の整備に関する法律の罪以外の罪については、当分の間、二万円)以下の罰金、拘留又は科料に当たる罪については、被疑者が定まつた住居を有しない場合又は正当な理由がなく前条の規定による出頭の求めに応じない場合に限る。
  2 裁判官は、被疑者が罪を犯したことを疑うに足りる相当な理由があると認めるときは、検察官又は司法警察員(警察官たる司法警察員については、国家公安委員会又は都道府県公安委員会が指定する警部以上の者に限る。以下本条において同じ。)の請求により、前項の逮捕状を発する。但し、明らかに逮捕の必要がないと認めるときは、この限りでない。
  3 検察官又は司法警察員は、第一項の逮捕状を請求する場合において、同一の犯罪事実についてその被疑者に対し前に逮捕状の請求又はその発付があつたときは、その旨を裁判所に通知しなければならない。

「前条の規定」とは、以下の通りです。

 第百九十八条 検察官、検察事務官又は司法警察職員は、犯罪の捜査をするについて必要があるときは、被疑者の出頭を求め、これを取り調べることができる。但し、被疑者は、逮捕又は勾留されている場合を除いては、出頭を拒み、又は出頭後、何時でも退去することができる。

  被疑者とは「犯人」ではありません。罪を犯したかもしれないと疑いのある人です。そして被疑者となった人は、逮捕状により逮捕されます。しかし軽い罪の疑いの場合は、1.住所不定  2.正当な理由がないのに出頭しない  限り逮捕されません。「正当な理由」とは、例えば病気で出頭が困難な場合などが考えられます。
  それから確認しておきたいことは、逮捕状は裁判官が発行するのであって、検察官や警察官が発行できるものではありません。

  第二百条 逮捕状には、被疑者の氏名及び住居、罪名、被疑事実の要旨、引致すべき官公署その他の場所、有効期間及びその期間経過後は逮捕をすることができず令状はこれを返還しなければならない旨並びに発付の年月日その他裁判所の規則で定める事項を記載し、裁判官が、これに記名押印(註1)しなければならない。
  第二百一条 逮捕状により被疑者を逮捕するには、逮捕状を被疑者に示さなければならない。

  (註1)記名押印  これとよく使われるのに「署名捺印」という言葉があります。捺印とは押印と同じ意味ですが、この記名と署名とはどう違うのでしょうか。そして法的な効力はどうなのでしょうか。
  署名とは自筆で、つまり筆やペンで自分で自分の名前を書くということです。それに対して記名とは、タイプやワープロで氏名を印字したものや氏名を彫ったゴム印で押したもの、他の人が書いた氏名のことを言います。この記名には、必ず印鑑を押さないと法律的に意味がありません。印鑑を押すと、署名したことの代用と見なされます。
  ところで、署名するともう捺印する必要はないのかというと、法律的には必要ないのですが、慣習として署名には印鑑を押すようになっているのが現状です。

  裁判所が被疑者を逮捕する理由があると判断して、逮捕状を発行したわけですから、逮捕状にはその内容が書いてあるわけです。だからどうしてか自分に逮捕状が出て、逮捕されてしまうという事態がおきた場合は、その逮捕状を子細に見せるように要求すべきです。逮捕されてしまってからは、内容が分からなくなってしまう場合があります。またひょつとして、正式な逮捕状でなければ、それはおそらく、相手は警官ではありません。
  ただし、当初「人が逮捕されるには、1.現行犯  2.逮捕状による  以外はないのです」と書きましたが、緊急を要する場合は、逮捕状なしで逮捕できるという規定があります。

  第二百十条 検察官、検察事務官又は司法警察職員は、死刑又は無期若しくは長期三年以上の懲役若しくは禁錮にあたる罪を犯したことを疑うに足りる充分な理由がある場合で、急速を要し、裁判官の逮捕状を求めることができないときは、その理由を告げて被疑者を逮捕することができる。この場合には、直ちに裁判官の逮捕状を求める手続をしなければならない。逮捕状が発せられないときは、直ちに被疑者を釈放しなければならない。
   2 第二百条の規定は、前項の逮捕状についてこれを準用する。
 第二百十一条 前条の規定により被疑者が逮捕された場合には、第百九十九条の規定により被疑者が逮捕された場合に関する規定を準用する。

  この場合、直ちに逮捕状を発せられなければなりません。第百九十九条とは逮捕状による逮捕の場合ですが、現行犯でなく、逮捕状がなくとも逮捕されることがあるのだということは特筆しなければならないでしょう。
  さて、現行犯の場合の「現に罪を行い、又は現に罪を行い終つた者」という罪と、逮捕状による場合の「被疑者が罪を犯したことを疑うに足りる相当な理由」ということは、現行の法律を犯したとされるときです。従っていくら道徳的かつ倫理的にいけないなと思えることをしていても、現行の法律を犯していない限り逮捕されないし、逮捕できません。現行の法律とは、現在の日本の法ということです。現在の日本にいる限り、外国の法で逮捕されたり、鎌倉時代の法律で逮捕されたりすることはありません。逮捕できません。

10102609 これは何年も前に、ちょうどオウム真理教の事件のときに、パソコン通信の場で「刑事訴訟法」について解説をしたときの内容です。
 人は誰も、いつなんどき、法を犯したと疑われるときがあるのか判りませんので、そんなときの心得を持っていたほうがいいだろうということと、「法」を学んで行こうとするときには、この「刑事訴訟法」から入っていくのが、非常に面白くやっていけるのではないかと思ったからです。

 実は当初は、この6回のあとに、さらに「控訴」「上告」のことや、さらには「下獄」してしまう事態のことも書いて行く予定だったのですが、思えば、普通に生活している大部分の人は、せいぜいこの「保釈」まででいいのではないのか な、と思い直したことによります。
 私は学生時代は、当然学生活動家でありまして、2度逮捕され、その2度とも起訴されました(この100%起訴というのは珍しいことです。おそらく起訴されなければ、もっと逮捕歴が増えたでしょう)。
 それで、このような体験をすると、非常に「刑事訴訟法」に詳しくなるわけです。いや詳しくならないわけがないのです。なにしろ留置場や拘置所にいるわが身のことを、いったいどうしようとするのだ、俺のことは俺自身が決めていきたいのだということがありますから、もうそれこそ懸命に学ぼうとしていくわけです。

 逮捕され、留置場に入ると判るのですが、実は権力から不当な扱いを受けているのは、私たちのような学生活動家ではなく、窃盗犯とかヤクザと言われる人たちのほうがけっこうひどい扱いをされているのです。私は2度とも、「勾留理由開示裁判」をやりましたが、とくに2度目の朝霞留置場では、みなそのわけを聞いてきたものです。私は、これが学生活動家だからやる裁判ではなく、誰もが自分がどうして勾留されているのかという理由を、勾留を許している裁判官に聞く権利があるのだということを言いました。これは当然のことだということで、窃盗もヤクザも自民党選挙違反者もみな考え込んでいきます。
 そんなときの思いを、また前のオウム事件のときに思い出しました。オウムの活動家がいかに極悪犯であったとしても、彼らを逮捕し、勾留し、起訴していくのは、あくまで「刑事訴訟法」にもとずいてやるはずである、やるべきなのです。どうみても、あのときには、警察も司法も違法なことをやっていました。あれはオウムが極悪だからではなく、日本の警察の捜査力の衰え、司法権力の情けなさを示したものだと思います。法に厳然と従ってこそ、もっと早くあのオウムの犯罪は糾弾できたはずなのです。
 ではオウムではなく、私たち普通の市民にも、あのような不当な扱いが向かってきたときにどうするのかということの基礎的な知識はあったほうがいいだろうというのが、この私の文章です。

 法の文書はちゃんと書いておりますから、ひととおり読んでおくと、きっと役だつかと思います。「いや、私にはそんな目に会うわけがない」と思っている方も多いことでしょうが、そんなこと、「本当はわかりませんよ」。ぜひ読んでみてください。(2005.09.09)

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