10111213 何日か前に見た夢です。

 私はどうしてか女性であり、しかも30代で、4歳くらいの女の子を連れています。私は子どもの手を引きながら、ある大学の中を歩いています。
 この大学は、私の出た埼玉大学なのですが、夢の中では、大学のキャンバスの中が賑やかな街みたいな一画が出来ていまして、そこにレストランや飲み屋が何軒も出来ています。実は、夢の内容は違っていても、この埼玉大学の風景が出てくる夢の中ではいつも同じなのです。不思儀なくらい、いつくものお店が並んでいるのです。
 私は、何からか必死に逃げているところで、この大学の中ならば相手に見つからないのではという思いで、そこにある店のどこかに勤めようと思っているのでした。
 一軒のラーメン屋であり飲み屋のような構えの店に入っていき、ここで働かせてもらえないかと店主に言ってみる。店の前に「アルバイト募集」という貼り紙があったからだ。 なんだか人の良さそうなその店主は、「はい、いいですよ。それで履歴書見せてください」という。私は「しまった、履歴書をどうして用意しておかなかったんだろう」という思いを抱くが、「だって、住んでいるところもないのだから書けないのだ」とも思う。しばらくもじもじしている私に、その店主は、「じゃ、そこに座って、書いてみてよ」とコクヨの履歴書とボールペンを渡してくれる。そして、娘に「こっちへおいでよ、お母さんがお仕事している間に、いいものをあげようね」と言って、娘の手をひいて、厨房のほうへ行く。
 さて、だが私は履歴書を前にして、どうやって書いたらいいのか困ってしまう。私は一体どのくらい職を転々としてきたことだろうか。だからいつも履歴書を書くときに躊躇してしまう。だからいつも長時間かけて、必死になって、自分の履歴を作り上げているのだ。だが、きょうは不用意にも、こういう事態になってしまった。
 思えば、友人のGは、こんなことを言っていた。

 自分の履歴というのは、「もうこうなのだ」と思い込んで、そのまま暗記してしまうのよ。会社によってはね、履歴書を持って行っても、面接の前に、「では、この紙にもう一度ご自分の履歴書を書いてみてください。もちろん、提出した履歴書と同じでいいですよ」というところがあるのよ。これが、簡単なようで書けないものなのよ。だから、私は頭の中に、私の「これが私の履歴、職歴、私の人生の歴史なの」と完璧に作り上げてあるから、どこでも同じものが書けるの。

 そうだ、Gの言うとおりなのだ。だけど、今の今は困ったな。
 店主が戻ってくる。まだ何も書いていない私を見つめる。私はまだ住むところも決っていないので、書き出せないことを伝える。
 店主は、

 うーん、あなたは何か事情がありそうだね。だけど、私のところは、住所が定まっていない人は雇えないんだ。なにしろ、ここは大学の中だろう。うるさいんだよ。…………、そうしたらね、私の知っているお店を紹介しようか。ここから10分くらいのところだよ。そこなら、住み込みで働くことができる。今から電話しておくから、行って見てください。

 もう私は大変に感謝して、お礼を述べ、その店主の書いてくれた地図を見ながら、娘の手を引いて歩き出す。娘の手には、店主からもらったお菓子がある。大学の正門から出て、ちょうど10分くらいのところに、そのお店はあった。ここも何軒もの飲食店や他の店が並んでいる街なのだ。
 今度の店主は、俳優の津川雅彦に似た風貌の人で、店の中から私を見て、すぐに判ったようだ。年齢は50代後半だろうか。「はい、いらっしゃい。○○さんだね」と言ってくれる。
 そして、私と娘の名前を聞いただけで、住むのは、2階だと言って、住所と電話を書いた紙をくれ、「荷物があるだろうから、ここへ送ってくればいい」と言ってくれる。2階は、前には自分が泊まっていたのだが、今はすぐ近くから通っているのだという。
 私はその2階に上がって、やっと落ち着いた気になる。店主は2階に案内すると、すぐに下に降りて行ってしまった。何しろ忙しい店なのだ。私は「お母さんは下のお店にいるよ」と言っておいて娘を昼寝させ、下に降りていく。店主に「働かせてください」というと、「仕事は明日からでいいのに」といいながら、嬉しそうに、いろいろと教えてくれる。
 私もなんだか、その店主の顔を見ていると、嬉しくなって、一生懸命に仕事を覚えようという気になってくる。私は不器用だけれど、真面目に働く気持だけはあるのだ。
 私には、もうそれからただただ、必死に働きだした。問題は娘のことなのだが、心配した店主が保育園に入れたらと言う。それはそうなのだが、今の私にはなにもかも明かせない事情があるのだ。公立の保育園に入れられるわけがない。でも店主は、「公立でなくても、私立でもいいじゃないか」と言ってくれる。料金は多少高くても、そんなところでもいいかななんて思い始める。もう、ここで働いてもうすぐ1カ月になるのだ。そう私は、その夢の中でも、もう1カ月働いているのだ。
 だが、そのちょうど1カ月目の日、私は午後1時半くらいのときに、私は厨房の中から、店に、あの女が来ているのを見る。その女は、青いツーピースを来ている。「どうして、ここがわかったんだろう?」。だが、なんだかこの女は、私がこの店にいるとまでは判っていないようだ。この街のどこかにいるとまで判って来たのだろうか。私は逃げなくてはいけない。しかもすぐにだ。娘が外で遊んでいる。見つけて、すぐに逃げなくてはならない。もう2階に行っている時間もない。ここの親切な店主には、あとで手紙を書けばいいだろう。
 私は厨房の奧にある勝手口から急いで外に出ていく。
 私は「また逃亡生活になるのだ」と思う。またどうなるんだろう。

 ここで夢が覚めました。夢の中では必死になっているだけで、何故私が逃亡していて、追ってくるあの女は何なのかというようなことは、サッパリ判りません。いつも理由がはっきりしないままに、いろいろな夢を見ています。(2000.08.20)