私は 東京新聞６月７日朝刊に吉本さんがドストエフスキーに関する意見 の３ に次のように書いていました。
でも、この吉本さんの文章は大変に、いい内容です。でも私には、「これはちょっと違うんだけどなあ」というところもあります。
それはまた次に書きましょう。
こう私が思ったのは次のことなのです。
不安を模索する道しるべとしてのドストエフスキー。一側面にすぎないのかもしれないが、吉本氏はそんな「ガイドブック」を求めたがる団塊世代に対して辛辣だ。
「全共闘世代といっても人それぞれだろうが、結局は精神的に自立できなかったということじゃないのか。学生として暴れていても、大半はその後、会社という村の中で、何十年も世間の常識に染まって生きてきた。その村から定年で追い出された、さあどうしようとなって、ありがたがってドストエフスキーに飛び付くというのもなあ」
こう言われてしまっても、吉本さんの言われるように、「全共闘世代といっても人それぞれだろうが」ということなのです。別に私なんか、結局は「会社という村の中で、何十年も世間の常識に染まって」なんていう体験は味わっていません。そういうふうに言われる道に染まっても見たかったものでしたが、まったくありませんでした。
思えば、私のことを、ちゃんと経歴まで調べたところは別にして（雇わないから）、その経歴と関係なく、私を雇ったところは、結果として大変に面倒な思いを充分味わったことだろうと思っています。なにしろ、私なんかは公民権停止が続きましたから、そしてそのことを私自身ちゃんと認識していなかったものですから、思えば面倒なことだったものです。
だから、吉本さんに言いたいのは、吉本さんご自身が言われるとおり「人それぞれ」なのです。そして、あの時代の私たちを、「全共闘世代」というどうでもいい言葉で私たちの世代をひとくくりにしようというのは、はっきりいえば大間違いです。
このことはいつでも私は言っていますが、どうにも判らない方が多いようです。
私は２０歳のときに、東大闘争で安田講堂で逮捕起訴されて、８月２１日に保釈になった１カ月も経たない後に芝浦工大事件で、またこの年の１２月１０日逮捕され、翌年早々また起訴されました。
だが、私は最初から、マルクス主義は否定していましたし、もともとビートルズなんてまったく関心がなかったし、ずっと詩吟をやっていました。尊敬する革命家思想家は北一輝でした。でもでも、そんな私でも、みな全共闘世代とかいうので、ひとくくりにしちゃうのですね。
吉本さんはけっして、そういう風には決めつけない方だと私は思っていますが、私たちの世代には、そう思われても仕方のない人もいるのかもしれないですね。
とはいえ、私は、私です。誰もそうなはずですよ。
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