大統領が変わると日本はどこまで変わるか? (トレビズ新書)
大統領が変わると日本はどこまで変わるか? (トレビズ新書)
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書 名 大統領が変わると日本はどこまで変わるか?
著 者 長谷川慶太郎
発 行 ソニー・マガジンズ新書
定 価 780円+税
読了日 2009年1月18日

 1月18日に私の従兄のお葬式に行くときの電車の中で読み終わったものでした。次がこの本の目次です。この目次を書いていまして、私はまた再び本を読み直している気持になれるものなのです。

目次
まえがき
第1章 新大統領とアメリカの行方
 新大統領誕生でアメリカはどう変わる?
 国務省では4000人規模の交代劇が起こる!?
 議会スタッフ7000人の入れ換え
 シンクタンクの意外な役割
 海岸寄りは民主党、内陸部は共和党を支持
 大統領選出のシステムとは?
 アメリカの複雑な選挙事情
 政権交代後も基本政策は変わらない
 財政赤字など簡単に解消できる!
 懸念される「レームダック」とは何か?
 「ドーハ・ラウンド決裂」は威信低下にはならない
 マケインの強みと弱み
 超巨大協会「メガチャーチ」の影響力
 共和党vs民主党の真の勝者は?
 アメリカのアジア戦略───中国
 アメリカのアジア戦略───北朝鮮
 中国経由で北朝鮮をコントロールするアメリカ
 アメリカのインド戦略
 第1章のポイント
第2章 日本はこう変わる!
    〜日米両国は最良のパートナーシップ〜
 3つの力が創るパックス・アメリカーナ
 人類史上最強の軍事力
 世界唯一の総合金融センター
 9・11テロでも止められなかった決済システム
 スピーディで柔軟性に富んだ強力な政治力
 モノ作りを棄てた国アメリカ
 世界の追随を許さない日本の技術力の高さ
 世界を変える4種類の大規模投資
 日米関係を象徴するトヨタとGM
 アメリカの姿を正しく認識する必要性
 世界の流れを決める「構造」
 エネルギー問題で存在感を増す日本───\侈
 エネルギー問題で存在感を増す日本───天然ガス
 エネルギー問題で存在感を増す日本───8胸厠
 エネルギー資源輸送の要となるパイプライン
 大陸横断鉄道の複線化とレール交換
 ヨーロッパにのぞみ型新幹線が走る
 世界中の大都市での再開発ラッシュ
 設備投資こそがインフラを成功させる
 世界最先端の鉄鋼業が大規模設備投資
 世界の機械工業をリードする日本
 日本の機械工業が世界のインフラ投資に果たす役割
 第2章のポイント
第3章 サブプライムローン問題とエネルギー問題
 アメリカの金融覇権は終わるのか?
 サブプライムローン問題は21世紀の大恐慌をもたらす!?
 サブプライムローン問題はどこまで深刻か?
 新生銀行と北洋銀行にみる”再建”の発想の違い
 債券保険会社に公的資金注入の背景
 世界的金融危機に発展する可能性を孕む「モノライン問題」
 住宅産業不況で大画面テレビが売れなくなった
 住宅地から農地への転換が活況を呼ぶ
 オバマのスローガンに「NO!」を突きつける農村
 21世紀、日米同盟は理想的な組み合わせ
 洞爺湖サミット「環境保全」の背景にある「原油高騰」
 「WTI」はいかにして生まれたか
 バイオ燃料ブームの光と影
 アメリカのエネルギー産業
 天然ガスとLNG
 石油バブルは必ずはじける!
 戦争に強い共産主義が敗北した理由
 資源問題は世界を変えられない
 第3章のポイント
第4章 強国アメリカという「仕組み」
 NATOをはるかに凌ぐ米軍の紛争解決能力
 志願兵制度が強さの源泉
 脱走兵皆無!イラク侵攻は遠からず成功する
 冷戦を終結に導いた軍事力〜空軍
 冷戦を終結に導いた軍事力〜陸軍
 アメリカはもはや「技術力の日本」を手放せない
 戦死者におりる莫大な生命保険金
 州兵という軍事力の供給源
 他国の追随を許さない果敢で柔軟な政治力
 テロを起こさない確実な方法
 自家用機からも垣間見えるアメリカの底力
 地方分権がしっかり根付いた国
 「選挙が身近な国」ならではの職業
 FBIとFDAにみる自由と責任の思想
 第4章のポイント
第5章 アメリカ社会の光と闇
 「チェンジ」を望まないアメリカの農家
 アメリカ農家の「夜逃げ」
 農産物価上昇で「チェンジ」は悪
 地道なエネルギー源確保の動き
 GPSからICタグへ
 ICタグが物流を高速化させる
 大規模コンテナ輸送で大陸横断鉄道が変わる
 次々に計画される大規模な空港増設計画
 インフラ整備の行き届いていない道路
 労使関係のメリット・デメリット
 高給取りのキーマンとカーペンター
 アメリカがハイブリット。カーを作れない理由
 第5章のポイント

 ただし、著者はこの本を執筆しているときには、まだ米国の大統領選挙の結果は明らかになっておらず、民主党がバラック・フセイン・オバマ・ジュニアが大統領候補であり、共和党がジョン・シドニー・マケインが大統領候補であるということが判っていた段階です。でももうそのときに、慶太郎さんは、この本を書いているのです。

 世界が進めている大規模投資は、大きく4つの分野に集中している。第1の分野はエネルギー。ついで輸送交通、そして都市再開発、最後が製造業の設備投資である。
(中略)
 アメリカがもはやモノ作りの国でないことは先に振れた。では一方の日本を見ると、産業構造の約20%が製造業であり、残りの80%ほどが第1次産業、第3次産業などの非製造業に分類できる。
 非製造業の代表的な産業は、金融や情報通信などのサービス業、小売業といったソフト部門だ。この分野では、金融の例を見てもわかるようにやはりアメリカが強い。だが、20%の製造業に関しては、世界でも日本以上にアドバンテ−ジを持つ国はない。つまり、唯一の超大国といわれるアメリカにとって、自国に欠ける部分を持つのが日本なのである。
(第2章 日本はこう変わる!〜日米両国は最良のパートナーシップ〜 「世界を変える4種類の大規模投資」)

 このことは、慶太郎さんが前々から指摘されていたことですが、でも改めてこう言われることを、私は再び反芻して確認するように読んでおりました。

 多少奇妙な分類かもしれないが、共産主義という体制は戦争に強い。統制経済、戦争経済では、非常な力を発揮するのが、どんな場合にも見られる共産主義に共通した特長ともいえる。
 ところが、その事実を逆から見れば、共産党という政治体制は、常に「戦時」を必要とするということになる。つまり、戦争がなければ政治体制そのものが続かないのだ。
 平和な状態が持続していくことにによって共産主義は時代遅れになってしまった。その結果が冷戦体制の終焉。資本主義の勝利だといえるだろう。
(第3章 サブプライムローン問題とエネルギー問題 「戦争に強い共産主義が敗北した理由」)

 これもまた慶太郎さんがたびたび指摘されていることです。もう充分に納得できることです。

 原油価格の高騰を追いかけるように、農産物の高騰から、鉱産資源の価格上昇、さらにはその矛先は希少金属へ……各種資源の価格上昇が起こり、いま世界はあたかも資源を中心に回り始めているように見える。しかし結局、その傾向が新たな世界経済の流れになるわけではない。
 これも単純な話だが、資源だけでは経済活動を維持できないのだ。
 たとえば、電力というのは人間エネルギーと考えられる。その電力なくしては経済活動もあり得ない。そこでは資源とは電力を作るための1次エネルギーに当たるのだが、これは所詮、電力という2次エネルギーを生産する手段にすぎない。
 では世界を動かす経済活動にとって、どちらが決定的な力を持つのだろうか? それは当然、1次エネルギーではなく、2次エネルギーである。つまり、資源は最終的に主役になることはあり得ないのだ。
(「資源問題は世界を変えられない」)

 私は昔沖縄で働いていたことがあります。米軍基地の中で、海洋博会場までの送電線を作っていました。もうこのときには、思えば米軍は徴兵制だったのですね。夜米軍用の飲屋街で、テキサスから来た若い新兵にウィスキーをおごったことがありました。徴兵されてきて、若い彼らには辛いことだったでしょう。下手をすると、実際に戦争をやっているベトナムにいかされるかもしれないのです。でも今のアメリカは違うのですね。

 アメリカは徴兵制度をとっていない。
 その点では徴兵制をベースに国民皆兵の軍事力を構成してきたヨーロッパ諸国とは軍隊に対する考え方が大きく異なる。
 米軍というのは、志願兵制度に基づいた職業軍人、軍事のプロフェッショナル集団なのだ。
(第4章 強国アメリカという「仕組み」 「志願兵制度が強さの源泉」)

 しかし、さらに驚くのは、次の一文です。

 意外なことかもしれないが、米軍に参加するためにはアメリカ国籍は必要ない。(同上)

 アメリカにおいては、徴兵制はむしろ例外的なことだということなのです。ベトナム戦争では1970年に徴兵制が実施されたということなのです。私はだから、あの1973年に見た沖縄の路を雨の中行進させられていた米軍の若者を思い出します。あの子たちはみな徴兵制度のもとで、行進していたのですね。

 それと「冷戦を終結に導いた軍事力〜空軍」では、1982年のベイルートの制空権をかけて、イスラエル空軍とシリア空軍のほぼ100機ずつの空中戦ですが、シリア軍の完敗でした。これはもはやソ連空軍では米空軍には正面から衝突することはできないということでした。このことが実に大きなことですね。戦闘の勝敗は技術力で決まるということを強く証明したことでした。

 私の長女の家には、パン製造機があります。私は実に感心して見ていました。この日本製のフランスパン製造機がアメリカでは大人気だといいます。でもパンの本場であるヨーロッパではそういかないのですね。私としては、どうみてもアメリカのほうに軍配をあげてしまうものです。おいしいパンが手軽に誰もが食べられることこそが大切なのです。

第5章 アメリカ社会の光と闇」も実に考えさせられました。

 日本車だけは駐車料金がいらないという州がある。カリフォルニア州である。(「次々に計画される大規模な空港増設計画」)

 カリフォルニア州知事はシュワルツェネッガーです。彼の日本車を優遇する事実気持が痛いほど判ります。アメリカの車が売れなくなるはずです。

 また、今後も慶太郎さんの出版された本は必ず読んでまいります。