図書新聞の第２９４８号の一面に登山家の田部井淳子さんが書いています。その中で、
「最初に山に連れて行ってくれた」先生が、してくださったお話というのは、島崎藤村の『夜明け前』であったり『破戒』であったり、とても難しい話が多かったんですね。
と書かれています。それで私はこの作家を思い出しました。
思えば私は今夏目漱石をすごく好きで、今もその文学を読もうという気持が大きくなっていますが、でも実はこの島崎藤村のほうが先に読んでいるのですね。私がこの『夜明け前』を読んだのは、中学２年の５月のことでした。
中学２年生の私には、とても長い小説でした。この物語の主人公青山半蔵が藤村の父親の正樹でした。彼は小説の通り、明治１９年に牢死します。
私は藤村は、他にもいくつもの小説を読んでいますが、どうしてもその小説のもっている暗さみたいなものに耐えられない気持が湧き上がってしまいます。それは、この最初に読んだこの小説の影響が大きいのかなあと思っていまします。
もう確実に二度と読むことのない小説ですね。（2009.12.30）
