私が私もいろんな職に就きましたねで、いくつものことを思い出しました。私が毎日広告コピーを書いていて、当時の上司からいつもいつも「ダメ」と言われ続けていたものでした。そこでいつも、山口瞳『江分利満氏の優雅な生活』を思い出していたものです。
今でも、私の背後の本棚には、この『優雅な生活』と『華麗な生活』が置いてあります。二冊とも新潮文庫で、『江分利満氏の優雅な生活』は買った古書店も覚えています。東横線白楽の古書店で高校三年のときでした。
『トリスを飲んでハワイに行こう』というコピーは私は忘れたことがありません。
私は山口瞳が亡くなったときに、次を書いています。
あのときは、とっても悲しかったものです。「でも俺にはまだ吉本（吉本隆明）さんがいるんだ」なんてことを何度も思ったものでした。
今朝の日経新聞の三井住友の広告 に書いたように、同じく昨日の日経新聞の最終面の下段全４段広告が目にとまりました。
ただし、前は「三井住友フィナンシャルグループ」と「三井住友銀行」の広告ですが、今回は「三井住友フィナンシャルグループ」と「三井住友ファイナンス＆リース」の広告です。
これもまた、以下のサイト
http://www.smfg.co.jp/special/ LEAD THE VALUE Special Contents
ここの広告ギャラリーで、この広告をそのまま見ることができました。
リースって貸してるだけでしょ？
という人がまだ多い。
いい機会なのでご説明します。
私の担当は、半導体製造装置です。
私はそれを製造装置メーカーから買い取って、半導体メーカーにリースします。
この時にです。その装置の価値がリース満了時点でいくらになっているか？
それを先読みすることがとても重要なんです。
なぜならその金額を差し引いた部分のみが、お客さまのリース料となるからです。
その見極めを誤ると、じつに数億円単位の損失に。
10 年近くやっていますが、何度やっても読むことは難しい。
半導体が中にある製品のマーケット情報や業界のトレンドなどを敏感に察知しながら、
将来の価値を判断していくしかない。
例えば、この先ケータイにどんな機能があるといいのか？
なんてことも常々考えていたりするんです。
三井住友ファイナンス＆リース
電子デバイス設備部
黒田 耕一郎
これも私には、いい「広告コピー」です。「貸す」だけなら、「レンタル」なのでしょうね。「その金額を差し引いた部分のみが、お客さまのリース料となる」のだけれども、それに金利がつくのでしょう。
数億円の機器なら、なんとなくよく判るのですが、２００万円位の機器、１００万円くらいの機器だと、このリース料もどこがいいのか判らないものです。
そもそも企業のＢＳには、このリース機械は、資産としては出てきません。もちろん、自分の企業の機器ではありませんから、当然のことです。自社の資産ではないわけだから、資産税の申告も必要ないわけです。
ＰＬの経費にはリース料とか賃借料として出てきます。
でも、「この先ケータイにどんな機能があるといいのか？」ということは、このリースのこととは関係ないですね。それとも関係あるのかなあ。
米国では、車のリースが盛んです。この日本とそこが違うように思っています。でも、この日本も盛んになっていくのでしょうね。米国では、日本車がリースで使われて、それがリースが終わったあとも、米国車よりは、高く売れるというので、これがさらに日本車の方が評判のいいことのようです。
一つ前に書きましたが、この日経新聞の広告コピーが全面に載っている中で、一つ前の書いたコピーの隣に以下のコピーがありました。
新聞は、アダルトだ。
西尾ヒロユキ
東急エージェンシー
ええと、これで私は私はこのアダルトという言葉が何だろうと思いました。「新聞は大人だ」というような意味かな。できたら、個々のコピーライターさんが教えてくれないかなあ。いえ、別にコピーライターでなくとも、各エージェンシーが教えてくれてもいいのです。私みたいな阿呆に教えてください。
adultとは、辞書を引いてみますと、
成人（の）、成人向けの（新リトル英和辞典）
とあります。「新聞は、成人だ」という意味かな。でもやっぱり、私は阿呆なのかな。よく判らないのですね。
１１月７日の日経新聞の１２、３面が全面で（ただし下全５段は「宣伝会議」の広告が載っています）、広告コピーがいくつも記名入りで載っています。
新聞広告とインターネット広告の対談
編集部（以下「編）「以外にもお二人は初対面だとか？」
新聞広告（以下「新」）「ええ、機会がなくて。今日は楽しみです」
編「ということなのですが、実はまだ、
インターネット広告さんが到着していません」
新「忙しいんでしょうね。いまや大人気ですから」
編「ネット広告さんはこの対談も『メールで済ませられないか』
とおっしゃっていたんですよ」
新「それで情報のやりとりはできますね。ただ、実際にこうして会って
触れて初めて伝わるものもあると思います。古いんですかね（笑）」
編「ネットは即時性がウリですが」
新「新聞広告は日本中の人に同時に届けられる。
これはネット広告なんかにはできないことですよ」
編「あるほど。それにしても遅いですねぇ」
新「遅いですね」
編「変だな」
新「ここ、ブロードバンドじゃないんじゃない？」
編「…あ」
新沢崇幸
ＴＢＷＡ＼ＨＡＫＵＨＯＯ
私は当初これを読んでも、実はこのコピーの文章の内容が判りませんでした。思えば、私はこの会話を、新聞広告の担当者とインターネット広告の担当者が実際に会う予定で、仲立ち司会が編集部だと思っていました。
でもよく読めば、そして今判ったことですが、これは実際の人間ではなく、新聞広告そのものとインターネット広告そのものが会う約束なのですね。でも、この場がブロードバンドではないから、インターネット広告さんがその場に入ってこられないのです。なるほどなあ、今判ったものでした。
でもそうなると、そもそもこの場がなんでブロードバンドじゃないのかなあ。いまどきそんな場所でパソコンを開くものかな。これではスカイプも使えない場所なんですね。だから対談そのものができない場なのです。
それに「新聞広告は日本中の人に同時に届けられる」と言っても、日経新聞ではない新聞の人はこれを読めないし、すべての新聞（いや全国新聞だけでも）費用が莫大すぎます。そもそも、今では新聞そのものを購読しない人が増えていますよ。そして日本中、どこでもブロードバンドが普及していると思うのですね。
これは、昨日の折込チラシにあったコピーです。
私が今朝家を出るときに、ゴミを持ちまして（ゴミはマンションの１階の収納室に入れる）、さらに前日に日経新聞を下の階の長女宅に入れるので、これも手に持ちました。
でも、そのときにＢ５チラシのこの広告コピーに気がつきました。私は新聞は熱心に読み（しかも広告をよく読むようにしている）、チラシも必ず見るようにしています。でもでもどうしても、それほどの時間がないわけで、つい読みとばしてしまうことが多いのです。
このときも、手に持った新聞の中のチラシの、このヘッドコピーを読みまして、「あ、住友林業の広告か」と、そのまま持って歩きました。そして路を歩きながら、このコピーをすべて読みました。
チラシは、今はＢ３チラシが多いのですが、珍しくＢ４で、しかもオフ輪印刷物ではなく、綺麗にＢ４に化粧断してあります。用紙は珍しくキロ９０Ｋほどの厚みがあります。
私は広告代理店の子会社の広告制作会社で、制作のプロジューサーをやっていたことがあります。毎日莫大な数の広告物を作っていましたが（思えば毎日二日酔いでやっていたな）、一番多かったのが、この折込チラシです。でもこんな厚いコート紙のチラシはやったことがありませんでした。
この広告は住友林業のチラシでした。住友林業の家は、街を歩いていても、「あ、住林（すみりん）の家だ」とよく気がつくものです。
神戸大震災のあと、私はよく私の行く建具店で、その監査役と社長の家で毎回飲みながら、「どうして木造メーカーは、『木造の家こそ地震に強いんだ』と言わないんだ」と怒っていました。ただし、そのときも、この住友林業だけはやっているな、と評価していたものでした。
このチラシのメインコピーが以下です。
都市という、住宅の集中する貴重で限りある場所に
火事や地震に強く、上質に木質感がかなえる癒しを実現したい。
住友林業ならではの設計力と技術力が
そんな夢を住まいをカタチにします。
木の強さとやさしさに包まれて
今までにない暮しを始めませんか？
いいコピーですね。そしてこのコピーが載っているのは、住宅の部屋の中を映した写真です。いい写真だから、これをスキャンすればいいのですが、私がポケットに中に折り畳たんできたので、あまりにぐちゃぐちゃなので、やりません。
このチラシにホームページが載っていました。
http://sfc.co.jp/sangai/
住友林業の家 3階建てナビ - 木造3階建ての世界へご案内
ただし、私はこのチラシの「コピーがいいなあ」と目に入っただけで、住林の住宅建築のよしあしを書いているわけではありません（念の為）。