20181126010312102107 12102106これで新的矢六兵衛が現れます。だが彼は自分が的矢六兵衛であるとしか答えません。

しばらく睨み据えたあとで、わしはとうとう辛抱たまらずに言うた。
「おぬしは誰じゃ」
居ずまいよくかしこまり、男はわしの胸のあたりに目を留めたまま唇だけで答えた。
「的矢六兵衛にござる」
「他(はた)をないがしろにするのもたいがいにせよ。今一度訊ぬる。おぬしは誰じゃ」
「的矢六兵衛にござる」
地の底から湧いて出るような、低い声であった。ほかには一言も、ウンもスンもないのじゃ。12102102

これでこのままですと、私たちにもこの新的矢六兵衛も解明できません。最後に餅が出てきて、それが好きな伊左衛門は新的矢六兵衛を質せないのでしょうか。
でも明日には少しは何かがわかるのではないかと私は期待しています。

私はこの「黒書院の六兵衛」を読みながら、しきりに12102103夏目漱石を思い出しています。もう随分前からそうなのです。
漱石は偉大な作家であり、私には数々の作品にとても魅力を感じています。その魅力をこの浅田次郎にも深く感じてしまうのです。

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