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Tag：新約聖書マタイ伝

　新約聖書マタイ伝へtagurannさんから以下のコメントがありました。

. Posted by tagurann   2011年09月14日 11:36
　こんにちは初めまして　僕も良くマタイ伝を読みます
そして聖書を知らない人には　いくらか読みやすいマルコを勧めています。たしかにマタイはユダヤに対する口撃が多いですね

　聖書から　長い時間かけて逸脱していった
　ユダヤの権力者（律法学者達）に対して
　かなり強い口調で
　彼らの勝手に作っていった律法の為に
　その律法の為に　貧しい民衆達は、時の征服者ローマの連中
　からの圧迫以上に苦しんでいる様子がうかがえます。
　病気や身体障害などを、彼らは罪（あるいは親達の罪）の
　せいにしたりしてますよね、律法あるいは旧約だと
　この罪の場合は、こういう儀式を行いなさいとか書いてあったり
　あるいは後から作った律法でも、そういうのがあったでしょう。
　職業差別も作っていったのでしょう。
　下々の民には、そういう儀式を行うだけの財力も、あるいは
　身分差別により会堂に入る事も出来ない人もいたのだと思います
　そこにイエスの登場　言葉により、術により　その虐げられて
　いる人達の心も体もきっと解放されていったのだと思います。
　その反面のユダヤの権力者に対しての　強い口調がたしかに
　マタイにはありますね。　マタイはユダヤ人向けに書かれた共感　福音書と言われる所以　でしょうね、これでユダヤの民で改心し　たら良かったのでしょうけど、未だにユダヤの民の殆どがユダヤ　教なのでなかなか改心は上手くはいかなかったのでしょうね、
　それほどかたくなな人達なのでしょうと思います。ちょっとマタイは長めですよね、初心者には最初に出て来る系図も読みずらいかも知れませんね。８つの幸いもあるのでマタイは感動的なのですが、とっつきずらいものではあります。ひとりでも多くの人が新約聖書からでも良いから読んでくれてイエスキリストを受け入れてもらえると良いと思っております。

11091806　私は、吉本（吉本隆明）さんの『マチウ書試論』と『喩としてのマルコ伝』を読んでから、『舊新約聖書―文語訳』を実によく開いています。マタイ伝は吉本さんのこの書を読んで実によく分かるようになれたつもりです。
　私はどうしても、マタイ伝を「憎しみの書」だと言ってしまいます。私は初期ブントにあった革共同への憎しみが、このマタイ伝でも読み取ってしまうのですね。
　今年３月にあった東日本大震災で、私は聖書の中に地震に関する言葉を探しました。いくつもの仏典や論語等とは違って聖書には、地震に関することもわずかに書いてありました（これは仏典や論語に否があるわけではありません）。
　しかし、思うのですが、仏典（だけでなく、いくつもの宗派の経典）や、儒教に関するいくつもの先人たちの言い方よりも、日本の聖書はいいいですね。日本のキリスト教もいくつも宗派はあるはずなのですが、私が知る限りは、聖書は一つだけです。そしていつも私は聖書を「文語訳」で読んでいます。これで、「キリストはこういわれたのだろうな」と思ってしまうのです。
　でも私は前に、このマタイ伝やマルコ伝を、名古屋弁にしてみたことがあるのです。そのときに、「あ、絶対にイエスは名古屋人ではなかったろうな」いや、また東北の言葉や、広島弁にも変換したのですが、これまたイエスは、広島人でもけっしてないはずです。　こうなると、私の思う、「『舊新約聖書―文語訳』で読んでいると聖書もいいな」というのも怪しくなってきます。

　とにかく、これからも『舊新約聖書―文語訳』は読んでいきます。

タグ ：
#新約聖書マタイ伝
#マチウ書試論
#喩としてのマルコ伝
#舊新約聖書―文語訳

11012810　私は遠藤周作という作家は少しも評価できませんでした。飲む席ではいつも貶していました。でも私が好きな作品もいくつかあるのです。

書　名　沈黙
著　者　遠藤周作
発行所　新潮社

　私はいろんなところで、遠藤周作がいかに駄目かといってばかりいるので、すこしは彼の良かった小説を読み直そうかなと思ったことと、偶然古書店で手にとったことで、また読み返してみました。

　やっぱり感銘深い小説です。切支丹の転向のことをテーマにしています。
　切支丹の宗教はいまでは、いわゆるキリスト教とは違う宗教になっているといわれます。鎖国が長くてローマ協会と連絡がとだえたので、独特に変化していったということです。でも本当にそうなのでしょうか。この小説では、切支丹である日本人が信仰したのは、最初から日本に上陸したときから、日本の宗教になったのものではないかという見解が述べられています。
　それに「転向」ということもくわしく検討しなければならないし、いやたくさんの思いを含ませてくれる小説です。

　聖書マタイ伝は、私には憎しみの書としか読めません。ゴルゴダの丘まで、十字架を引きずっているイエスは何を考えたのでしょうか。ペテロへ対してのイエスの言葉

　　にはとり鳴く前に、なんぢ三度（さんたび）われを否（いな）
　　まん（今夜、鶏が鳴く前に、あなたは３度わたしを知らないと
　　言うだろう）

　たしかに、ペテロが３度目にイエスのことを「知らない」と言ったとき、鶏が鳴きました。イエスは十字架の上で、神を怨む言葉を叫びます。

　　三時ごろイエス大声に叫びて『エリ、エリ、レマ、サバクタ
　ニ』と言ひ給ふ。わが神、わが神、なんぞ我を見棄て給ひしと
　の意（こころ）なり。

「何故神は私を見捨てたのだ」。

　（註）新約聖書マタイ伝

　イエスはユダに対していう。「去れ、行きて汝のなすことをなせ。」イエスはユダを見離したのか。もしすべてが神の意思ならば、ユダの存在もまた救うべきではないのでしょうか。
　ゴルゴダの丘でイエスが神を怨んだように、

　　なんのため、こげん責苦をデウスさまは与えらられるとか。パー
　ドレ、わしはなんにも悪いことしとらんとに。

というキチジローの言葉が、主人公パードレ・ロドリゴの胸をつきさす。神はなぜ黙っているのか。
　自分への激しい拷問には耐えたロドリゴが、結局転んでしまう。

　…………。もし基督がここにいられたら
　基督は、人々のために、たしかに転んだだろう

　彼が踏絵を踏むところ

　　司祭は足をあげた。足に鈍い重い痛みを感じた。それは形だけ
　のことではなかった。自分は今、自分の中で最も美しいと思って
　きたもの、最も聖らかと信じたもの、最も人間の理想と夢にみた
　されたものを踏む。この足の痛み。その時、踏むがいいと銅板の
　あの人は司祭に向かって言った。踏むがいい。お前の足の痛さを
　この私が知っている。踏むがいい。私はお前たちに踏まれるため、
　この世に生れ、お前たちの痛さを分かつため十字架を背負ったの
　だ。こうして司祭が踏絵に足をかけた時、朝が来た。鶏が遠くで
　鳴いた。

　だがこのロドリゴはいったい何に負けたのでしょうか。弾圧側の長イノウエ筑後守のことば、

　「やがてパードレたちが運んだ切支丹は、その元から離れて得体
　の知れぬものとなっていこう」
　　そして筑後守は胸の底から吐き出すように溜息を洩らした。
　「日本とはこういう国だ。どうにもならぬ。なあ、パードレ」
　　奉行の溜息には真実、苦しげな諦めの声があった。

　このことは、つまり戦前の転向の問題と同じではないのでしょうか。ロドリゴはこれがイエスの意思であると思い込んでいますが、そう思わせたものは、日本の切支丹であり、さらにはこの日本そのものなのです。キリスト教は、日本に上陸したときからもうすでに日本の宗教になっていたのです。
　コミンテルンも決定的に分かってなかったように、ローマ教会も日本のことは何も分かっていなかったのです。
　イザヤ・ペンダサンにいわせれば、いまの日本のキリスト教も（もちろん切支丹も含めて）、日本教徒キリスト派になるといいます。

　　宣教師はよく日本人は無宗教だというし、日本人もそういう。
　無宗教人などという人種は純粋培養しなければできない相談だし、
　本当に無宗教なら、どの宗教にもすぐ染まるはずである。（中略）
　何十年か日本で一心に伝道してごらんなさい。そのうち老人にな
　ると、日本人はあなたのことをきっとこういって尊敬してくれま
　すよ。「あの人は宣教師だが、まことに宣教師くさくない、人間
　味あふるる立派な人だ云々……」。何十年かたったら思い出して
　下さい。この「人間あふるる」という言葉の意味と重さを。そし
　てそういわれたときに、あなたが日本教キリスト派に改宗したの
　で、あなたの周囲の日本人がキリスト教徒になったのではないと
　いう事実も。　　（イザヤ・ペンダサン「日本人とユダヤ人」）

　ただ遠藤周作は、結局切支丹はもはや、ローマ教会とはまったく違うものにはなっていたけれど、神の教えであり愛の宗教であることに変わりなく、これもまたキリストの愛の教えなのだといいたいのだと思います。

　ただ、これほどの小説を書いた遠藤周作が、その晩年は実にみじめみっともない、格好悪いなという作品ばかりだったことは、なんだかとても残念です。（1988.11.01）

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#遠藤周作
#沈黙
#切支丹の転向
#新約聖書マタイ伝
#キチジローの言葉

11011508　私はときどき聖書を読みます。私のは日本聖書協会の「舊新訳聖書」で、文語訳のものです。とくに読むのは新訳聖書の「マタイ伝」です。これは吉本（吉本隆明）さんの「マチウ書試論」を何度も読んだことにより、深く読み込めるようになってきた感じがしています。
　原始キリスト教の一番身近な存在であるユダヤ教との激しい近親憎悪とも思える愛憎の言葉がマタイ伝のすべてに見えてきます。私には、ユダヤ教を徹底して憎んだ原始キリスト教がやがてはローマ国教となったときに、ユダヤを完全に弾圧できる力を確立できたかと思っています。おそらく、そんなことのためにイエス・キリストが生まれたのでしょうか。そういうことで、マタイ伝の作者はイエスを生み出したのでしょうか。そんな風に私には読めてしまうのです。
　以下は、　　　
　　　　　　破茶の掲示板

に書き込んだものです。破茶さんが聖書を読んでいるという書き込みを見まして書き込むことになりました。それから、毎日私のすぐそばにおいて、このマタイ伝を何度も読み返しています。またこれからもこのマタイ伝への思いを書き続けていきたいなと考えています。

「新約聖書」の最初が「マタイ伝」です。私はこの「マタイ伝」をよく読みます。そして、その「マタイ伝」から私に伝わってくるのは、「愛」ではなく、「憎しみ」なのですね。
　例えば、イエスは十字架にかけられるわけですが、それを望んだのは、ユダヤの民衆です。祭りごとに、ローマ総督は、民衆の要求する一人の囚人を釈放する習わしがあり、ローマのユダヤ総督のピラトは、民衆にバラバという囚人とイエスのどちらを赦そうかと問いかけますと、ユダヤの群衆は、バラバを赦せ、イエスを十字架にかけろというのです。

　　さてイエス、総督の前に立ち給ひしに、総督問ひて言ふ『なん
  じはユダヤ人の王なるか』イエス言ひ給ふ『なんじの言ふが如し』
  ………（中略）総督こたへて彼らにいふ『二人の中いづれを我が
  赦さん事を願ふか』彼らいふ『バラバなり』ピラト言ふ『さらば
  キリストと称ふるイエスを我いかにすべきか』皆いふ『十字架に
  つくべし』ピラト言ふ。『かれ何の悪事をなしたるか』彼ら烈し
  く叫びていふ『十字架につくべし』ピラトは何の効（かひ）なく
  反（かへ）って乱にならんとするを見て、水をとり群衆のまへに
  手を洗ひて言ふ『この人の血につきて我は罪なし、汝等みづから
  当れ』民みな答へていふ『その血は、我らと我らの子孫とに帰す
  べし』ここにピラト、バラバを彼らに赦し、イエスを鞭うちて、
  十字架につくる為に付（わた）せり。

　イエスを十字架にかけたのは、ローマではなく、イエスと同じユダヤの民衆なのです。そして、このことの責任をユダヤ人は、子孫にまで負うと宣言してしまいました。
　そのあと、イエスは十字架を背負て、ゴルゴタの地を歩きます。そして十字架の上にかけられたときも、ユダヤの群衆は、お前が神の子なら、どうして己を救えないのだと責めます。イエスの十字架の左右に同じく十字架にかけられていた二人の強盗もまた、同じ言葉でイエスを責めます。イエスは神に叫びます。

  　三時ごろイエス大声に叫びて『エリ、エリ、レマ、サバクタニ』
  と言ひ給ふ。わが神、わが神、なんぞ我を見棄て給ひしとの意（こ
  ころ）なり。

　イエスが救おうとした大衆は、彼自身をこそ十字架にかけろと叫び続けました。イエスは「どうして神は、私を見棄てるのだ」と大声で叫びました。だが、神は何もしません。
　この光景を私は想像するのですが、実に民衆の心にはイエスに対する憎しみしか感じられません。そしてイエスもまたこの民衆たちを愛していたのでしょうか。
　イエスの弟子たちはどうだったのでしょうか。一番の弟子ともいえるペテロはどうだったのでしょうか。私にはこの「マタイ伝」の中で一番迫ってくる内容です。

　　ペテロ外にて中庭に座しゐたるに、一人の婢女（はしため）き
  たりて言ふ『なんぢもガリラヤ人イエスと偕（とも）にゐたり』
  かれ凡ての人の前に肯（うけが）わずして言ふ『我は汝の言ふこ
  とを知らず』かくて門（かど）まで出て往（ゆ）きたるとき、他
  の婢女かれを見て、其処にをる者どもに向ひて『この人はナザレ
  人イエスと偕にゐたり』と言へるに、重ねて肯（うけが）わず、
  契（ちか）ひて『我はその人を知らず』といふ。暫くして其処に
  立つ者ども近づきてペテロに言ふ『なんぢもたしかに党与（とも
  がら）なり、汝の国訛なんどを表（あらわ）せり』ここにペテロ
  盟（うけ）ひかつ契（ちか）ひて『我その人を知らず』と言ひ出
  るをりしも、鶏鳴きぬ。ペテロ『にはとり鳴く前に、なんぢ三度
  （さんたび）われを否（いな）まん』と、イエスの言ひ給ひし御
  言（みことば）を思ひ出し、外に出でて甚（いた）く泣けり。
　　
　イエスはペテロに対して、「お前は、捕まった私のことを、『俺はあの男と関係ない』と鶏の鳴く前に三度言うだろう」と言った。ペテロは、あなたのことを見棄てはしない、そんなひどい自分にはならないとイエスに言い放ちます。でもそのあとの事実はイエスの言う通りでした。ペテロはわが身可愛さに、イエスのことは知らないと言い続けたのです。三度目に「知らない」と言ったときにイエスの言う通りに、鶏が鳴くのです。
　このときの光景も実に激しく私に迫ってきます。そのときのペテロの心は、実は私たちも誰もが持ってしまってきた経験の一つではないでしょうか。そして私には、こうして弟子に「お前は、私を見棄てるのさ」というイエスの心も、決して明るくは思えません。愛の気持を感じることができません。
　いや、だからこそ、私にはこの「マタイ伝」こそが、何度読んでも、その内容にひきつけられるのです。
　私はこの「マタイ伝」の中で、イエスの言葉の中で好きになれるのが次です。

　　百匹の羊を有（も）てる人あらんに、若しその一匹まよわば、
  九十九匹を山に遺しおき、往きて迷へるものを尋ねぬか。もし之
  を見出さば、まことに汝らに告ぐ、迷はぬ九十九匹に勝りて此
  （こ）の一匹を喜ばん。

　この言葉があるときに、私はこのマタイ伝を読むときの気持が少しは明るくなるのです。
　イエスは愛の神（正確には神の子）ではなく、烈しい憎しみを私たちにぶつけてくる神にも思えます。だが、その中でまよった一匹の羊をこそさがすイエスの言葉は、やはり私は愛を感じることができるものです。(2001.11.26)

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