1302060113020602  まだ淀屋辰平の話は続きます。いやこれは当然です。このようなことは、そんなにあることではないはずなのです。
 ここで的矢六兵衛の家を売りに出すのです。このときに、新六兵衛も初めてこの家を知るわけです。

 さて、なんぼの値ェが付けられるか。

という淀屋の思いはよく分かります。

 少し考える間があって、お侍は膝前に積まれた金を、ずいと押し出した。さて、ここが勝負どころやろ。
「あいにくでございますが、天下の御書院番士にならはるには、とうてい足らしません」

 ここがものすごい勝負どころです。淀屋辰平も引けないし、新的矢六兵衛も同じです。でも新六兵衛はどうして、こうしてお金を持っているのかなあ。そして、こうして手に入れたものが明治維新によって意味のないものになってしまうということは新的矢六兵衛には認めがたいことでしょう。
 時代は、そうした幾人、幾千人、幾万人、いやそれ以上のたくさんの人の大きな人生を無理に打ち砕いた、いや押しやったの13020514です。
 でもこの新的矢六兵衛のその直後の思いは、分かるのですが、明治時代になってのその後はどうだったのかな。
 大変なことを時代の時間の流れはしでかしてしまうのですね。