将門Web

周が日々仕事であちこち歩いたり、友人や家族と話した中で感じたことを発信しています。

Tag:江戸城を去る

201804020113041602  昨日13041601は休刊日で、この小説を読むことができませんでした。だから今日はとても嬉しかった思いです。だがそうした私の思いは、ただただ的矢六兵衛が江戸城を去るのだろうなとは予想できました。いやそれは誰もが同じでしょう。

「どこへ行くのだ、六兵衛」
繰り言ではなかった。ただただ別れ難いのだ。

もうこの加倉井隼人の気持が分かります。こう隼人は思うのです。

訓(おし)えられたことが多すぎる。そしてその訓えのくさぐさは、きっとこれからたどる人生の路傍にいっぱいの花を咲かせて、、おのれの苦を慰め、かつ正しき道標となるにちがいなかった。

そのあと隼人のいうことは実に分かります。

「のう、六兵衛。水臭いではないか。どうしてこのわしにすら口をきいてくれぬ。このまま黙して去るつもりか」
捨て子のようにべそをかきながら、隼人は息遣いの伝わるほど間近に寄ってようよう言うた。言いながら地団駄を踏んだ。

すると六兵衛は隼人を抱くのです。もう私はその二人の気持が分かり実に嬉しい気持です。そしてまた私は涙になるのです。

六兵衛は骨を軋ませて肯いた。
「物言えばきりがない。しからば、体に物を言わせるのみ」

嬉しいです。隼人の気持を思います。だが六兵衛がこれだけ喋ったのは初めてではないでしょうか。
隼人は、「これこそがみなの忘れていた武士道であった」と思います。私は武士なんて、心の13041409底から嫌いですが(大嫌いです)、この時だけは、この六兵衛と隼人の抱擁には嬉しくなります(この時代にこういう「抱擁」なんてあるのかなあ、とは思いますが)。
武士というものが、本当にいるのなら、武士道とかいうものがあるのなら、このときの抱擁の姿には、ただただ涙なのです。

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1304130113041302  的矢六兵衛はこの江戸城を去るようです。もう潮時と思ったのでしょうか。読んでいる私も、「もういい」という思いになるのです。

 六兵衛は征(ゆ)く。

 たしかに六兵衛はただ黒書院に座っていただけなのです。でも彼が立ち上がり、ここを出ていくのはもう驚くべきことなのです。

 フランス式もイギリス式も、兵の徒行に際しては必ず左足と右腕、右足と左足が揃うて前に出る。しかるに士道古来の兵法には、さような歩み方はない。両の掌は腿(もも)の付け根に定まり、上半身はいささかも揺るがずに、繰り出す足のみにて歩むのである。よって両肩にぐいと張り出した肩衣(かたぎぬ)は、夕凪の帆のごとく動かぬ。

 これをそのままやって歩いているのが六兵衛なのです。13041208

「どこへ行くのだ、六兵衛」
 加倉井隼人は肩衣の背を追いながら、もはや声にもならぬ声で、そう呟き続けていた。 答えてくれ、六兵衛。

 おそらく六兵衛は江戸城を去るのです。もはやここには新しい政権の長の帝が来ているのです。それに私は、六兵衛の妻にも二人の子どもにも会いに帰ってほしいのです。待ち焦がれているはずなのです。

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