将門Web

周が日々仕事であちこち歩いたり、友人や家族と話した中で感じたことを発信しています。

Tag:池内紀

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田辺聖子珠玉短篇集〈3〉

 ずうっとこの「短編集3」がなくて、この巻だけが読めていませんでした。こうしてきょう借りることができました。

書 名 田辺聖子珠玉短編集3
著 者 田辺聖子
発行所 角川書店
定 価 1,600円
発行日 1993年5月30日初版発行

 以下の短編およびあとがきが収納されています。

ぎっちょんちょん
書き屋一代
へらへら
下町
たすかる関係
加奈子の失敗
種貸さん
もと夫婦
貞女の日記
よかった、あえて
あとがき
解説 池内紀

 この3巻だけがなかったのが悔しかったものでした。こうして読めて嬉しいです。

 そしてやっぱり読んでいきまして、何故か涙ぐんでしまう私がいるのです。

ぎっちょんちょん

 夫の花蝶に亡くなられた花奴は、娘の菊江を相方に漫才をしていこうと考える。花奴はもともと、別な相方だった元の妻蝶子から今の位置を引き継いでしまっていた。花蝶の死は腹上死だったようだ(とは書いてはありません)。
 でもどうやら、娘の菊江ははじめてしまう。彼女の婚約者とは、別れてしまう。そしてでも、私たちも、その婚約者のことなんか好きにもなれない存在でしかない書き方である。そして菊江はいい相方と出会う。
 花江が最後にこうなる。

 花江は思わず笑った。
「お父さんとおんなしやな。あの子───菊江もとうとう、見つけよった」


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あんたが大将───日本女性解放小史

 これは読んでいまして、実に気持いいです。私はこんな妻の栄子が大好きになれます。たしかに「これは日本女性解放小史と言えるなあ」と思いました。こんなことが、けっこう日本のあちこちの家庭にあるのかなあ、と思いました。
 でもでも、やっぱり私の思いが違います。けっしてこの日本は女性が解放されていなかったわけではないと思うのです。むしろ、男の思い込みのほうが、あちこちおおいに間違っていたのです。


二階のおっちゃん

 こんな不思儀なことが現実にあるのだろうか。でもこんな話を、日本の昔話でも読んだような気持になります。
 ただこの小説には、姫路の鷺部隊のことが書いてあります。大変に中国戦線で活躍した部隊であるようです。中国軍からも「実に勇敢で軍記厳正であったことに敬意を表する。また民衆に対する軍紀も良好であった」と言われたということです。このことはよく覚えておきたいことです。


あとがき

 ここで田辺聖子さんが書かれていることです。

 小説は私の場合、回想から生まれるのである。他の作家の短編小説を読むのも好きだ。日本の短編小説で、完成度がたかいと思われるのは『今昔物語』のあるものと、『堤中納言物語』、それに川端康成のてのひら小説である。井伏鱒二、太宰治の短編もいい。芥川龍之介は、できすぎて減点、というところがある。

 うん、大変に頷いていましたものです。

 最後の池内紀さんの解説「あんたが大将」も実に頷きながら読んでいましたものです。

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 きのう帰りの地下鉄で読んで、上野から千駄木「浅野」まで行く、台東区めぐりんバスの中で最後の池内紀さんの「解説」を読み終わりました。

書 名 田辺聖子珠玉短編集4
著 者 田辺聖子
発行所 角川書店
定 価 1,600円
発行日 1993年6月30日初版発行
読了日 2007年11月20日

 載っている作品の一つ一つへの思いを書いてみます。

夢とぼとぼ

 妻のマスミが大阪の家から、東京へ単身赴任している。夫の大沢は大変に不満なことばかりである。でもそのマスミは東京へ行って、ますます元気にやっているようである。そしてマスみは自分の本を出版している。その本の題名が「夫のわすれかた」。
 でもでも、最後大沢は、マスミとは別れたくない自分を見つめてしまう。
 だから、大沢はマスミを追って東京へ行くかもしれない。


もう長うない

 この「もう長うない」は夫の口グセである。結婚した当初からいい続けているのだ。そんなことを言われた妻は、それこそ大変である。……でも大変なのは結婚した当初の頃だ。そのままもう何年も過ぎてしまったのだ。そして妻が急に病気になる。彼女のほうがいう。「あたしはもう長くないわ」。もう夫のほうが大変になってしまうのだ。そしてそういう妻のほうが、初めて夫の今まで言うセリフの真実が判った(ようである)。


犬女房

 梶本はもう46歳である。妻も娘ももう相手にしてくれない。そのときに、梶本はもともと自分が子どものときから犬好きだったことを思い出す。でも家族は犬を飼うことは許してくれない。
 それで近所の犬と親しくなり、やがて実際にある犬の散歩を引き受ける。でも実にいい生活になったのだが、その犬も持ち主が引越、犬自体は保健所に持って行ったようですある。
 最後梶本は、ヌイグルミの犬を抱いて眠る。
 もうこれは実に哀しいです。

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